花とアリス – Wikipedia

花とアリス』(はなとアリス、英称:Hana and Alice)は、岩井俊二監督の日本映画。長編と短編の2つが存在する。また、岩井俊二本人によるコミカライズ作品が角川書店より出版された。

前日譚となる関連作品『花とアリス殺人事件』(はなとアリスさつじんじけん)が2015年2月長編アニメーション映画化された[1]

登場人物[編集]

荒井 花(あらい はな) / 花
演 – 鈴木杏
幼馴染のアリスにいつも振り回されている。一目惚れした宮本先輩に猛烈にアプローチをかけるも、宮本の反応はイマイチ。宮本とアリスが密会していることが気になっている。
有栖川 徹子(ありすがわ てつこ) / アリス
演 – 蒼井優
天真爛漫な性格で、いつも花を振り回す。花の恋に協力するも、宮本に好かれてしまい戸惑っている。
宮本 雅志(みやもと まさし)
演 – 郭智博
寿限無の暗唱に命を懸ける男。花に猛烈アプローチされるも、本当はアリスに好意を抱いている。

花とアリス(ショートフィルム [DVD版、Web版])[編集]

2003年にキットカットの日本発売30周年を記念してネスレコンフェクショナリー株式会社が運営するウェブサイト「ブレイクタウン」でネット配信された短編映画。第一章「花の恋」、第二章「花の嵐 I 秘密」「花の嵐 II 乱舞」、第三章「花とアリス」の3章4部構成で公開された。なお、現在Web上での公開は終了しているが、この作品は映画「花とアリス」DVD特別版の特典ディスクでみることができる。ただし、編集されたシーンや追加されたシーンが一部あるのでWeb版とは同じものではない。

ストーリー[編集]

「花の恋」
アリスが恋した高校生を見に行った花は、一緒にいた友人に一目惚れしてしまう。一目惚れした彼をストーキングした花は、彼が手塚高校の生徒だと知る。
「花の嵐 I 秘密」
四月、手塚高校に入学した花とアリス。花は、一目惚れした宮本がいる落語研究会に入部する。宮本とデートしている所をアリスに見られたものの、アリスは宮本の事を覚えていなかった。しかし、ほっとしたのも束の間、自分の家に宮本を招いた花は、パソコンに入れてあった大量の宮本の写真を、本人に見られてしまう。そして、その写真がアリスによって撮られたと、とっさにうそをついてしまう。
「花の嵐 II 乱舞」
何故かアリスの事を好きになってしまった宮本。アリスは上手くかわすものの、三人の間には微妙な空気が流れ始める。一方、花と一緒に祭りに行った宮本だったが、其処でアリスの幻覚を見て卒倒してしまう。宮本を家に担ぎ込んだ花は、宮本の為に薬を買いに行き、その途中、どしゃ降りの雨の中でバレエを踊る人の姿を見る。
「花とアリス」
遂に三人の関係はこじれ始める。三人で遊びに行った海で、花とアリスは宮本を取り合い、取っ組み合いの大喧嘩をしてしまう。文化祭の日、宮本がアリスを好きな事に気付いた花は、高座の舞台袖で自分の恋を諦める事を宮本に告げる。しかし、宮本は花の事を受け入れるのだった。そして高座に上がった花。観客が居なくなった客席には一人、アリスの姿があった。

スタッフ[編集]

豆知識[編集]

最後の落語披露の場面で花が演じるのは『片棒』、ア太郎先輩が演じるのは『粗忽の使者』、宮本先輩が演じるのは『寿限無』という古典落語の演目である。また、落語研究会のそれぞれの高座名「花屋ピュンピュン丸」「モーレツ亭ア太郎」「爆発屋五郎」は昔の人気アニメ(『花のピュンピュン丸』『もーれつア太郎』『ばくはつ五郎』)からとっている。

花とアリス(長編・実写劇場版)[編集]

前年にインターネット配信された短編映画をもとに、長編映画として制作された。荒井花と有栖川徹子が入学した手塚高校の先輩、宮本雅志を巡る三角関係を描く。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

特徴[編集]

  • 駅名や学校名などに漫画家の名前が多く登場する。
  • エンドロールはすべて英語である(梶原善を表記した“Kajiwara Zen”は“Kajihara Zen”の間違い。)。
  • 作中で登場人物が見る映画として『太陽の王子 ホルスの大冒険』が引用されている[2]

関連商品[編集]

  • H&A(CD)/岩井俊二(ノーマンズ・ノーズ、NNC-0001、2004.3.13) – 映画「花とアリス」のオリジナル・サウンドトラック
  • 花とアリス(コミック)/著:岩井俊二(角川書店、2004.9.27) – 絵コンテを元にした原作コミック。 ISBN 978-4048537438
  • 花とアリス寫眞舘(写真集)/撮影:篠田昇/井上貴之/アイビー・チェン、監修:岩井俊二(扶桑社、2004.9.30) – オリジナルストーリーによる写真集。 ISBN 978-4594048075

関連商品(映画)[編集]

  • 花とアリス 特別版(DVD、ノーマンズ・ノーズ、NND-0008、2004.10.8)- 特典Disc付の2枚組
  • 花とアリス 通常版(DVD、ノーマンズ・ノーズ、NND-0009、2004.10.8)
  • 花とアリス (Blu-ray、ポニーキャニオン、PCXP-50091、2012.9.6) – HDリマスター

花とアリス殺人事件[編集]

花とアリス殺人事件』は、2015年2月20日公開の日本の長編アニメーション映画。

実写映画『花とアリス』の前日譚となる作品[3]。脚本・監督は前作同様に岩井俊二が手がけ、声の出演も蒼井優と鈴木杏が務める。

2015年アヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門正式出品[4]、第19回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞作品[3]

主なキャスト[編集]

主なキャストの詳細は、上記「登場人物」を参照。◎印は、今作初登場人物。

荒井花(花)
声 – 鈴木杏
有栖川徹子(アリス)
声 – 蒼井優
黒柳健次、初老の社員
声 – 平泉成 二役
有栖川加代
声 – 相田翔子
荒井友美
声 – キムラ緑子
堤ユキ
声 – 木村多江
矢上風子
声 – 清水由紀
湯田光太郎 ◎
声 – 勝地涼
殺人事件のカギを握る男。
萩野里美 ◎
声 – 黒木華
花とアリスの担任の先生。
陸奥睦美 ◎
声 – 鈴木蘭々
花の同級生。
朝長先生 ◎
声 – 郭智博(前作の『花とアリス』では、宮本雅志 役)

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

『fish in the pool』(ヘクとパスカル)
作詞 – 岩井俊二 / 編曲 – 桑原まこ / 歌 – 椎名琴音

製作[編集]

企画の構想自体は、2004年に公開された実写映画『花とアリス』の制作後に遡る。その頃よりすでに、前日譚となる物語のアニメーション化を前提とした脚本作りが温められていた。制作理由として監督の岩井は、「花とアリスでは”友情の終わり”を描いていた気がして、そうしたら、”友情の始まり”はどうなるのか、自分の中で気になった」「友情の始まりを描くにあたり、当初の花とアリスの設定は小学生。また、蒼井優や鈴木杏にお願いするにもアニメだと声だけでいいと思っていたので、最初からアニメを想定していた。」と述べている[5]

本作は、絵コンテをもとに実写映像を撮り、その体の動きをトレースして絵にする「ロトスコープ」というアニメーション手法で制作されている[6]

封切り[編集]

2015年2月20日に新宿バルト9ほか全国40スクリーンで公開[7]

同年4月、世界最大規模のアニメ映画祭であるアヌシー国際アニメーション映画祭にて、グランプリにあたるクリスタル賞にノミネートされる[4]。また、11月には文化庁メディア芸術祭にて、アニメーション部門優秀賞を受賞した[3]

受賞[編集]

Blu-ray / DVD[編集]

2015年8月12日発売。発売元・販売元はポニーキャニオン。

  • 花とアリス殺人事件本編ディスク
    • 映像特典
      • 特報・劇場予告編・TVスポット集
  • 特典ディスク
    • スペシャルインタビュー(岩井俊二監督×蒼井優×鈴木杏)完全版
    • 完成披露試写会・公開初日舞台挨拶
    • 岩井俊二監督 スペシャルロングインタビュー
    • Creator’s Interview「花とアリス殺人事件」を語る(高畑勲監督/新海誠監督)

関連書籍[編集]

花とアリス殺人事件 ノベライズ
ノベライズ本。著者は乙一。原作は岩井俊二。小学館刊。2015年2月4日発売。ISBN 978-4-09-386405-3
花とアリス殺人事件 コミカライズ
コミカライズ本。漫画は道満晴明。原作は岩井俊二。小学館刊。2015年10月9日発売。ISBN 978-4-09-187249-4

外部リンク[編集]