多摩川競艇場 – Wikipedia
多摩川ボートレース場(たまがわボートレースじょう)は、東京都府中市是政にあるボートレース場である[1][2][3]。
多摩川土手の北(徒歩約5分)に位置する。かつて多摩川河原の砂利採取場であった場所をボートレース場に転用したものである。
開場当初の名称は府中競艇場であった。2010年よりBOAT RACE多摩川(ボートレースたまがわ)、2015年より多摩川ボートレース場に改称した。
施設所有は西武グループの西武建設株式会社であったが、2010年から西武グループの多摩川開発株式会社[4]が所有している。最寄り駅として西武多摩川線の競艇場前駅が設置されるなど、西武グループとの縁が深い。かつては無料シャトルバスも西武バスが運行していたが、2015年度より京王自動車に運行事業者が変更された。
青梅市および東京都四市競艇事業組合(小平市、日野市、東村山市、国分寺市)により公営競技である競艇が開催される。なお、所在地の府中市は多摩川競艇場での競技は開催せず、大田区の平和島競艇場での競技を主催している。
2008年度の開催から薄暮レースが行われるようになった。2015年からは出力低減モーターが採用されている。電話投票コードは05#。
一部敷地(現在のプールの東側半分)は、府中市と東京都都市整備局の都市計画において、公園用地に指定されている。
キャラクター[編集]
2013年、イメージキャラクター(萌えキャラ)として「静波まつり」[5]が登場した。名前は「日本一の静水面多摩川=静波」、是政の「政=まつりごと」に由来する[5]。誕生日は競艇場開場日の6月9日、出身地は主催自治体の青梅市という設定[5]。「静波まつり」は当初は主に周年記念のポスターやパンフレットに描かれていたが、その後は公式Twitterアカウントなどにも登場するようになった[6]。京王自動車が運行する無料シャトルバスにも、これらのキャラクターがラッピングされている。まつりが歌唱を担当するイメージソングは、レース本番前の展示航走BGMにて使われるなどポピュラーなまでになった。
マスコットキャラクターは、カワセミをモチーフとした「ウェイキー」と「リップル」で、名前の「ウェイキー」は航跡を意味する英語の「wake」に、「リップル」はさざ波を意味する英語の「ripple」に由来する。
多摩川河川敷の砂利採掘場および旧多磨村立中学校跡地を利用して造成され、1954年5月に完成。同年6月9日に初めてレースを開催した。当初は府中競艇場と呼ばれていたが、翌1955年5月9日に多摩川競艇場と改称している。
開場に際しては地元で反対運動が起こり、多磨村(府中市の前身である3つの自治体の一つ)村長のリコール騒ぎに発展した。
開設当初はプールの水が地下に浸透してしまうなどレース実施は困難を極めたが、その後の高度経済成長期に売上を伸ばし、1967年には一日の売上が初めて1億円を突破した。最盛期の1990年度には年間売上1295億円、入場者174万人を記録、収益は130億円に達している。
しかしバブル崩壊以降は売上・入場者ともに激減し、1998年度には入場者120万人、売上660億円と最盛期の半分程度となった。翌年からは赤字に転落し、一般会計に繰り出しのできない時期が続いた。その後、数百人に及ぶ従業員のリストラ、西門一帯の閉鎖など徹底的な経費削減により赤字を脱するが、本場の収支はその後も赤字が続き、2015年度売上は372億円と最盛期の4分の1以下となり、年間入場者も50万人台まで減少、一日の売上が1億円を割ることも多かった。
その後、電話投票と呼ばれるいわゆるインターネット投票が普及した事や前述の徹底した経費削減により、2017年度の売上の362億から2018年度は440億、2019年度は532億、2020年度はコロナ禍が直撃したにも関わらず、ここ20年間で最高の売上となる706億円を記録するなど近年は右肩上がりの好調が続いている[7]。
年表[編集]
- 1954年
- 5月 – 施設が完成。
- 6月9日 – 府中競艇場として開場、初レース開催。
- 1955年5月9日 – 多摩川競艇場に改称。
- 2010年4月 – BOAT RACE多摩川(ボートレースたまがわ)に改称。
- 2015年4月 – 多摩川ボートレース場に改称。
- 2012年3月20日 – 府中本町駅から日曜・祝日に運行していた無料タクシーが運行終了[8]。
- 2015年4月1日 – 多磨霊園駅・府中本町駅発着の無料シャトルバス運行事業者が、長年運行してきた西武バス小平営業所から、京王自動車に変更。
- 2020年
- 2月28日 – 新型コロナウイルス感染拡大に伴う全公営競技無観客開催措置発動により、外向・場外発売所も含めて閉鎖。解除までは無観客で開催。
- 7月19日 – この日開幕の開催節より本場の無観客開催措置を解除。全国24場では最も遅い解除となった(5月の大村を皮切りに順次解除されていたが、首都圏の平和島・江戸川・戸田・多摩川の解除は7月中旬までずれ込んでいた)。
施設の特徴[編集]
スタートラインから1マーク寄りにはアプローチスペースが設けられており、1マーク周辺の攻防を近くで眺めることができる。イベントスペース(イーストスクエア風)は2マーク側にあり、比較的こぢんまりとしているが、大きなレースなどのときに芸能人がゲストとして呼ばれてショーを行うときには近くで見ることができる。以前はスタートライン5メートル前に泡のラインを作ってスタートの大まかなタイミングがファンにもわかるようになっていた。現在はサーキット場等で使われているシグナル音が用いられ、大時計の黄色い秒針(12秒針)が4秒前・2秒前・1秒前・0秒(フラット)の時に時報のスタイルで、スタートタイミングを知ることができる。又、スタンドからは富士山を望む事が出来る。
発売締め切り間近をファンに伝える音楽には、リチャード・クレイダーマンの「ほほえみのバネッサ」が用いられている。
場外発売場は、千葉県市原市のボートピア市原と宮城県黒川郡大郷町のボートピア大郷を設置している。2017年10月6日、全国競艇場で最後となる外向発売所「ウェイキーパーク多摩川」が本場正門横にオープンした。
水面特性[編集]
競走水面はプール[1][2]で、水質は淡水[1][2]。多摩川が近いことから多摩川の水を引き込んでいると思われがちだが、実際は1マーク側にある井戸からの水を使用している。対岸に防風林が設置されており、水面は風の影響を受け難く[2]荒れることが少ないことから「日本一の静水面」というニックネームが付けられている。台風接近などで同じ東京の平和島競艇場や江戸川競艇場が強風で開催中止になる中、多摩川のみ通常通り開催になることがあるほど。
関東のレースの中では水面が一番広く、選手間でも走りやすいレース場とされている。消音モーター時代は他場に比べてイン勝率が非常に低く、2007年開催の優勝戦では数多くの有力選手が敗退しており、「魔の優勝戦1号艇」「多摩川の優勝戦1号艇には魔物が潜んでいる」ともいわれた。
出力低減モーター導入後はプロペラ制度変更の影響もあり、現在の年間イン勝率は50%前半程度と若干改善されている。イン優勢の流れは他の競艇場同様変わらないが、イン逃げが中々決まらないと評価する者も少なからず居り、コース不問で多彩な決まり手が出やすい競艇場といえる。
古くから女子戦が盛んに開催されており、2020年に8年ぶりに行われる事になったレディースチャンピオンの開催回数は7回と一番多い(2019年現在)。また、男子選手と女子選手を半数ずつ集めてそれぞれの優勝者を決めるダブル優勝tvkカップも行われている。以前は男女別に予選を行い、男女同数選手で優勝戦を行う優木まおみ杯も行われていた。
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観客席
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水面
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発走ピット
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電光掲示板
主要開催競走[編集]
周年記念(GI)はマスコットキャラ(ウェイキーとリップル)にちなみ「ウェイキーカップ」が行われる。また、年末年始には「多摩川カップ」と「新春特別かどまつ賞」、ゴールデンウィークには「多摩川さつき杯」、お盆にはボートピア大郷の所在地にちなんで「大郷葉月杯」が行われている。
新鋭リーグ戦の名称は「是政王子決定戦」だったが、現在は「是政プリンス決定戦」として行われている。女子リーグ戦の名称は「モーターボートレディスダービー」、その後では「リップルカップ」となったが、「リップルカップ」はオール女子戦(GIII)の名称として引き継がれ、現在は「是政プリンセスカップ」、企業杯(GIII)として、「サントリーカップ」が行われる。
一般戦ではあるが、男女混合で「ダブル優勝 tvkカップ」が行われる他、蛭子能収の冠がつけられた「多摩川蛭子カップ」が行われている。また、2011年から年に数回場内で「アイドルフェス in TAMAGAWA KYOTEI」を開催しており、以前はそのイベントナビゲーターを務めていたバニラビーンズの冠が付けられた「バニラビーンズカップ」も年1回行われていた。
SG開催実績[編集]
年度 | 競走名 | 優勝者 | 登番 | 出身 |
---|---|---|---|---|
1963 | 第09回全国地区対抗競走 | 北川一成 | 1395 | 広島 |
1965 | 第11回全国地区対抗競走 | 大島忠行 | 1200 | 岡山 |
1988 | 第35回全日本選手権競走 | 今村豊 | 2992 | 山口 |
1996 | 第06回グランドチャンピオン決定戦競走 | 高山秀則 | 2672 | 宮崎 |
1998 | 第44回モーターボート記念競走 | 長岡茂一 | 3227 | 東京 |
2001 | 第47回モーターボート記念競走 | 市川哲也 | 3499 | 広島 |
2005 | 第40回総理大臣杯競走 | 笠原亮 | 4019 | 静岡 |
2009 | 第44回総理大臣杯競走 | 池田浩二 | 3941 | 愛知 |
2019 | 第29回グランドチャンピオン | 柳沢一 | 4074 | 愛知 |
SG開催予定[編集]
地元の有力選手[編集]
年間売上[編集]
2010年度以降の年間売上[10]。
- 2010年度:329億円
- 2011年度:406億円
- 2012年度:308億円
- 2013年度:324億円
- 2014年度:311億円
- 2015年度:372億円
- 2016年度:358億円
- 2017年度:362億円
- 2018年度:440億円
- 2019年度:532億円
- 2020年度:706億円
SG開催年度の参考データ
- 2004年度:577億円
- 2008年度:502億円
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