ガイズ&ドールズ – Wikipedia

ガイズ&ドールズ』 (Guys & Dolls) は、1950年初演のミュージカル。デイモン・ラニアンの2つの短編『The Idyll of Miss Sarah Brown』『Blood Pressure』を原作としている。ブロードウェイでも、最も陽気なミュージカル・コメディの一つとして、評価の高い作品である。

舞台版[編集]

1950年、ブロードウェイで作曲:フランク・レッサー、演出:ジョージ・S・カウフマン、振り付け:マイケル・キッドらにより初演され、上演回数1200回、4年のロングラン公演となった。

トニー賞では、ミュージカル作品賞をはじめ、演出賞、作詞・作曲賞、台本賞(ジョー・スワーリング/エイブ・バローズ)、振付賞、主演男優賞(ロバート・アルダ)などを受賞。
このあとブロードウェイでは、1976年にオール黒人キャスト版が、また1992年4月から1995年1月まで1143回のロングラン公演が行われている。

初演での主役の中心軸は、スカイ・マスターソンとサラ・ブラウンだが、1992年4月から1995年1月までの公演では、主役の中心軸を、ややネイサン・デトロイドとアデレイドに移した作りになっている。また、1992年4月から1995年1月までの公演ではトニー賞で、ベスト・リバイバル賞をはじめ、演出賞(ジュリー・サックス)、舞台美術賞(トニー・ウォルトン)、主演女優賞(アデレイド役のフェイス・プリンス)などを受賞している。

また、この公演は、テレビ朝日の開局35周年記念公演として、1993年9月から10月まで日生劇場において、来日公演が行われた。この時、アデレイド役として、ローナ・ラフト(ライザ・ミネリの妹)が、来日している。

日本では、宝塚歌劇団で1984年11月から12月に宝塚歌劇70周年の記念公演として上演した。当時、絶大な人気を誇っていた大地真央が熱心に働きかけ、その当たり役として知られる。宝塚においては、2002年に月組(主演:紫吹淳)、2015年に星組(主演:北翔海莉)によりそれぞれ再演された。なお、アデレイド役は初演で元男役の条はるきが演じ、以降、男役が演じることが多い役となっている。

1993年5月に日生劇場開場30周年記念として東宝版が(タイトルは「ガイズ&ドールズ」ではなく「ガイズ・アンド・ドールズ」)、2010年4月、内博貴主演で上演。同年8月に名古屋で再演された。

映画版[編集]

映画版は1955年に、スカイ=マーロン・ブランド、サラ=ジーン・シモンズで上映され、日本では翌1956年に、『野郎どもと女たち』と言う題で上映されている。この映画版では、ニューヨークの話ながら、ニューヨーク・ロケは行われず、スタジオにニューヨークのセットを作って撮影された。また、一部ミュージカルナンバーも異なっている。

あらすじ[編集]

1948年頃のニューヨーク。タイムズ・スクエアに巣喰っている賭博師のネイサン・デトロイドは、アデレイドと婚約したまま賭博に熱中、今日も今日とてクラップゲーム賭場を開きたいのだが、ブラニガン警部をチーフとしたニューヨーク市警の取締りが厳しいため、適当な場所が見つからず困っていた。唯一、ジョーイ・ビルトモアと言う男が、前金千ドルで倉庫を貸そうと言って来た。しかし、金が無い。

そこにネイサンの仲間のスカイ・マスタースンが、ラスベガスで大勝ちして帰ってきた。女を巡る会話の中から、ネイサンは一つの“賭けを”申し込む。「俺が指名する女を一晩でものにしたら千ドルを払おう。できなければ、千ドルは俺のものだ」と。プレイボーイのスカイが、このうまい話に乗らない訳が無い。ところが、ネイサンが指名した女は、お堅い事で有名な救世軍の娘サラ・ブラウンだった。

スカイは早速、救世軍の伝道所を訪れた。伝道師たちに罪人は夜活動するから、と真夜中の布教活動を勧めた。そしてサラに「一緒に食事をしないか。その代わりに、伝道所の集会に1ダースの罪人を出席させよう」と言葉巧みに誘った。サラは単なる食事の誘いだけでは無いと見抜いて断る。しかし折も折、カーライト将軍から信者が少ないのを理由に伝道所の閉鎖を言い渡されてしまい、スカイの申し出を受け入れざるを得なくなった。

一方、ネイサンは賭博が開催できず困り果てていた。今夜はシカゴから大物の賭博師ビッグ・ジュールが来ていて、開かないわけにはいかないのだ。街をぶらつく賭博師たちは警部に、ネイサンとアデレイドの結婚の前祝だと言って誤魔化すが、偶然アデレイドが通りかかり狂喜する。さらにネイサンは徹夜で布教活動をしている救世軍のメンバーにサラがいないことに気が付き、スカイがサラを誘い出す事に成功してしまった事を察する。

ハバナへ出掛けたサラの真面目さにスカイは戸惑う。サラは半ば騙されるように酒を飲まされると酔った勢いで、つい羽目を外して乱闘騒ぎを起こし、スカイに愛の告白をしてしまった。だが、スカイの返事は意外なのだった。「酔っている女を自分の物にするのは、俺の自負心が許さない」と、心の内とは裏腹に冷たく突き放したのだった。だが、二人は互いに心を開き、口づけを交わす。

ところが、二人がニューヨークへ戻った時、進退窮まったネイサンが苦肉の策で全員が出掛けて留守だった伝道所で賭場を開いてしまい、さらに間の悪いことに、二人の眼前でブラニガン率いるニューヨーク市警の手入れを受けてしまった。このことを知ったサラは、スカイがこの賭博を開くために自分を騙したのだと誤解した。

ビッグ・ジュールが大負けしたため、ネイサンは場所を下水道に移してクラップを継続していた。スカイは、ネイサンに賭けの結果を報告する為に出掛けて行くと、賭場では負けが込んだ事でしびれを切らしたビッグ・ジュールがイカサマ同然の禁じ手を用いだしており、そのカモにされてしまったネイサンは大負けの有様で、「俺、今は“文無し”だから、掛け金の千ドルは当分払えないよ」と言う。スカイは「賭けは俺の負けだ」と言って千ドルをネイサンに渡した。

スカイは、サラとの約束を果たす為に、ネイサンやビッグ・ジュールらも含んだ賭博仲間に「今夜、伝道所の集会に出席してくれないか」と頼むが断わられる。そこで仕方なく、スカイは彼らと賭けをした。「俺が勝てばお前達は伝道所へ行ってくれ。俺が負けたら一人当たり千ドルを払う」と。金よりも大きなものがかかっている賭けの結果は、スカイが勝った。賭博師たちはしぶしぶ伝道所に向かう。そしてスカイは、しばらく街を離れようとする。

なんとか賭博師たちに懺悔をさせ、集会は成功に終わり、支部の存続も認められた。ネイサンの懺悔から、スカイが伝道所での賭博に関わっていないことを知り、サラは彼の後を追う。サラはアデレイドと出会い、二人は、結婚して愛する男を変えて見せようと意気投合する。

それから数日後、スカイとサラの結婚式が挙げられ、スカイはすっかり救世軍の一員になっていた。そして、ネイサンも新聞販売と言う堅気の仕事に就き、十四年間もおあずけだった婚約者アデレイドと、目出度く結ばれたのだった。

主な登場人物[編集]

  • スカイ・マスタースン(主人公。クラップ・シューター)
  • ネイサン・デトロイト(スカイの知己で、ニューヨークの賭博を取り仕切る)
  • サラ・ブラウン(ヒロイン。救世軍の女軍曹)
  • アデレイド(“ホット・ボックス”の踊り子、ネイサンと14年間婚約したままの間柄)
  • ブラニガン警部(スカイやネイサンが賭場を開こうとするのを取り締まる)
  • ナイスリー・ナイスリー・ジョンソン(ネイサンの仲間)
  • ベニー・サウスストリート(同)
  • ラスティ・チャーリー(同)
  • ハリー・ザ・ホース(同)
  • ビッグ・ジュール(シカゴの大親分)
  • ジョーイ・ビルトモア(車庫の持ち主)
  • カートライト将軍(サラの上司)
  • アーヴァイト・アバーナシー(救世軍の一員、サラの後見人)
  • マーサ(救世軍兵士)
  • タバサ(同)
  • アガサ(同)
  • カルヴィン(同)
  • クロスビー(同)
  • ミミ(踊り子)

宝塚版での主な配役[編集]

  1. ^ a b 条はるき の退団に伴う、役代わり(3/1〜18春風・3/19〜31仁科)
  2. ^ 白川亜樹が退団したことに伴う役代わり
  3. ^ 桃梨江子が旭麻里へ芸名を改名したことによる

1993年 日生劇場版での主な配役[編集]

 他

2010年東宝版での主な配役[編集]

( )内は中日劇場公演(8月再演)で変更があった配役

2022年東宝版での主な配役[編集]

関連項目[編集]