レッサーパンダ帽男殺人事件 – Wikipedia

レッサーパンダ帽男殺人事件(レッサーパンダぼうおとこさつじんじけん)とは2001年(平成13年)4月に東京都台東区浅草で発生した殺人事件。

浅草レッサーパンダ事件」とも呼ばれる。

2001年4月30日午前10時35分頃、被害者[1](当時19歳、女子短大生)はブラジリアン柔術大会に出場する友人の応援をするために台東リバーサイドスポーツセンターに向かう途中であった。被害者の後を追うように、毛皮のコートを着てレッサーパンダを模した帽子を被った男(加害者[1])が、同じ道を進んでいた。交差点で被害者が加害者を確認した際に驚いた顔をしたため、加害者は自分が馬鹿にされたと思い込み、被害者を狭い路地に引き込んで胸や腹、背中などを包丁で刺し、失血により死亡させた。

現場近くで「動物のぬいぐるみを頭に載せた男」「レッサーパンダのような帽子を被った男」が何度も目撃されていたことから、捜査機関はこの男を容疑者とみて捜査を開始。5月10日、東京都代々木で加害者(当時29歳)が逮捕された。

事件直後から「レッサーパンダのぬいぐるみ帽子を被った成人男性による犯行」という異様さに注目したマスコミ、特に週刊誌は、この事件を大々的に取り上げようとしていたが、容疑者が軽度の知的障害者と判明した後は報道が鎮静化した。加害者の家庭では17歳の時に母が病死し、加害者は家出や放浪を繰り返しており、窃盗など4件の前科があった。

レッサーパンダのぬいぐるみ帽子は函館市で購入したものであるが、警察の取り調べに対して加害者はこの帽子を「犬の顔(を模したもの)」だと思っていたと答えている。また、「なぜ、その帽子を被って歩いていたのか?」という質問に対しては、「大切なもので、毎日抱いて寝ている」と答えた。

裁判では加害者に知的障害があったため、検察側と弁護側が責任能力で対立。2004年11月26日、東京地方裁判所は「弁護側が主張するように、被告が広汎性発達障害に当たるとしても、完全な責任能力を有していたことは明らか」として、被告に無期懲役を言い渡した。2005年4月1日、被告側は控訴を取り下げ、無期懲役が確定した。

  • 加害者の妹は中卒で働いて一家を支えていたが、殺人事件の1年半後に25歳で病死している。
  • 加害者はかつて勤務していた仕事場で同僚達から凄まじい暴力を受けており、逮捕当時も前歯が殆ど欠損していた。プライドが高く、逮捕後の取調べにおいても自分に知的障害があることを認めようとしなかった。障害者の認定を受ける要件は満たしており、過去に障害者手帳を保有していたが自分で破り捨てている。
  1. ^ a b 加害者、被害者共に事件当初は実名報道されており、後にイニシャルのみで報道されるようになったが、当項目ではイニシャルによる記述も控える。

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