スイゼンジナ – Wikipedia

スイゼンジナ(水前寺菜、学名:Gynura bicolor)は、東南アジア原産のキク科サンシチソウ属の多年草である。

地域によって様々な名前で呼ばれている野菜である。熊本県ではスイゼンジナ(水前寺菜)、石川県でキンジソウ(金時草)、愛知県ではシキブソウ(式部草)、沖縄県では「はんだま」と呼ばれている。熊本で栽培されていた水前寺菜が江戸時代に金沢に伝わり、加賀野菜の金時草として全国に知られるようになった。YListでは、学名 Gynura bicolor の標準和名を「スイゼンジナ」としている[1]。中国植物名は、「紅鳳菜」とされる[1]

学名の由来は、属の学名 Gynura は「メスのしっぽ」を意味し、柱頭が長くしっぽのように見えることから。種小名 bicolor は「二色の」の意味で、葉の表と裏で色が違っていることによる。

分布、形態[編集]

東南アジア原産。タイ北部や中国南部が原産地ではないかといわれている。多年草で草丈50 – 90センチメートル (cm) になり、茎と葉はやや多肉質で、葉は互生し、葉は長さ10 cmあまりになり、長楕円形で切れ込みがある。葉にはにぶい光沢があり、表は深緑色だが、裏側は鮮やかな赤紫色またはブロンズ色で、つぶすと赤色の汁が出る。花は夏に咲き、黄色またはオレンジ色の小さな頭状花だが種子はできない。このため、繁殖はもっぱら挿し芽で行う。

葉と柔らかい茎の先端部を摘んで食用にする。食材としての旬は6 – 11月で、葉の色が濃く、ハリがあるのもが良品とされる。

石川県、熊本県、沖縄県などでローカルな野菜として親しまれており、軽く茹でてポン酢をかけたり、お浸し、汁の実、天ぷら、酢の物などにして食べられている。茹でると煮汁が紫色になり、ぬめりとほのかな苦味がある。紫色の色素は抗酸化作用があるアントシアニンで、カロテン、ビタミンC、カルシウム、カリウムなどの栄養素も豊富に含まれている。

保存する場合は、乾燥を防ぐために湿らせたキッチンペーパーなどで包んで、ポリ袋に入れて冷蔵保存するとよいとされる。

参考文献[編集]

  • 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、20頁。ISBN 978-4-415-30997-2。

外部リンク[編集]