種子 (密教) – Wikipedia
種子(しゅじ、梵: बीजाक्षर bījākṣara [ビージャークシャラ] 英: bijakshara)は密教において、仏尊を象徴する一音節の呪文(真言)。チベット密教ではサポン(蔵: sa bon)と訳される。種子真言(しゅじしんごん)ともいう。
梵字で表記したものを、日本密教では特に種子字(しゅじじ)と言い、また種字(しゅじ)とも略称し、一般にはこの「種字」という表記が多用される。これは通常一文字で表記されるが、極めて稀に閉音節の物があり、この場合は二文字で表記される。
種子の例を挙げると、वं(vaṃ)は金剛界大日如来、ह्रीः(hrīḥ)は阿弥陀如来、स(sa)は聖観音、हां(hāṃ)は不動明王、सु(su)は妙見菩薩を象徴するものである。種子は梵字の神秘的解釈(悉曇五十字門)から作られるほか、その仏尊の真言から一文字取ったり、仏尊の梵名の頭文字を取って作ることも多い。
これら種子は、密教の修法において本尊となる仏を想起するためのシンボルとなるので、これを植物の種に譬えて種子という。
また護符や曼荼羅などに、仏尊の絵姿の代わりに種子を書くことも多い。
これには、絵姿を描くより梵字で済ませた方が手間がかからないという実用的な意味もある。
主な種子一覧[編集]
種子は同じ文字が複数の仏尊を表したり、逆に同じ仏尊が複数の種子を持っていたりする。ここでは代表的と思われるものを示す。
種子は、日本では普通梵字(悉曇文字)で書く(チベット仏教ではチベット文字)が、ここではデーヴァナーガリーで代用した。括弧内のラテン文字転写はIASTによる。
日本における慣用音には真言宗で伝承されている中天音(インド中部での発音と伝承されているもの)と、天台宗で伝承されている南天音(インド南部での発音と伝承されている)など何種類かの発音がある。また、長母音はしばしば短母音として発音される。例えば「キリーク」は「キリク」とも発音される。
注釈[編集]
出典[編集]
参考文献[編集]
- 綜芸舎編集部 『梵字入門』 綜芸舎 1967年 ISBN-13: 978-4794000040
関連項目[編集]
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