スラップスティック・コメディ – Wikipedia

スラップスティック・コメディ(英: slapstick comedy)とは、コメディのジャンルの一つ。アメリカのサイレント映画で、マック・セネットがプロデュースしたキーストン喜劇が代表的なもの[1]。観客を笑わせることおよび観客の笑いを引き出すことを主目的とした喜劇映画の中でも、とくに体を張ったコメディ映画のこと。日本では「ドタバタ喜劇」と訳されることが多いが、厳密には異なる[注釈 1]。単にスラップスティック[2]スラプスティック[3]とも。

名前の由来[編集]

「スラップスティック」とは、叩く(スラップ)棒(スティック)の意。もともとはアメリカ合衆国の道化芝居で相手をひっぱたくときに使われた、先がふたつに割れた棒のこと(音は大きいがあまり痛くなく、日本のハリセンのようなものと考えて差し支えない)。これが転じて舞台喜劇のドタバタ芸を指すようになり、さらに転じて、動きの多いコメディ映画をそう呼ぶようになった。

流行と廃れ[編集]

叩いたり叩かれたり、追いかけたり追いかけられたり、あるいはパイを投げ合ったりといった体を張った演技は、映画が言葉を持たなかったサイレント時代初期に広く流行した。

しかし、映画の主流が短編から長編へと移行するにつれ、物語の比重が重要になり、さらにトーキーに移行することで、大げさな体技による笑いから、セリフによる笑いへと変化していったことなどから徐々に廃れていき、現在ではほとんど作られることがなくなっている。

代表的なコメディアン[編集]

参考資料[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 小林信彦によると、日本で「ドタバタ喜劇」と呼ばれるものはアドリブの要素が大きく、個々の演者の能力に依拠する部分が大きいのだが、「スラップスティック・コメディ映画」は綿密な構成と入念な打ち合わせや準備を要するもので、本質的に異なるという[要出典]

脚注[編集]