チュロス – Wikipedia

チュロ(スペイン語: Churro)とはスペイン・ポルトガル・モロッコおよびキューバなどのラテンアメリカ各国で広く食べられている揚げ菓子である。日本ではチュロおよび複数形のチュロスChurros)として定着している[1]
スペイン語ではチュロのロはrrで巻き舌で発音する。またチュ(Chu)にアクセントがあり少し長く発音されるため、日本語でチューロと表示されることもあるが長音ではない。

マドリードのチュレリア(チュロ屋

マドリードの老舗サン・ヒネス

チュロの起源については諸説あり、代表的なものはスペイン起源とポルトガル起源である。

  • ポルトガル起源説は、16世紀初頭に明に到達したポルトガル人により、中国の揚げパン油条が知られることとなり、それを模したものとしてチュロが作られ始め、その後スペインにも広まったというものである[2]
  • スペイン起源説は、スペインの羊飼いが長期に渡る野外生活の中で始めた簡易にできるパンの代用として、チュロが作られ始め、チュロという名前もヒツジのナバホ・チュロ英語版[3]の角にこの揚げパンが似ていることから名付けられたというものである[4]。17世紀にはスペインでチュロ作りが職業として確立されており、1621年の文献にチュレロ(churrero;チュロを作る人)がチュロの値上げを申請したとの記録が残っている[5]

いずれにせよ新大陸へはポルトガル・スペインにより持ち込まれた。

ラテンアメリカ各国では様々に発展し広まっていった。小麦粉生地だけのものの他にも、チュロの中にドゥルセ・デ・レチェ(メキシコ、ペルー他)やチョコレート(メキシコ)やチーズ(ウルグアイ)などを詰めたレチュロ・レイェノもしくはチュロ・レジェノ(ジェイスモ発音)あるいはチュロ・レリェノ(非ジェイスモ発音) (Churro relleno) も広く供されている[4]

スペインのチュレリア(チュロ屋 churrería)では朝食にチュロやチュロに似たポラ (Porra)[6] を、濃くいれたホット・チョコレート[7]に浸して食べる姿が多く見られる[4]
日本のチュロスはまっすぐで表面に砂糖がまぶされているものが多いが、スペインのチュロスはカーブしており、表面には何もかかっていない。

マドリードの老舗「サン・ヒネス」(San Ginés)は1894年の老舗で24時間営している。軽くて香ばしいカリカリのチュロスを、濃厚なチョコラテに浸して食べる[8]

後述の製法および理由により、断面が円形な一般の揚げドーナツに比べ硬い食感が特徴。アメリカや日本を含めその他の地域でも広まっており、チュロがドーナツ店やカフェ、ほかに遊園地・テーマパークのスタンドや競馬場、映画館、街角の屋台でも売られており、手軽な軽食として利用されている。

日本においての「チュロス」という商品名は日清製粉ウェルナが商標登録をしており、他社が販売するにあたってジールハウスが「チュリトス」、山崎製パンが「チュロッキー」として商標登録販売している。

チュロスは、小麦粉と水と少量の砂糖・塩を混ぜた生地を星型の搾り器から搾り出して油で揚げ、ハチミツ、砂糖、シナモンなどをまとわせたもので、形は真っ直ぐなものと湾曲したものがある。湾曲(わんきょく)したものは揚鍋のふちから中心に向かって螺旋(らせん)状に搾り、揚げたあと適当な長さに切断する。調理には搾り器と揚鍋がセットになった専用の調理機が用いられることもある。また、生地にココアなどを混ぜて味付けすることもある。

星形の理由[編集]

チュロを丸い搾り器で形成すると、揚げた際に内部の生地が膨張し、爆発を起こし、高温の油と共に飛び散る危険が有る。これは、生地を熱湯で練って作るために粘り気が大きく、結果閉じ込められた水分が気化して急激に膨張し、水蒸気爆発に近い現象が発生するのが原因である。
それを防ぐため、星形にして表面積を大きくし、油から素早く伝熱することにより均等に加熱調理すると共に、効率よく生地外へ水分を放出・蒸発させ、急激な膨張を回避している。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]