イヌホオズキ – Wikipedia

イヌホオズキ(犬酸漿; 学名: Solanum nigrum)は、ナス科ナス属の植物。バカナスとも呼ばれ[2]、ホオズキやナスに似ているが役に立たないことから名付けられた[2]

リンネの『植物の種英語版』(1753年) で記載された植物の一つである[3]

形態・生態[編集]

茎はまっすぐに立ち、よく分枝して、高さは30-60cm[4][2]になる。まばらに短い毛を生じるが、無毛のこともある。

葉は長さ3-10cm[4][2]で、基部には1-5cmの翼を持つ葉柄がある。葉は広卵形[2]、先端は鈍いかわずかに突出し、基部は丸いかくさび状。縁はなめらかか、波状の鋸歯[4][2]がある。葉質はかさついた感触で、葉の両面に短い毛を有する(個体差が大きいが)。発芽したばかりの葉はナスやトウガラシと若干類似する。

茎の途中から花柄を出し、その先端に一見すると散房状(一点から複数が周りに広がる形)に4-8個[2]の花をつける。花は白いナス状の花びらに、黄色いおしべが突き出している。萼は杯状で浅く5裂する。花冠は深く5裂して反り返る。

果実は未熟な場合には青く、小さいトマトのようである。熟すと直径0.7-1cm[4][2]の黒色の果実となり、光沢がない[2](個体にもよる)。 種子は2mm程度である。イヌホオズキの仲間はよく似ており区別が難しい。全草にソラニンを含むため、食べられない。

分布・生育地[編集]

世界の温帯から熱帯にかけて広く分布する。日本では史前帰化植物だと考えられていて、日本全土に分布する。

主に畑や道端、民家の庭先などに生息する。一般的な家庭の庭にも生え、雑草として家主を悩ます。

人間との関わり[編集]

全草にソラニンを含む有毒植物である。しかし熱帯では全草を煮て食べる地域がある[5](例: ケニアのキクユ人[6])。

花言葉は「嘘つき」。

諸言語における呼称[編集]

  • 英語: black nightshade[5]ブラックナイトシェード

アジア[編集]

インド:

バングラデシュ・インド:

インドネシア:

中国語 龍葵

アフリカ[編集]

ケニア:

ナス属(Solanum)はナスやトマトをも含む大きな属であり、形態的には多様である。その中で、本種にとてもよく似たものはいくつかある[4][8]。区別はなかなか難しい。

日本の在来種では、テリミノイヌホオズキ英語版はやや葉が大きく、花や種子はやや小さい。明確な区別点は、本種では花序が散房状に近くはあるが、その基部をよく見ると、軸の上で互いにややずれて出るのに対して、その部分がごく短く、完全に散房状に見える点である。九州以南に分布する。現在では、昭和に発見されて帰化したアメリカイヌホオズキなどを見ることが多い。

注と出典[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]