アストンマーティン・レーシング – Wikipedia
国籍 | イギリス |
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チーム代表 | ポール・ハワース[1] |
活動期間 | 2004 – |
カテゴリ |
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公式サイト | https://www2.astonmartin.com/racing |
アストンマーティン・レーシングは、自動車メーカーのアストンマーティンとエンジニアリンググループのプロドライブとのパートナーシップで2004年に設立された英国のレーシングチーム。このパートナーシップは当初、アストンマーティン・DB9を大幅に改造したレースバージョンのDBR9を使用して、アストンマーティンをスポーツカーレースに復帰することを目的として作成された。2005年のDBR9のデビュー以来、アストンマーティン・レーシングは、カスタマーが利用できる様々な車を製造するために拡大し、ル・マン・プロトタイプ用のV12エンジンも開発した。アストンマーティン・レーシングのプログラムは、何年にもわたっていくつもの成功を収めた。
すべての車はプロドライブの工場で製造されているが、アストンマーティンはレースカーの設計、およびレースカーの要素をアストンマーティンのロードカーに反映させる為に不可欠な役割を果たしている。
2009年4月23日、アストンマーティンの会長兼プロドライブの創設者であるデビッド・リチャーズが、2010年にアストンマーティンの名前を使用しF1に参戦する計画を発表したが[2]、これは実現しなかった。アストンマーティンは以前、1959年と1960年のF1シーズンに参戦したが、どちらの年もポイントを獲得できなかった。
2021年1月21日、アストンマーティン・レーシングは、F1参戦に集中する為、世界耐久選手権のヴァンテージ GTEでのワークス参戦を終了する決定を発表した。
アストンマーティン・レーシングは、国際的なグランドツアラーの車を製造している。チームは、以前の最高峰クラスであるGT1クラスでDBR9で参戦、チーム運営をし、他の車はカスタマー供給された。LM-GTEクラス(旧GT2クラス)へは、2012年シーズンから参戦となり、マシンはV8ヴァンテージをベースにした。 その後V8ヴァンテージは、GT3およびGT4クラスでも登場した。ヴァンテージ GT3が導入される前は、DBRS9がGT3でのみレースに参戦していた。
2017年11月21日、アストンマーティンは新型ヴァンテージを発表した[3]。これは、英国のブランド史上最も売れたロードカーの後継車。その夜、前例のないシンクロナイズドローンチで、アストンマーティン・レーシングは2018年型、新ヴァンテージGTEを発表した[4]。これは、チーム史上最も成功したレーシングカーである、V8ヴァンテージGTEの後継車で、FIA世界耐久選手権にチャレンジする。
レース戦績[編集]
2005年のセブリング12時間レースでのチームのレースデビュー以来、アストンマーティン・レーシングはキャリアにおいていくつかの重要な勝利を収めてきた。彼らは最初のレースで初勝利をもたらし、コルベット・レーシングチームにも勝利した。その年の後半に RACツーリストトロフィーでも優勝した。
2006年、アストンマーティン・レーシングはアメリカン・ル・マン・シリーズでプチ・ル・マン含みシーズン5勝し、GT1クラスで総合2位、3点差でコルベット・レーシングチームに敗れた。
2007年、アストンマーティンは、コルベット・レーシングチームを破り、1959年の総合優勝以来のル・マン24時間レースでLMGT1クラス優勝を収めた。
2008年、LMGT1クラスでル・マン連覇を達成したが、アストンマーティン・レーシングはチャロウズレーシングシステムの助けを借りてル・マン・プロトタイプクラスへの参入を開始し、DBR9の6L V12エンジンをローラ・B08/60 LMP1マシンに搭載した。ル・マン・シリーズはクラス5位だった。
2009年1月27日、チームは、ローラ-アストンマーティン・B09/60を開発し、2009年のルマン24時間レース[5]のLMP1クラスでワークス参戦を発表した。このエントリーは、ル・マンでの最後の総合優勝から50周年を迎えるために行われた。2009年シーズンは、3月8日のプレシーズンのポール・リカールテストでトーマス・エンゲが007号車をクラッシュし、不安なスタートを切った。その後、アストンマーティン・レーシングは、シャーシを交換するために新シャーシをローラから納入した[6]。チームは、ガルフオイルの象徴的な青とオレンジのカラーリングを備えた2台のLMP1車で参戦。目的は、1959年のル・マン24時間レースでキャロル・シェルビーとロイ・サルヴァドーリがドライブするDBR1でのル・マン総合優勝を再現することだった。ル・マンでは、ヤン・チャロウズ、トーマス・エンゲ、シュテファン・ミュッケがドライブするAMRイースタン・ヨーロッパの007号車がプジョーとアウディのファクトリーに次ぐ4位でフィニッシュし、ガソリンエンジン車では最高位だった。アンソニー・デビッドソンがGT1クラスのアストンDBR9と衝突するまで、008号台は総合3位まで走っていた。その後の修理と、接触を引き起こしたことによる5分間のストップ アンド ゴー ペナルティにより、上位争いから脱落した。009号車は252周でリタイアした。2009年のル・マン・シリーズ(LMS)では、初戦カタロニア 1000kmで優勝した。第4戦ニュルブルクリンクでは1-2-3位表彰台独占し、007号車のヤン・チャロウズ、トーマス・エンゲ、シュテファン・ミュッケが2009年ドライバーズタイトルを獲得、そしてローラ-アストンマーティン・B09/60のAMR・イースタン・ヨーロッパがチームタイトルを獲得した。岡山国際サーキットで行われた、アジアン・ルマン・シリーズにも参戦[7]。レース2で、優勝を飾った。
2010年のルマン24時間レースも3台がエントリーしたが、#007と#009がアストンマーティン・レーシングによって運営された。#008車はフランスのレージングチーム、シグナチュール・チームによって運営された。#008と#009、両方の車がトラブルを抱えてリタイアし、#007だけが総合6位でフィニッシュし、365周した。
2011年、B09/60は、小型の2.0L ターボチャージャー付き直列6気筒ガソリンエンジンを搭載した、アストンマーティン・AMR-Oneに引き継がれた。当初、マシンの走行は非常に悪かった。最初のレースである2011年のカステレ6時間では、予選ではLMP2マシンと同じ速さしかなく、メカニカルトラブルに悩まされていた。たった96周しか走行できなかった。そして、彼らは2011年ル・マンまで、インターコンチネンタル・ル・マン・カップに参戦中止を決定し、メカニカルトラブルを改善するために、問題を抱えた車のプライベートテストを続行できるようにした。そしてル・マン24時間レースに参戦したが、テストし、2台体制にもかかわらず、彼らは予選でまだLMP2の真ん中でタイムでラップしていて、レースではさらに悪いシナリオだった。009号車はサルト・サーキットを2周しただけでリタイアし、007号車は2周後に4周でリタイアした。この衝撃的な結果の後、チームは残りのシーズンの期間、旧型のB09/60でレースしたが、新しい2011年の規制に準拠するために大幅にダウングレードされた。
2012年、アストンマーティン・レーシングはヴァンテージGT2でGTレースに復帰した。そして2012年のル・マン24時間レースに、LMGTE-ProクラスとLMGTE-Amクラスに1台づつのマシンで参戦した。去年のAMR-Oneの1台がペスカロロ・スポールに売却された。ペスカロロ・スポールはそのマシンをモデファイし、ペスカロロ・03と名付けた。彼らは、アストンマーティンのエンジンではなく、ジャッドエンジンを使用。もう1つのAMR-Oneは、2012年にハイクロフトレーシングがル・マンでデビューさせた、デルタウイングのベースとなった。デルタウイングはAMR-Oneのカーボンファイバータブを使用している。
2012年以来、アストンマーティン・レーシングはFIA世界耐久選手権でヴァンテージGTEでレースに参戦、勝利とタイトルを獲得している。 2012年のFIA 世界耐久選手権の開幕シーズンでは、アストンマーティン・レーシングはLMGTE-Proトロフィーで総合2位を果たした。
2013年、チームはル・マン24時間レースに、アストンマーティン創立100周年を祝うために、チームはLMGTE-Proクラスに3台の2013年仕様のヴァンテージGTEと、LMGTE-Amクラスに2台の2012年仕様のヴァンテージGTEで参戦[8]。またチームはFIA世界耐久選手権にフルシーズンで参戦する[9]。元F1ドライバーのブルーノ・セナがチームに参加し[10]、GTE-Proクラスでフレデリック・マコヴィッキィとロバート・ベルともに参戦する。メインのGTE-Proマシンには、AMRの常連であるダレン・ターナーとシュテファン・ミュッケ、ピーター・ダンブレックはル・マン24時間レースとWEC第2戦スパ・フランコルシャンに参戦する。
2014年には、デンマークのクリスティアン・ポウルセンとデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソンとともに、LM-GTEAmクラスでチーム、ドライバーのダブルタイトルを獲得した。シーズン中、彼らはLM-GTEAmクラスで2014年のル・マン24時間レースでもクラス優勝した。
2016年、ニッキー・ティームとマルコ・ソーレンセンとともに、世界耐久選手権でGTクラスドライバーズタイトルを獲得した。また、LM-GTEProチームのチャンピオンも獲得した。
2017年シーズンは、LM-GTEAmクラスでドライバーズ、チームチャンピオンシップの両方を獲得した。6月、ル・マン24時間レースでヴァンテージGTEをダレン・ターナー、ジョナサン・アダム、ダニエル・セラがドライブし、LM-GTEProクラスでクラス優勝した。
2018-19年FIA世界耐久選手権スーパーシーズンにLM-GTEProクラスで2台の新型ヴァンテージGTEで参戦した。
2019-20年シーズンはLM-GTEProクラスで、ドライバー、マニュファクチャラーのダブルタイトルを獲得した。
ル・マン24時間レース[編集]
年 | エントラント | No | 使用車両 | ドライバー | クラス | 周回数 | Pos. | Class Pos. |
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2005年 | アストンマーティン・レーシング | 58 | アストンマーティン・DBR9 |
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GT1 | 327 | DNF | DNF |
59 | アストンマーティン・DBR9 |
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GT1 | 333 | 9位 | 3位 | ||
2006年 | アストンマーティン・レーシング | 007 | アストンマーティン・DBR9 |
|
GT1 | 350 | 6位 | 2位 |
009 | アストンマーティン・DBR9 |
|
GT1 | 342 | 10位 | 5位 | ||
2007年 | アストンマーティン・レーシング | 007 | アストンマーティン・DBR9 |
|
GT1 | 337 | 9位 | 4位 |
009 | アストンマーティン・DBR9 |
|
GT1 | 343 | 5位 | 1位 | ||
アストンマーティン・レーシング・ラルブル | 006 | アストンマーティン・DBR9 |
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GT1 | 272 | 29位 | 13位 | |
008 | アストンマーティン・DBR9 |
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GT1 | 341 | 7位 | 3位 | ||
アストンマーティン・レーシング BMS | 100 | アストンマーティン・DBR9 |
|
GT1 | 336 | 11位 | 6位 | |
2008年 |
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10 | ローラ・B08/60-アストンマーティン |
|
LMP1 | 354 | 9位 | 9位 |
アストンマーティン・レーシング | 007 | アストンマーティン・DBR9 |
|
GT1 | 339 | 16位 | 4位 | |
009 | アストンマーティン・DBR9 |
|
GT1 | 344 | 13位 | 1位 | ||
2009年 | AMR イースト ヨーロッパ | 007 | ローラ-アストンマーティン・B09/60 |
|
LMP1 | 373 | 4位 | 4位 |
アストンマーティン・レーシング | 008 | ローラ-アストンマーティン・B09/60 |
|
LMP1 | 342 | 13位 | 11位 | |
009 | ローラ-アストンマーティン・B09/60 |
|
LMP1 | 252 | DNF | DNF | ||
2010年 | アストンマーティン・レーシング | 007 | ローラ-アストンマーティン・B09/60 |
|
LMP1 | 365 | 6位 | 5位 |
009 | ローラ-アストンマーティン・B09/60 |
|
LMP1 | 368 | DNF | DNF | ||
シグナテック・チーム | 008 | ローラ-アストンマーティン・B09/60 |
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LMP1 | 302 | DNF | DNF | |
ヤング ドライバー AMR | 52 | アストンマーティン・DBR9 |
|
LMGT1 | 311 | 22位 | 3位 | |
2011年 | アストンマーティン・レーシング | 007 | アストンマーティン・AMR-One |
|
LMP1 | 4 | DNF | DNF |
009 | アストンマーティン・AMR-One |
|
LMP1 | 2 | DNF | DNF | ||
2012年 | アストンマーティン・レーシング | 97 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Pro | 332 | 19位 | 3位 |
99 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Am | 31 | DNF | DNF | ||
2013年 | アストンマーティン・レーシング | 95 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Am | 2 | DNF | DNF |
96 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Am | 301 | 30th | 6th | ||
97 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Pro | 314 | 17位 | 3位 | ||
98 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Pro | 221 | DNF | DNF | ||
99 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Pro | 248 | DNF | DNF | ||
2014 | アストンマーティン・レーシング | 95 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Am | 334 | 19位 | 1位 |
97 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Pro | 310 | 35位 | 6位 | ||
98 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Am | 329 | 26位 | 6位 | ||
99 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Pro | – | WD | WD | ||
2015年 | アストンマーティン・レーシング | 95 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Pro | 330 | 27位 | 4位 |
96 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Am | 187 | DNF | DNF | ||
97 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Pro | 110 | DNF | DNF | ||
98 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Am | 321 | NC | NC | ||
アストンマーティン・レーシング V8 | 99 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Pro | 320 | 34位 | 6位 | |
2016年 | アストンマーティン・レーシング | 95 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Pro | 338 | 23位 | 5位 |
97 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Pro | 337 | 24th | 6th | ||
98 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Am | 281 | DNF | DNF | ||
99 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Am | 318 | 36位 | 7位 | ||
2017年 | アストンマーティン・レーシング | 95 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Pro | 334 | 26位 | 9位 |
97 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Pro | 340 | 18位 | 1位 | ||
98 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Am | 329 | 37位 | 8位 | ||
2018年 | アストンマーティン・レーシング | 95 | アストンマーティン・ヴァンテージ AMR |
|
LMGTE Pro | 339 | 23位 | 8位 |
97 | アストンマーティン・ヴァンテージ AMR |
|
LMGTE Pro | 327 | 37位 | 13位 | ||
98 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Am | 92 | DNF | DNF | ||
2019年 | アストンマーティン・レーシング | 95 | アストンマーティン・ヴァンテージ AMR |
|
LMGTE Pro | 132 | DNF | DNF |
97 | アストンマーティン・ヴァンテージ AMR |
|
LMGTE Pro | 325 | 44位 | 12位 | ||
98 | アストンマーティン・ヴァンテージ GTE |
|
LMGTE Am | 87 | DNF | DNF | ||
2020年 | アストンマーティン・レーシング | 95 | アストンマーティン・ヴァンテージ AMR |
|
LMGTE Pro | 343 | 22位 | 3位 |
97 | アストンマーティン・ヴァンテージ AMR |
|
LMGTE Pro | 346 | 20位 | 1位 | ||
98 | アストンマーティン・ヴァンテージ AMR |
|
LMGTE Am | 333 | 33位 | 8位 |
- ^ Adams, David (2018年). “Key Team Members”. Aston Martin Racing. 2019年4月5日閲覧。 “Paul Howarth Team Principal”
- ^ “Richards keen on Formula One return”. BBC News (2009年4月23日). 2010年1月1日閲覧。
- ^ “アストンマーティン ヴァンテージ 新型、青山の夜に登場!!…イギリス、日本など6か国同時に発表” (日本語). レスポンス(Response.jp). 2017年11月21日閲覧。
- ^ “アストンマーティン ヴァンテージ 新型、「GTE」発表…2018/2019年のWECレーサー”. レスポンス. 2017年11月22日閲覧。
- ^ “Aston Martin to challenge for overall Le Mans win”. Aston Martin (2009年1月27日). 2009年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年1月27日閲覧。
- ^ “What economic downturn? Aston Martin unveils new supercar”. PopSci.com.au. (2009年1月30日). オリジナルの2009年1月31日時点におけるアーカイブ。 2009年1月30日閲覧。
- ^ “アストンマーチン、アジアン・ル・マン岡山戦に期待”. auto sport web. 2009年10月21日閲覧。
- ^ “2013 24 Hours of Le Mans Entry List” (2013年2月4日). 2017年3月27日閲覧。
- ^ “Aston Martin Racing Unveil Strong WEC Line-Up – 24 Hours of Le Mans, American Le Mans Series, FIA WEC – The Checkered Flag”. 2017年3月27日閲覧。
- ^ “Bruno Senna Hunting Race Wins With Aston Martin Racing Move – 24 Hours of Le Mans, FIA WEC – The Checkered Flag”. 2017年3月27日閲覧。
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