パケット – Wikipedia

パケット(英語: packet)とは、「小包」を意味する英語だが、日本では専ら情報通信における伝送単位を指す。広義には、単にある程度の大きさの送受信データのかたまりのこと。

パケット単位で小分けにして通信を行うことにより、回線を連続して占有することができないため、複数の端末からの送受信データを1本の回線に集められる(多重化)、大容量のデータのうち1か所が破損・喪失した際に、ひとつのパケットを再送するだけで足りる等の利点がある。

パケットは、ISOのOSI参照モデルではネットワーク層 (Layer 3、RFC 1122におけるインターネットレイヤ)において、通信を行う際の転送単位である。パケットのヘッダには、送信先・発信元のIPアドレスや、パケットの種類や通し番号等の制御情報とユーザデータが記録されており、ルータはその情報を参照してパケットの振り分けを行う。

ひとつのパケットに含まれるデータ量は、通信方式により異なり、可変長と固定長がある。

送信する場合、上位層より[1]受取ったデータが、この規定の長さより長い場合、データは複数個のパケットに分割され転送される。

また、下位層[2]より受取ったパケットのデータが分割されている場合、複数のパケットに分割されたデータを分割前のデータ単位に復元し、上位層[3]に渡す。

パケットの分割方法は、通信方式により異なる。

転送するデータをある一定の単位のパケットに分割することにより、複数の対地とのデータの送受信を1本の物理的な通信回線を利用し多重化出来る。

エンドシステム〜エンドシステム(2点)間の通信に際し、エンドシステム間にて論理的通信路を利用する。このような物理的な回線を占有しない交換方式をパケット交換方式と呼ぶ[4]

パケット、フレーム、セグメント[編集]

PDU(Protocol Data Unit)[編集]

パケット、フレーム、セグメントは、コンピュータ間の通信に使用されるデータを送る単位である。この単位のことを、PDU(プロトコル・データ・ユニット)という。

フレーム[編集]

フレームは、OSI参照モデルのデータリンク層 (Layer 2) の通信で使われるPDUの呼び名である[5]

フレームリレーのように第3層を含めて使われることもある[6]

MACフレーム、PPPフレーム、HDLCフレーム等も使われる。

パケット[編集]

パケットは、OSI参照モデルのネットワーク層 (Layer 3) の通信で使われるPDUの呼び名である[7]

レイヤ3で使用されるパケットとしては、X.25パケットがある。またIPの規格(RFC 791)での伝送単位はデータグラム (datagram) であるが、通常IPパケットと呼ばれる。

セグメント[編集]

第4層での通信規格の一つであるTCPに使われるPDUの呼び名である。

第4層の別の規格であるUDPでは、伝送単位としてデータグラムを使っている。

用語の区別[編集]

一般的には、これらの用語は、それほど厳密に区別されずに使われている。単にデータを送る単位の意味としてパケットという表現が使われることが多い。
データリンク層 (Layer 2)のデータはフレームで、ネットワーク層 (Layer 3)以上のデータはパケットと呼ぶこともある(MACフレームやTCPセグメントのことをパケットと呼ぶなど)[8]

課金単位としてのパケット[編集]

日本で移動体通信事業を行う事業者では、携帯電話やPHSでの無線パケット通信(データ通信)の利用料金を算出する際に、積算通信量を表す単位として「パケット」という語を用いる。1パケットは128バイト[9][10][11]であり、これは全角文字64字に相当する。

出典・脚注[編集]

  1. ^ OSI参照モデルでは、第4層トランスポート層。RFC 1122では、トランスポート層
  2. ^ OSI参照モデルでは、第2層 データリンク層。RFC 1122では、リンク層
  3. ^ OSI参照モデルでは、第4層 トランスポート層。RFC 1122では、トランスポート層
  4. ^ 通信路を占有する方式とし回線交換方式がある
  5. ^ 『OSI 明日へのコンピュータネットワーク』91頁
  6. ^ [1][リンク切れ] フレームリレーサービスのインタフェース 6頁、10頁、12頁から68頁
  7. ^ 『OSI 明日へのコンピュータネットワーク』 122頁
  8. ^ 半沢智著 「パケットとフレームは同じもの?」 日経NETWORK 2004年3月号 p.73
  9. ^ パケット・バイト換算”. NTTドコモ. 2013年9月11日閲覧。
  10. ^ モバイルデータ通信(携帯電話からの接続)”. ソフトバンクモバイル. 2013年9月11日閲覧。
  11. ^ パケット通信のご注意”. au. 2013年9月11日閲覧。
  • 『パケットとフレームは同じもの?』 日経NETWORK、2004年3月号
  • 『OSI 明日へのコンピュータネットワーク』日本規格協会、OSI編集委員会主査 田畑孝一他、1987年 ISBN 4-542-30511-2
  • 『フレームリレーサービスのインタフェース』財団法人日本データ通信協会、日本電信電話株式会社編
  • 『パケット交換サービスのインタフェース(PT編)』財団法人日本データ通信協会、日本電信電話株式会社編
  • 『標準LAN教科書 上』アスキー出版局、上原政二監修・マルチメディア通信研究会編、1987年 ISBN 4-7561-0252-2
  • 『マスタリングTCP/IP 入門編』オーム社、竹下隆史・伊藤長敏・苅田幸雄共著、1994年 ISBN 4-274-06073-X

関連項目[編集]