おとめ座 – Wikipedia
おとめ座(おとめざ、乙女座、Virgo、ヴァルゴ、ヴィルゴ)は、黄道十二星座の1つ。トレミーの48星座の1つでもある。全天でうみへび座に次いで2番目に広い星座である[1]。現在秋分点がある。
α星は、全天21の1等星の1つであり、スピカと呼ばれる。スピカと、うしかい座のα星アークトゥルス、しし座のβ星デネボラで、春の大三角を形成する[2]。

主な天体

恒星
以下の恒星には、国際天文学連合によって正式な固有名が定められている[3][4]。
- α星:スピカ[5] (Spica) は、おとめ座で最も明るい恒星で、全天21の1等星の1つ[6]。
- β星:ザヴィヤヴァ[5] (Zavijava)
- γ星:ポリマ[5] (Porrima)
- δ星:Minelauva
- ε星:ヴィンデミアトリックス[5] (Vindemiatrix)
- ζ星:A星にHezeという固有名が付けられている。
- η星:ザニア[5] (Zaniah)
- ι星:シュルマ[5] (Syrma)
- κ星:亢 (Kang)
- λ星:A星にKhambaliaという固有名が付けられている。
- φ星:A星にElgafarという固有名が付けられている。
- PSR B1257+12:リッチ (Lich) は恒星ではなくパルサーだが、2015年12月に他の太陽系外惑星を持つ恒星とともに固有名が定められた。1992年に太陽系外惑星が2つ発見され、太陽系以外に惑星が存在することが判明した初めての天体である。
- HD 102195:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でイタリアに命名権が与えられ、主星はFlegetonte、太陽系外惑星はLeteと命名された[4]。
- HD 130322:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でスイスに命名権が与えられ、主星はMönch、太陽系外惑星はEigerと命名された[4]。
- WASP-39:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でアルバに命名権が与えられ、主星はMalmok、太陽系外惑星はBocaprinsと命名された[4]。
その他、以下の恒星が知られている。
星団・星雲・銀河

おとめ座付近にはおとめ座銀河団と呼ばれる銀河団が存在するため、銀河が多く見られる。この銀河団は、ε星の西 5°から 10°の方向にある。
おとめ座銀河団には、
が含まれる。
- M104(ソンブレロ銀河):渦巻銀河。スピカの10°西に位置する。おとめ座銀河団のメンバーではない。
その他
- 3C 273:クエーサー。はじめて認識されたクエーサーであり、クエーサーの中では視等級が最も明るい。
- VIRGOHI21:初の暗黒銀河の候補。おとめ座銀河団のメンバー。
神話

古代メソポタミアに由来する。そこでは Furrow(畝)とFrond(葉)の2つの星座があり、2人の女性が描かれていた。「畝」は隣のしし座の尾と鞭、または麦穂を持ち、「葉」は「エルアの葉」と呼ばれるナツメヤシの葉を持っていた。のちのヨーロッパではこれらが統合され1人の女性になり、それぞれの手に麦穂と葉を持つようになった[7]。
アストライアーとする説
昔、人間が争いもなく平和に暮らしていた時代(黄金時代)は、神もまた地上で人間とともに暮らしていた[1]。しかし次第に人間たちには文明と欲が生まれ、争うようになったため、神は1人ずつ天に帰っていった[1]。最後まで地上に残ったのが正義と天文の女神アストライアーで、人間に正義を教えていたが、彼女も人間に失望し、自ら天に昇っておとめ座となり、持っている天秤はてんびん座となった[1]。
デーメーテールまたはペルセポネーとする説
豊穣の女神デーメーテールの娘ペルセポネーは、妖精と花を摘んでいる際に冥神ハーデースに略奪され妻となった[1]。母デーメーテールが激怒したため、大神ゼウスはハーデースにペルセポネーを天界に帰すように命じる[1]。ペルセポネーは天界に戻ったが、冥界のザクロを口にしていたため、年のうち8か月は天上で、残り4か月は冥界で過ごすこととなった[1]。こうしておとめ座が天に上がらない4か月の期間ができ、それを嘆き悲しんだデーメーテールにより、穀物の育たない冬が生まれた[1]。
脚注
注釈
- ^ 日本ではレグルスの代わりにデネボラが入ったものが知られる。
出典
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