甲塚古墳 (下野市) – Wikipedia

甲塚古墳(かぶとづかこふん)は、栃木県下野市国分寺にある古墳。形状は帆立貝形古墳。史跡指定はされていない[1]。出土品は国の重要文化財に指定されている。

栃木県南部、下野市西部の姿川と思川に挟まれた台地上に築造された古墳である。台地上では、本古墳のほかにも摩利支天塚古墳・琵琶塚古墳・吾妻古墳を始めとする大型古墳の分布が知られる。本古墳では1883・1893年(明治16・26年)に発掘され旧状が損なわれているほか[1]、考古学的にはこれまでに数次の発掘調査が実施されている。

墳丘は帆立貝形で、前方部を南方に向ける[3]。墳丘は2段築成で、墳丘長は推定で約80メートル、主丘(ほぼ完全な円形)は直径61メートルを測る[3]。墳丘第1段には幅の広い平坦面(基壇)が形成され、その平坦面の中央部には円筒埴輪列が巡らされている[3]。また第2段のくびれ部付近において形象埴輪(人物形・馬形埴輪など)が検出されており、特に埴輪群が当初の位置・向きまで良好に遺存する点、2004年に全国で初となる機織形埴輪2点の出土の点、および一部の埴輪に彩色の残る点で注目される[4]。主体部の埋葬施設は凝灰岩製の横穴式石室で、前方部前面に開口し[3]、全長4.2メートルを測る[1]。以上より、築造年代は古墳時代後期の6世紀後半頃と推定される[3]

出土品は2017年(平成29年)に国の重要文化財に指定された。なお付近では、後世に下野国分寺が隣接して営まれている。

埋葬施設[編集]

埋葬施設には凝灰岩の切石による横穴式石室が使用されている。現在までに損壊を受けているが、推定復原される石室の規模は次の通り[1]

  • 石室全長:4.2メートル – 墓道を含めると約9メートル
  • 玄室
    • 長さ:3.0メートル
    • 幅:2.0メートル
    • 高さ:1.9メートル
  • 羨道

重要文化財(国指定)[編集]

  • 栃木県甲塚古墳出土品 一括(考古資料) – 明細は以下。下野市立しもつけ風土記の丘資料館保管。2017年(平成29年)9月15日指定[5][6][7]
    • 機織形埴輪 2点
    • 人物埴輪 17点
    • 馬形埴輪 4点
    • 須恵器 58点
    • 土師器 16点
    • (附指定)埴輪残欠 4点

関連施設[編集]

  • 下野市立しもつけ風土記の丘資料館(下野市国分寺) – 甲塚古墳出土品等を保管。

参考文献[編集]

(記事執筆に使用した文献)

関連文献[編集]

(記事執筆に使用していない関連文献)

  • 『甲塚古墳 栃木県国分寺町 平成16年度規模確認調査』栃木県国分寺町教育委員会、2005年。
  • 『甲塚古墳 重要遺跡範囲確認調査(栃木県埋蔵文化財調査報告 第343集)』とちぎ未来づくり財団埋蔵文化財センター編、栃木県教育委員会、2012年。
  • 『甲塚古墳 下野国分寺跡史跡整備関連発掘調査報告書(下野市埋蔵文化財調査報告 第11集)』下野市教育委員会、2014年。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]