マイルチャンピオンシップ – Wikipedia

マイルチャンピオンシップは、日本中央競馬会(JRA)が京都競馬場で施行する中央競馬の重賞競走(GI)である。

正賞は日本馬主協会連合会会長賞[1][2]

第28回優勝馬
エイシンアポロン
(鞍上:池添謙一)

第30回優勝馬
トーセンラー(鞍上:武豊)

第33回優勝馬
ミッキーアイル(鞍上:浜中俊)

1984年に新設されたGI競走[3]で、春に行われる安田記念とともにマイル(1600m)のチャンピオン決定戦として位置づけられている[4][3]

日本の競馬における競走体系は長い間長距離の競走が重視されていたが、近年はスピード能力が重視されるようになってきたことを受け、1984年にグレード制が導入された際に競走体系を見直し[4]、短距離競走の充実を図る目的で創設された[3]。出走馬は短距離の実績馬のほか、クラシック路線を歩んできた3歳馬や天皇賞(秋)の出走馬がここへ出走する例もみられ、多彩なメンバーがそろうレースとされている[3]

1995年から指定交流競走として行われ、指定された競走で所定の成績をあげた地方競馬所属馬にも出走資格が与えられるようになった[4][3]。1998年からは国際競走となって外国馬も出走可能になり、2004年から国際GIに格付けされた[4][3]

2008年からはジャパン・オータムインターナショナルの構成レースとしても施行されている[3]

国際的評価[編集]

世界の競馬開催国は国際セリ名簿基準委員会(ICSC)によってパートIからパートIVまでランク分けされており、2021年時点で日本は平地競走が最上位のパートI、障害競走はパートIVにランク付けされている[5]

また、各国の主要な競走は国際的な統一判断基準で評価されており、競馬の競走における距離別の区分法として定着しているSMILE区分によると、マイルチャンピオンシップは「Mile(1301m – 1899m)」に分類される。国際競馬統括機関連盟(IFHA)が公表した2019年の年間レースレーティング[注 1]の平均値に基づく「世界のトップ100GIレース」によると、マイルチャンピオンシップは全体の59位タイにランキングされた。「Mile(1301m – 1899m)」のカテゴリーからランクインした外国の競走との比較では、クイーンアンステークス(Queen Anne Stakes)およびクイーンエリザベス2世ステークス(Queen Elizabeth II Stakes)と並び、2000ギニーステークス(2000 Guineas Stakes、55位タイ)、セントジェームズパレスステークス(St James’s Palace Stakes、55位タイ)に次ぐ評価となっている[6][7]

競走条件[編集]

以下の内容は、2021年現在[1][2]のもの。

出走資格:サラ系3歳以上(出走可能頭数:最大18頭)

  • JRA所属馬
  • 地方所属馬(出走資格のある馬のみ)
  • 外国調教馬(優先出走)

負担重量:定量(3歳56kg、4歳以上57kg、牝馬2kg減)

  • 第1 – 17回は3歳55kg・4歳以上57kg・牝馬各2kg減[3]

出馬投票を行った馬のうち優先出走権(後述)をもつ馬から優先して割り当て、その他の馬は「通算収得賞金」+「過去1年間の収得賞金」+「過去2年間のGI(JpnI)競走の収得賞金」の総計が多い順に出走できる。

優先出走権[編集]

外国馬、およびレーティング順位の上位5頭は優先出走が認められる。

JRA所属馬は、同年に行われた下表の競走のいずれかで1着となった馬に優先出走権が与えられる。

地方競馬所属馬の出走権[編集]

地方競馬所属馬は同年に行われた下表の競走のいずれかで2着までに入着すると、優先出走権が与えられる[8]

上記のほか、以下の条件のいずれかに該当する馬にも出走資格が与えられる[8]

  • JRAで施行するGI競走(2歳GIは除く)の優勝馬
  • 指定された外国の国際G1競走(2歳G1は除く)優勝馬
  • 地方競馬のダート交流GI・JpnI競走(2歳GI・JpnIは除く)優勝馬

賞金[編集]

2021年の1着賞金は1億3000万円で、以下2着5200万円、3着3300万円、4着2000万円、5着1300万円[1][2]

褒賞金制度[編集]

ジャパン・オータムインターナショナルに含まれるようになった2008年より、指定された外国の競走における優勝馬が同年に行われる本競走で所定の成績を収めた場合、優勝賞金に加え褒賞金を交付している。

2021年現在の指定競走と金額は以下の通り[9]

本競走の創設にあたっては、当初マイラーズカップを秋季に移設のうえ格上げとする予定がJRAから馬主サイドへ示されていたが、直前になって新設する方針に変わった[11]

  • 1984年 – 4歳以上の馬によるGI[注 2]競走として新設[3]
  • 1995年 – 指定交流競走に指定、地方競馬所属馬が出走可能になる[3]
  • 1998年 – 国際競走に指定され、外国調教馬が5頭まで出走可能になる[3]
  • 2001年 – 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、出走条件を「3歳以上」に変更。
  • 2004年
    • 国際GIに格付け[3]
    • 外国調教馬が9頭まで出走可能となる[3]
  • 2008年 – ジャパン・オータムインターナショナルに指定[3]
  • 2012年 – 出走馬選定方法が変わり、レーティングで上位5頭に優先出走を認める[3]
  • 2014年 – トライアル制を確立し、指定された競走の1着馬に優先出走を認める。
  • 2015年 – 「京都競馬場開設90周年記念」の副称をつけて施行[12][13]
  • 2020年 – 京都競馬場整備工事に伴い、阪神競馬場で施行(2021年・2022年も同様)[14][15]。同競走が京都以外で施行されるのは、創設以来初めてとなる[16]

歴代優勝馬[編集]

コース種別を表記していない距離は、芝コースを表す。

優勝馬の馬齢は、2000年以前も現行表記に揃えている。

マイルチャンピオンシップの記録[編集]

  • レースレコード – 1:31.5(第31回優勝馬ダノンシャーク)[3]

脚注・出典[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 年間レースレーティングは、個々のレースにおける上位4頭のレーティングを年度末のランキング会議で決定した数値に置き換え算出した平均値。なお、牝馬限定競走以外のレースで、対象馬が牝馬の場合はアローワンスが加算される(日本の場合+4ポンド)。
  2. ^ 当時の格付表記は、JRAの独自グレード。

出典[編集]

各回競走結果の出典[編集]

  • 「マイルチャンピオンシップ」『中央競馬全重賞成績集【GI編】』日本中央競馬会、1996年、951-967頁。 1984年 – 1995年
  • JRA年度別全成績
  • 『日本の競馬 総合ハンドブック2013』 59頁、60頁 発行:一般社団法人中央競馬振興会(1984年 – 2012年、馬主名義除く)
  • netkeiba.comより(最終閲覧日:2021年11月22日)
  • 1984年 – 「1984年度後期重賞勝馬一覧」『優駿』1985年2月号、日本中央競馬会、117頁
  • 1985年 – 「1985年度後期重賞勝馬一覧」『優駿』1986年2月号、日本中央競馬会、108頁

外部リンク[編集]