タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦 – Wikipedia

タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦(タイコンデロガきゅうミサイルじゅんようかん、英語: Ticonderoga-class guided missile cruiser)は、アメリカ海軍のミサイル巡洋艦の艦級。スプルーアンス級駆逐艦を元に、イージスシステムを搭載するよう設計を修正した初の実用イージス艦として1978年度より建造が開始され、1983年から1994年までに同型艦27隻が就役した。

アメリカ海軍の巡洋艦としては、クリーブランド級軽巡洋艦と並び最多建造数を誇っているほか、1999年にカリフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦が退役したため、アメリカ海軍が保有する唯一の巡洋艦となっている。本級よりやや遅れて建造を開始したアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦と比べて戦闘指揮所の機能が充実し、艦砲やミサイルの搭載量も多く、また船体が大きいため居住性が良好で航続距離が長いという特長がある。

イージスシステムの開発[編集]

アメリカ海軍は、第二次世界大戦末期より、全く新しい艦隊防空火力として艦対空ミサイル(SAM)の開発に着手していた。戦後も、ジェット機の発達に伴う経空脅威の増大を受けて開発は拡大され、1956年にはテリア、1959年にタロス、そして1962年にターターが艦隊配備された。これらは3Tと通称され、タロスはミサイル巡洋艦、テリアはミサイルフリゲート(DLG)、そしてターターはミサイル駆逐艦(DDG)に搭載されて広く配備された。また経空脅威の増大が続いていることを踏まえて、1958年からは、早くも3Tの次の世代の防空システムとしてタイフォン・システムの開発を開始していたが、これは要求性能の高さに対する技術水準の低さ、統合システムの開発への経験不足により難渋し、1963年にキャンセルされた。ただしその過程で開発された改良型の固体燃料ロケットは、テリアとターターの共通化を進めた発展型であるスタンダードミサイルに引き継がれた。

タイフォンの挫折を受け、1963年11月より先進水上ミサイル・システム(ASMS)計画が開始され、1969年にはイージス計画と改称した。1967年のエイラート撃沈事件、1970年にソ連が行なったオケアン70演習を受けて開発は加速され、1973年からはテストサイトでの地上試験、そして1975年には試作機を実験艦「ノートン・サウンド」に艤装しての洋上試験が開始された。

原子力艦の検討と挫折[編集]

幻に終わったCGN-42 (想像図)

もともとイージスシステムは、次期原子力ミサイル駆逐艦(DXGN)の後期建造艦に搭載される予定であった。1970年に海軍作戦部長に就任したズムウォルト大将はこれを修正し、より小さく簡素なガスタービン主機の駆逐艦(DG/Aegis)に搭載することとしたが、1974年に海軍作戦部長がホロウェイ大将に交代すると、再び原子力艦への搭載へと修正された。

この頃には、DXGN計画から発展したバージニア級(DLGN-38級)が既に建造に入っていたが、同級にそのままイージスシステムを搭載することは困難であった。このことから、イージス搭載に適合化した原子力ミサイル駆逐艦としてDG(N)計画が着手され、1974年1月の時点では満載10,708トンとなる予定であった。しかし同年7月、ホロウェイ大将はこの計画は消極的過ぎるとして中止させ、かわって原子力打撃巡洋艦(CSGN)計画を推進した。概念設計は1975年5月に完了し、満載12,700トンの強力な戦闘艦とされたが、当然のように高コストの艦でもあった。このことから、ズムウォルト大将が検討させていたようなガスタービン主機のミサイル駆逐艦の案が復活することになり、CSGN 8隻と在来動力型ミサイル駆逐艦(DDG)16隻によるハイ・ローミックスが予定された。この在来動力型ミサイル駆逐艦はスプルーアンス級の派生型として予定されており、これが本級の源流となった。DDGは1977年度計画から、CSGNは1978年度計画からの建造が予定されていたが、議会はこれらの計画を差し止め、かわりに「ロングビーチ」をCSGNのプロトタイプとして改装するよう予算を振り替えた。しかし1977年1月17日、フォード政権は改修を中止させ、続くカーター政権はCSGN計画の見直しを指示した。かわってバージニア級を発展させたCGN-42の設計が着手されたものの、当初5隻が予定されていた建造数は、1978年3月には1983年度計画の1隻のみに削減され、1981年2月にはその建造も中止された。

DDG-47からCG-47へ[編集]

1970年代初頭、ズムウォルト海軍作戦部長が検討させていたDG/Aegis計画では、5,000トン級のCOGOG推進艦を軸に検討が進められていた。一方、スプルーアンス級はもともと、ミサイル駆逐艦としての設計変更を前提として設計されていたこともあって、同級の設計・建造にあたっていたリットン・インガルス造船所では、同級をもとにイージスシステムを搭載する案を独自に作成し、1974年に海軍に提案した。海軍は、この案はさしあたり採用しないことにしたものの、外部のコンサルティング会社であるJJMA社に検討を依頼した。JJMA社では、スプルーアンス級をもとにイラン海軍が発注していた防空艦(後にキッド級としてアメリカ海軍に編入)を土台として検討を進めた結果、大規模な改設計とマージンの見直しを必要とするものの、イージスシステムの搭載は可能と結論した。

これらの検討を踏まえて、上記の通り、1975年にはスプルーアンス級をもとにイージスシステムを搭載する案が正式に推進されることになり、海軍装備局(NavSea)による検討を経て、1978年9月、リットン・インガルス造船所が詳細計画と建造を受注した。これによって建造されたのが本級である。

このような経緯から、当初はミサイル駆逐艦(DDG-47級)として計画されていたが、期待される任務や性能を考慮して、1番艦の建造途中の1980年1月1日、ミサイル巡洋艦(CG-47)に種別変更された。

船体[編集]

上記の経緯より、基本設計はスプルーアンス級のものが踏襲されており、2層の全通甲板を備えた遮浪甲板型を基本として、後端部を切り欠いた長船首楼型という船型も同じである。ただしイージスシステムの搭載に伴う排水量増加を吸収するため、隔壁甲板を第1甲板から01甲板に変更し、これに伴い艦内区画なども一部変更された。またAN/SPY-1多機能レーダーのアンテナを取り付けるため、上部構造物も大型化するとともに、アンテナの精度を保つために所定の剛性を確保している。艦首にはブルワークが追加されたが、これはスプルーアンス級の運用成績を加味したものと考えられている。またスプルーアンス級が後に改修されたのと同様、枢要部にはケブラー装甲が施されている。

しかし1979年2月に提出された受注後初回の重量重心計算書では、初期設計と比して、満載排水量は360トン増の9,270トン、キール上重心高さ(KG)は0.22フィート上昇して23.57フィートと、重量・重心面の問題が顕在化した。これを受けて、造船所は383トンに達する重量削減策を策定したが、海軍はこのうち開発に時間がかかるものや設計変更の範囲が大きいものは採用せず、80年8月の時点では、上部構造内のアルミニウム製フォールス・デッキのハニカム材への変更や通路敷物の廃止、排気系の変更など47トンの削減となった。しかしその後も重量増加と重心上昇の傾向が続き、82年4月の予想ではKGは27.74フィートとなったことから、スケグに110トンの鉛バラストが入れられることになった。

これらの施策により、引き渡し時の満載排水量は約9,500トンになる見込みとなったが、区画浸水計算上の排水量限度が9,700トンであり、ダメージコントロール面の余裕が少なすぎることが問題になった。海軍装備局の検討により、後日装備予定の曳航ソナー(TASS)のための艦尾開口部がネックになっていることが判明したことから、TASSの投揚収時には非水密、曳航時には水密を保つ機構が開発され、これによって限度は10,200トンまで引き上げられた。また当初の計算では、今度は船体強度が排水量10,200トンに耐えられないと見積もられていたが、再計算の結果、実際には既に十分な強度が確保されていることが判明した。これは重量分布が最初の計算よりも曲げモーメントを減らす方向で変わっていたことと、型鋼の寸法規格について、スプルーアンス級ではフィート式であったのに対して本級よりメートル式に変更したことで、寸法が大きくなって断面係数が増えており、船体縦強度部材の強度が最初の計算よりも大きくなっていたためであった。

1981年度計画の3・4番艦では、01甲板と船側外板について、従来のHTS高張力鋼から、より強度が大きいHY-80高張力鋼に変更して板厚を減少、艦首ブルワークをHTSからアルミニウム合金に変更、4脚マストを3脚式に変更してその主脚を電路に転用するなど、よりいっそうの重量低減策が講じられた。そして82年度計画の6番艦以降ではミサイル発射機をVLSに変更することになり、よりいっそうの重量低減・重心降下策が必要となったことから、海軍とインガルス造船所は共同でTOTS(Take off Tons Sensibly)計画を発足させた。HY-80高張力鋼の採用範囲拡大、局部強度部材への高強度低合金鋼(HSLA)の導入、主船体の再設計、艦外受電設備の見直しによる受電ケーブル・関連回路遮断器の削減などにより、満載排水量は9,410トン、KGは23.21フィートとなった。もしTOTS計画がなければ、それぞれ10,100トン(バラスト250トンを含む)と23.35フィートになっていたとみられている。

機関[編集]

主機はスプルーアンス級で採用されたゼネラル・エレクトリック LM2500ガスタービンエンジン4基で可変ピッチ・プロペラ(CPP)2軸を駆動するCOGAG方式が踏襲された。

一方、イージスシステムの搭載に伴って電源は強化された。アリソン501ガスタービン発電機は4基に増備され、出力も2,000キロワットから2,500キロワットに強化された。また400ボルト/60ヘルツ三相交流の艦内配電系への変電を行うコンバーターも、3基から4基に増設された。この増設余地は、もともとスプルーアンス級からミサイル駆逐艦としての改設計に備えて確保されていたものであった。

本級の装備の配置(クリックで拡大)

イージス武器システム(AWS)[編集]

上記の経緯より、本級の中核的な装備となるのがイージス武器システム(AWS)である。搭載している全ての戦闘システムは、AWSの戦術情報処理装置である指揮決定システム(C&D)Mk.1および武器管制システム(WCS)Mk.1に連接されている。AWSは継続的な改良を受けて多数のバージョンが生じており、これらは大まかにベースラインとして区別される。本級の新造時には、1・2番艦ではベースライン0、3 – 5番艦ではベースライン1、6 – 12番艦ではベースライン2、13 – 18番艦ではベースライン3、19 – 27番艦ではベースライン4が搭載された。ベースライン0搭載艦のシステムは程なくしてベースライン1にアップデートされたほか、1996年より、ベースライン4搭載艦のシステムはベースライン5フェーズIII仕様にアップデートされ、統合戦術情報伝達システム(JTIDS)によるリンク 16の運用に対応した。

そして2008年度より着手されたイージス近代化改修(AMOD)により、ベースライン2搭載艦のシステムはベースライン8(CR2/ACB08)、ベースライン3・4搭載艦のシステムはベースライン9(CR3/ACB12)にアップデートされており、共同交戦能力(CEC)にも対応した。

レーダー[編集]

AN/SPY-1AのPESAアンテナ

その中核となる多機能レーダーはAN/SPY-1で、固定式4面のパッシブ・フェーズドアレイ(PESA)アンテナは、前後の上部構造物に2基ずつ(前部の構造物には艦首側と右舷に、後部の構造物には艦尾側と左舷に)設置されている。ベースライン0 – 2ではAN/SPY-1A、ベースライン3 – 4では改良型のAN/SPY-1Bが搭載されており、また1993年より、AN/SPY-1Aにもソフトウェアの書き換えやアンテナ感度変更などの改修が施された。

なお本級では、AN/SPY-1を補完する早期警戒レーダーとして、2次元式のAN/SPS-49も搭載されたが、こちらはAMOD改修の際に撤去されている。またAMOD改修の際に、砲の目標捕捉・射撃指揮レーダーとして搭載されていたAN/SPQ-9AはAN/SPQ-9Bに更新され、低空警戒性能を向上させている。

ミサイル[編集]

 

艦対空ミサイルとしては、従来のスタンダードミサイル(SM-1)を発展させたSM-2を採用した。その発射機としては、当初は連装のMk.26 GMLSを使用していた。これは先行するターター-D・システム向けに開発されて、バージニア級原子力ミサイル巡洋艦およびキッド級ミサイル駆逐艦において、スタンダードSM-1MRを運用していたものと同系統であり、本級の場合、艦首尾側いずれも44発を収容できるMk.26 mod.1が設置されていた。

その後、6番艦以降より、新開発のVLSであるMk.41 mod.0が搭載されるようになった。これは61セルのMk.158発射機2基を前後に搭載したもので、垂直発射方式の採用により、抗堪性、即応性、連射能力のいずれもが向上した。なおMk.41には、スタンダード用のショート・モジュールとトマホーク巡航ミサイルの運用にも対応したロング・モジュールがあり、当初は、上記のように船体の重量・重心が危惧されていたこともあって、一部はショート・モジュールにすることも検討されたが、運用の柔軟性を考慮して、結局は全てロング・モジュールとされた。

その後、近接防空能力向上の為、AMOD改修の際に、ESSM個艦防空ミサイルの運用能力が付与された。またこの際、ファランクス 20mmCIWS(Mk.15)もブロック1Bにアップデートされている。

なお艦対空ミサイルの終末誘導を担当するのがMk.99 ミサイル射撃指揮装置で、本級の場合、AN/SPG-62イルミネーターを前後に2基ずつの計4基搭載した。

ミサイル防衛[編集]

一部の艦にはイージスBMDシステムを搭載し、SM-3弾道弾迎撃ミサイルの運用に対応する改修がなされている。2002年より、まず「レイク・エリー」において試験が開始された。また「シャイロー」(CG-67)はイージスBMD3.6システムを搭載し、2006年6月の試験によってミサイル防衛能力を確認したのち、横須賀海軍施設に配備された。その後、2013年までに、CG-61、CG-70、CG-72、CG-73がイージスBMDシステムを搭載しており、更に少なくとも5隻の改修が見込まれている。

これらのイージスBMD搭載改修の成果はAMODで統合され、2014年度から2016年度にかけて、ベースライン4搭載艦ではBMD5.0の適用が予定されている。

対潜戦[編集]

対潜戦装備は、当初は基本的にスプルーアンス級の構成が踏襲されており、ソナーとしてはAN/SQS-53Aをバウ・ドームに収容して搭載、水中攻撃指揮装置はMk.116 mod.4であった。また対潜兵器としては324mm3連装魚雷発射管を装備したほか、Mk.26 GMLSからアスロック対潜ミサイルを発射できた。

その後、1983年度計画の8番艦よりAN/SQR-19 TACTASの搭載が開始された。10番艦からはAN/SQQ-89(V)3統合対潜システムも搭載され、これに伴って船体装備ソナーはAN/SQS-53Bに、水中攻撃指揮装置もMk.116 mod.6に更新された。これは6 – 9番艦にもバックフィットされており、ベースライン2以降の全艦がAN/SQQ-89を装備するようになった。またAMOD改修により、ベースライン2搭載艦では曳航ソナーをAN/SQR-20に更新、またベースライン3・4搭載艦では統合対潜システムもAN/SQQ-89A(V)15に更新されつつある。

対水上戦[編集]

54口径127mm砲とハープーン 4連装発射筒

艦砲はバージニア級以来の構成が踏襲され、艦首尾に1基ずつの127mm単装砲(Mk.45 5インチ砲)を搭載し、Mk.86 砲射撃指揮装置の管制を受けた。本級のMk.86の火器管制レーダーは目標捕捉用のAN/SPQ-9Aのみで、AN/SPG-60追尾レーダーを備えておらず、対空射撃には対応していなかったが、1990年度の改修によって対応した。またAMOD改修の際に、AN/SPQ-9Aは低空警戒性能を向上させたAN/SPQ-9Bに、艦砲は62口径127mm砲に、GFCSもMk.160 mod.11に換装され、Mk.34 mod.4 GWSを構成するようになった。

対艦兵器としては、艦の後部にハープーン艦対艦ミサイルの4連装発射筒2基を装備した。ただし多くの艦では、平時の搭載数は4発のみとなっている。

また上記の通り、6番艦よりMk.41 mod.0 VLSが搭載されたことから、トマホーク巡航ミサイルによる対地火力投射にも対応し、トマホーク武器システムの武器管制システム(AN/SWG-3 TWCS)も搭載された。

電子戦[編集]

電子戦システムとしては、電子戦支援・電子攻撃両用のAN/SLQ-32(V)3電波探知妨害装置を搭載した。ただしAMOD改修では、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦では新型のSEWIP電波探知妨害装置への換装が盛り込まれているのに対し、本級では対象外となっている。

1999年には、CG-58・59および63で、Mk.137を用いてNULKAアクティブ・デコイを発射する能力が付与された。その後、AMOD改修によって、専用のMk.53 mod.5発射機が追加搭載されている。

航空機[編集]

艦載機としては、当初のベースライン0では航空艤装がトップヘビーにつながることを危惧して、比較的簡素・軽量な装備で運用できるSH-2ヘリコプターを用いたLAMPS Mk.Iが用いられていた。

その後、ベースライン1以降では、より大型で強力なSH-60Bヘリコプターを用いたLAMPS Mk.IIIに更新され、これにともなってRAST(Recovery Assist, Secure and Traverse)着艦誘導・拘束装置が搭載された。なおヘリコプター用として、短魚雷36発分の弾薬庫が設置されている。

ヘリコプター対潜水艦飛行隊(HSL)はヘリコプター海上攻撃(HSM)飛行隊に変更され、2006年から2015年の間にSH-60BからMH-60Rに更新された。SH-60Bは2015年5月11日に米海軍から正式に退役している。

イージス艦の比較
まや型 ホバート級 世宗大王級
バッチ1
タイコンデロガ級
AMOD改修艦
アーレイ・バーク級
フライトIIA
船体 満載排水量 10,250 t 7,000 t 10,290 t 9,763 t – 10,010 t 9,648 t
全長 170 m 146.7 m 165 m 172.46 m 155.3 m
全幅 21.0 m 18.6 m 21.4 m 16.76 m 20.1 m
主機 方式 COGLAG CODOG COGAG
出力 69,000 ps 47,000 hp 105,000 hp 86,000 hp 100,000 hp
速力 30 kt 28 kt以上 30 kt以上
兵装 砲熕 62口径5インチ単装砲×1基 62口径5インチ単装砲×2基 62口径5インチ単装砲×1基[注 2]
20mmCIWS×2基 20mmCIWS×1基 30mmCIWS×1基 20mmCIWS×2基 20mmCIWS×2基[注 3]
87口径25mm単装機関砲×2基
12.7mm単装機銃×4基
ミサイル Mk.41 VLS×96セル
(SM-2, SM-3, 07式)
Mk.41 VLS×48セル
(SM-2, SM-6, ESSM)
Mk.41 VLS×80セル
(SM-2)
Mk.41 VLS×122セル
(SM-2, VLA, TLAM)
Mk.41 VLS×96セル
(SM-2, ESSM, VLA, TLAM)
K-VLS×48セル
(天竜, 紅鮫)
RAM 21連装発射機×1基
SSM[注 4] 4連装発射筒×2基 ハープーン 4連装発射筒×2基 海星 4連装発射筒×4基 ハープーン 4連装発射筒×2基 [注 5]
水雷 324mm3連装短魚雷発射管×2基
艦載機 SH-60K×1機[注 6] MH-60R×1機 スーパーリンクスMk.99×2機 MH-60R×2機
同型艦数 2隻 3隻 3隻 11隻 47隻予定

Mk.26 GMLS 装備艦[編集]

Mk.41 VLS 装備艦[編集]

アメリカ海軍は、1995年より、次世代水上戦闘艦としてSC-21(Surface Combatant for 21st Century)のコンセプト開発に着手しており、本級の後継艦としてCG-21計画艦も盛り込まれていた。その後、CG-21はCG(X)に発展し、スプルーアンス級駆逐艦の後継となるDD(X)とファミリー化して開発されることになっていた。しかしDD(X)はズムウォルト級ミサイル駆逐艦として結実したものの、建造費用高騰もあって建造数は削減され、かわりに2010年度よりアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦フライトIIAの建造が再開された。そして2010年にはCG(X)計画の中止が決定され、その代替も兼ねて、2016年度からはフライトIIIの建造が開始されることになった。

その後、中国人民解放軍海軍の055型駆逐艦の登場や対艦ミサイル戦力の拡充などを受けて、水上艦戦力の拡充が図られることになり、巡洋艦の開発計画も再開されることになった。アメリカ海軍の2021年度予算案には次期巡洋艦の開発費用が盛り込まれており、計画では、2025年までに1番艦建造に必要な全ての作業を終わらせることを目標にしている。このように急速な開発が求められたことから、新技術の導入は避けて実証済みの技術のみで構成し、開発期間の短縮とリスクを軽減する計画とされている[15]

目下のところ、DDG(X)(en)計画が具体的に進み始めた反面、本艦級の後継艦の具体的な話はいまだ出ていないため、DDG(X)(en)と統合される可能性もあるが、概要末尾に述べた通り、アーレイ・バーク級に比して能力が高いため、アメリカでは本艦級の後継を望む声は根強く残っている。

登場作品[編集]

映画[編集]

『GODZILLA ゴジラ』
多数の同型艦が登場。洋上を移動するゴジラを追跡し、ゴールデン・ゲート・ブリッジで戦闘を行う。
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
多数の同型艦が登場。ニミッツ級航空母艦やアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦と共にバミューダ近海のモナーク第54前進基地「キャッスル・ブラボー」付近に集結する。水没したワシントンD.Cでの戦闘では1隻が撃沈される他、ボストンでの戦闘にも参加する。
『ゴジラvsコング』
多数の同型艦が登場。コング輸送中にてゴジラの襲撃に遭い多数が轟沈したが、1部の艦艇は大破だけで済んでる。
『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』
名称不明の艦が登場。ディセプティコンに占拠されたシカゴにトマホークを発射する。
『バトルシップ』
多数の同型艦が登場。リムパック演習に参加しているが、エイリアンが発生させたバリアの範囲外にいたため、エイリアンと戦闘することはなかった。

アニメ・漫画[編集]

『BLUE SEED』
第24話に同型艦が2隻登場。東京を覆い尽くした巨大植物に対応すべく日本近海に展開したアメリカ海軍の艦隊に含まれている。
『Pa-Pa-Pa ザ★ムービー パーマン タコDEポン!アシHAポン!』
Dr.オクトと戦うパーマンたちを支援すべく出動した軍の艦艇として、同型艦が2隻登場。Dr.オクトの飛行要塞を南の島の近海で攻撃し、撃墜している。
『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』
第4巻(アニメ版第12話)に第7艦隊所属の「シャイロー」が登場。中国が発射した4発の東風-21を、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「カーティス・ウィルバー」および、こんごう型護衛艦「こんごう」「きりしま」とともにSM-3で迎撃する。
『空母いぶき GREAT GAME』
「ポート・ロイヤル」が登場。ソナーを拾得した「ディオサ」を確保すべくアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ハルゼー」と供に北極海へ向かう。
『サブマリン707R』
国連PKN艦隊所属艦として同型艦が多数登場。第1話では、多数の同型艦が架空の巨大空母「アポロノーム」の護衛に当たっているが、敵対組織USRの潜水艦「UX」の攻撃を受けて全滅。第2話では、USR艦隊攻撃作戦「オペレーション・レッドスクリーム」に参加した「ヴァリー・フォージ」が、「UX」の攻撃によって撃沈されたことが台詞で触れられている。
『銃皇無尽のファフニール』
第9話にニブル所属艦として同型艦が2隻登場。超大型のミスリル製爆弾「ミストルテイン」を用いたドラゴン「バジリスク」に対する攻撃作戦に参加する。
『新海底軍艦』
国連軍特別平和維持部隊所属艦として「トーマス・S・ゲイツ」や架空艦「J・ガーランド」(ハルナンバー49)などのベースライン1の同型艦が多数登場。「J・ガーランド」は旗艦を務めており、第1話では南極海にて地空人の釣鐘要塞およびリングと交戦し、「J・ガーランド」以外の少なくとも2隻が撃沈された。第2話では「J・ガーランド」以下の同型艦が、海底軍艦「羅號」を接収すべく小笠原諸島の菅原海洋開発基地へと赴き、「羅號」を攻撃。その後、地空人の海底軍艦「リバティ」の振動波攻撃によって1隻以上が撃沈されている。
『新世紀エヴァンゲリオン』
第8話に国連軍太平洋艦隊所属艦として「タイコンデロガ」が登場。旧伊東沖遭遇戦にて、第6使徒「ガギエル」と交戦するEVA弐号機の足場にされている。
『戦闘妖精雪風』
第4話に国連軍南極海派遣艦隊所属艦としてベースライン0もしくは1及び2以降の同型艦が数隻登場。超空間通路から出現した異星体「ジャム」と交戦し、うちハルナンバー「DD-1025」がジャム機の体当たりによって大破している。
『ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園- 未来編』
未来機関の治安維持部隊所属艦として登場。ジャバウォック島周辺に展開している。
『超時空戦艦まほろば』
アメリカ海軍と怒国海軍の駆逐艦として登場。第1巻では、怒国海軍所属艦が国連軍PKF部隊に参加し、潜航中の戦艦「まほろば」を「重波動爆雷」という新型爆雷を用いて攻撃。第2巻では、アメリカ海軍の架空艦「パララックス」ほか1隻が横須賀へ向かう架空の空母「スペースワスプ」を護衛しているほか、第1巻のものと同一の怒国海軍艦が「まほろば」に飛び越えられ小破している。
『沈黙の艦隊』
「ヴェラ・ガルフ」などの同型艦が多数登場。架空の原子力潜水艦「やまと」と戦闘を繰り広げる。
『南海奇皇』
第47話にアメリカ艦隊所属艦として同型艦が登場。少なくとも1隻が、ネオランガが逃げ込んだバロウ島の包囲に従事している。
『ビビッドレッド・オペレーション』
第1・第2・第12話などにUDF(連合防衛軍)所属艦として「カウペンス」ほか数隻の同型艦が登場。伊豆大島近海で巨大敵性体「アローン」と交戦しているが、有効な攻撃は行えていない。
『無の黒船 クライシスIII』
第1巻に国際協同協力艦隊所属艦として架空艦「トラビスIII世」が登場。作中での艦級名は「アラモ級ミサイル駆逐艦」で、タンカー群を護衛するためホルムズ海峡に展開していた際に、国籍不明の潜水艦が放った魚雷が艦尾に直撃し、ソ連のスーパーナガン級ミサイル巡洋艦「マリュートカ」(架空)による救助を受ける。
『ヤマタイカ』
第2部に「サン・ジャシント」が登場。ヤマタイカのマツリによって復活した大和型戦艦「大和」の攻撃に向かうアイオワ級戦艦「ニュージャージー」を中心とした艦隊に所属していたが、艦尾に「大和」の主砲弾の直撃を受けてしまう。
『リーンの翼』
第3話から第6話に同型艦が少なくとも2隻登場。架空の原子力空母「パブッシュ」を中心とする艦隊に所属しており、「パブッシュ」とともに造反して東京湾に展開する。
『レディイーグル』
第21話に第7艦隊所属の「シャイロー」が登場。自衛隊とアメリカ軍による合同演習に参加しており、航空自衛隊が第7艦隊を攻撃するというシナリオの演習の中で、対艦攻撃を仕掛けるF-2と護衛機のF-15Jを迎撃する。
『デビルマン』
第7話にて第七艦隊所属の同級が登場、提督に化けていたデーモンの命令で戦術核兵器を発射するが神によりロトの妻と同じく塩にされた。

小説[編集]

『ARIEL』
第7巻に第7艦隊所属の架空艦「マハラタ・フォフ」が登場。宇宙人の巨大ロボット「降下兵」をスタンダード SM-2で攻撃するが、ダメージは与えられていない。なお、僚艦として「リークリフ」という架空のイージス艦も登場しているが、こちらの艦級は不明。また、第20巻でも、艦名不明の同型艦2隻がイースト・リバーに展開し、巨大ロボット「ARIEL」とスペースシャトル「ディスカバリー」が着陸したマンハッタン島の封鎖に従事している。
『Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ』
第4巻に中東へ向かう太平洋艦隊所属艦が登場。東京湾に現れたオジマンディアスの宝具「光輝の大複合神殿」を攻撃したために反撃され、艦隊ごと消滅した。
『群青神殿』
第7艦隊に所属する「カウペンス」と「ヴィンセンス」が登場。巨大な海中生物「ニューク」の捕獲作戦を実行すべくフィリピン近海へと展開するが、作戦実行中にモンスーンの中でニュークの大群の襲撃を受けて両艦とも撃沈される。
『創竜伝』
第6巻に架空艦「アパラチア」が登場。サンフランシスコに出現した2頭のドラゴンを攻撃すべく、他艦とともにサンフランシスコ湾内へと向かい「サンフランシスコ大海戦」に参加するが、レッド・ドラゴンの放った凍結波によって氷結したところにホワイト・ドラゴンの体当たりを受け、船体を両断されて沈没する。
『征途』
湾岸戦争時にミッドウェイ級航空母艦「ミッドウェイ」の護衛艦として「タイコンデロガ」「バンカー・ヒル」が登場。SM-2で日本民主主義人民共和国(北日本)対イラク軍事顧問団のMIG-29Jとペルシャ湾岸のイラク領より発射されたC201を迎撃するが、その途中でイラクに派遣されたソ連軍事顧問団から空対艦ミサイルによる飽和攻撃を受け、「タイコンデロガ」がAS4キッチンにより撃沈される。
統一戦争時には「アンツィオ」「ヴェラ・ガルフ」「フィリピン・シー」「レイテ・ガルフ」「プリンストン」「ノーマンディー(劇中ではノルマンディ表記)」が登場。北日本による開戦時の奇襲攻撃により「アンツィオ」「ヴェラ・ガルフ」「フィリピン・シー」「レイテ・ガルフ」が撃沈され、「プリンストン」が大破、「ノーマンディー」が艦尾に被弾している。

ゲーム[編集]

『CRYSIS』
不完全ではあるが、「ヴァリー・フォージ」のモデルがゲーム内に存在する(エディタに収録されている)。
『METAL WOLF CHAOS』
大西洋艦隊の司令艦として登場。クーデターを起こした副大統領、リチャード・ホークに従っており、マイアミで大統領、マイケル・ウィルソンが乗る特殊機動重装甲「メタルウルフ」と交戦する。武装が実艦のものから強化されており、5インチ単装砲を4基有するほか、艦橋後部とヘリ甲板上に8連装の大型ミサイルランチャーが増設されている。
World in Conflict英語版
パインバレー攻防戦やシアトル攻防戦にて、前者は沖合に停泊しているアイオワ級戦艦「ミズーリ」の護衛艦として、後者は艦隊の1隻として、マップ外部に配置されている。
『エースコンバットシリーズ』
多くの作品において「イージス艦(AEGIS)」のグラフィックモデルとして登場する。
『エースコンバット アサルト・ホライゾン』
物語終盤に「アンツィオ」が登場。ワシントンD.C.防衛のためにポトマック川に展開するが、Su-35 フランカーE数機の特攻を受け大破、火器管制装置、通信機器の大半が能力を損失し、艦長代理が離艦を決定しポトマック川を漂流する。エースコンバットシリーズにおいて実在の軍艦が登場するのは、これが初となる。
『エナジーエアフォース』
友軍の艦艇として登場。プレイヤーが使用する空母の護衛をしている。
『鋼鉄の咆哮シリーズ』
敵艦として登場。『鋼鉄の咆哮2 ウォーシップコマンダー』からはプレイヤーも使用可能となる。
『戦闘国家シリーズ』
アメリカの基本装備として組み込まれている。
『大戦略シリーズ』
アメリカの基本装備として組み込まれている。
『エースコンバット3D クロスランブル』
最終防衛ラインで、大陸北部、スナイダートップ周辺で、クーデター軍の敵の船として、AEGISという形でタイコンデロガ級の形で出てきている。ミサイル発射システムは、主砲の場所に2つRAMとして、出てきている。

注釈[編集]

  1. ^ AMOD改修艦は62口径に交換
  2. ^ DDG-79とDDG-80は54口径。DDG-81から62口径
  3. ^ DDG-85から後部の1基のみ
  4. ^ 1番艦は90式、2番艦は17式
  5. ^ フライトIIまではハープーン4連装発射筒が2基搭載されていたが、フライトIIA以降から搭載されなくなった。しかし、必要時には搭載できるようにスペースは確保されている。
  6. ^ 通常は搭載されていない。

出典[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]