Wikipedia:ウィキメディア・ツールサーバー – Wikipedia
ウィキメディア・ツールサーバー(Wikimedia Toolserver)は、かつてドイツのローカル・チャプターが運営していたサーバー群です。ウィキメディア・プロジェクトで使用されることを想定した様々なウェブサービスが置かれています(例えば編集カウンタなど)[2]。
ツールサーバーはウィキメディア・プロジェクト専用の、一種の無料レンタル・サーバーということが出来ます。各サービスのメンテナンスは、それぞれのツール作成者が行っています。2010年12月現在、ウィキペディア日本語版では10万件以上のリンクがツールサーバに対して貼られています。
アメリカに籍を置くウィキメディア財団の手助けを受けつつ運営されていますが、運営はドイツのローカル・チャプターであり、サーバーはオランダに置かれています。オランダのアムステルダム近郊の街ハールレムにあるケーニスネットという団体の施設に置かれています[3]。そのためアカウント保持者はツールを置くに際して、アメリカとドイツとオランダと居住地(日本であれば日本)の法律に従う必要があります[4]。
ツールサーバはウィキメディア・ドイツの運営資金で運営されています。加えて個人や団体[5]からの寄付、ウィキメディア財団からのサポート(グラント)を受けています。しかし組織的・資金的にツールサーバはウィキメディア財団とは分かれて運営されています。
サーバ管理者は2010年10月現在、6人です(管理者一覧)。2010年10月現在、約480人がツールサーバにアカウントを取得しており、様々な形で利用を行っています(アカウント一覧)。
技術的な意味でもツールサーバはウィキメディアの他のサーバー群とはわかれています。そのためウィキメディア・プロジェクトが落ちていてもツールサーバだけ動いていたり、ウィキメディア・プロジェクトが動いていてもツールサーバだけ落ちていたりすること(この方が多いです)があります。
ツールサーバはウィキメディアのサーバ群に比べ不安定です。止まっていることが、しばしばあります。
この問題の対策のために2009年7月にウィキメディア財団から4万ドルのグラントを受け、予備サーバを増設しました[6]。これにより90%以下であった年間の稼働率(つまり一割の時間は止まっていた)を、99%以上にまで上昇させたい、としています[7]。また2010年2月から、サーバー管理者ひとりを有給でメンテナンスに充てるようになりました[8]。他の管理者は相変わらず無給のボランティアです。
主なツール[編集]
ツールサーバには多数のツールが置かれています。ツールは各アカウントユーザーが、それぞれに更新と追加を行っており、その状態は時々刻々 変化しています。
2010年10月現在、すべてのツールを一覧したリストは作られていません。
ここでは日本語版でも使用の多い、いくつかのツールを紹介します。
- X!’s エディット・カウンター、プロジェクト横断の投稿履歴など様々な編集カウンタがツールサーバ上で動いています。
- 画像アップロード補助
- ローカルプロジェクトの画像をコモンズにアップするのを補助するコモンズ・ヘルパー、Flickrからコモンズへの画像移動を助けるFlickr upload botなどはツールサーバ上で動いています。
- ツールサーバ上では数多くのボットが動いています(Wikimedia bot, IRC bot)。ウィキペディア日本語版でよく見かける例として、例えば利用者:CommonsDelinker(削除された画像へのリンクを除去するボット)などはツールサーバ上で動いています。
普通のレンタル・サーバと比較したときのツールサーバの有用性は、ウィキメディア・プロジェクトの全てのデータベースを内部にコピーして保存していることです。そのためウィキペディアのサーバにアクセスすることなく、編集カウントを計算・処理することなども可能です。
データコピーの遅延時間はおよそ数秒ほどです。つまりウィキペディアを編集すると、数秒でツールサーバの内部データベースが更新されます。
ウィキメディアのデータのコピーは2010年10月現在、6つのデータベースに分けて置かれています。それぞれのデータベースは s1 から s6 の名前で呼ばれています。ウィキペディア日本語版のデータは s6 のデータベースにコピーされています。各データベースの内訳は次の通りです。
- s1: ウィキペディア英語版
- s2: 中規模ウィキペディア、大規模ウィクショナリー、大規模ウィキクォート
- s3: その他の小規模プロジェクト
- s4: コモンズ
- s5: ウィキペディアドイツ語版
- s6: ウィキペディア・フランス語版、日本語版、ロシア語版
それぞれのデータベースは植物の名前が付けられたサーバ内に保存されています。日本語版のデータが格納されている s6 はhyacinth(ヒヤシンス)およびcassia(カシア)に保存されています。
詳細は Wiki server assignments、Cluster overviewなどをご覧ください。
各データベースごとの複製の遅延時間(Replication lag、通称 Replag)は、commons:Commons:Toolserverなどのページで見ることができます。
アカウントの取得[編集]
ツールサーバにプログラムを置くにはアカウント申請が必要です。アカウント取得の可否は、ウィキメディア・ドイツの担当者(2010年現在2人[2])によって決定されます。
2010年10月現在、約480人がアカウントを取得しています(アカウント一覧)。
アカウントの取得には最低限、以下の条件が必要です。
- 実名とメールを伝える(これらは運営に伝えます。ネット上で公開する必要はありません)
- ツールサーバのルールを理解する
- ツールサーバの目的に合ったツールを置く
- 英語が読める。(メーリングリストの情報に目を通しておく必要があります。使われている言語は基本的に英語のみです。)
加えて可否の判断基準として、次のような点がある場合、判定にはプラスに働くとしています。
- ウィキメディア・プロジェクトにより大きく貢献できる。貢献は長い時間がかかるものでなく、即効性がある。
- 申請者が活動しているどこかのローカル・プロジェクトで、申請者の活動に周囲からの評価がある。
- 申請者は Unix/Linux のコマンドラインを理解している。
- 申請者は データベースの扱いに慣れている。
- 申請者は学術研究の一環でツールを利用する
逆に次のような点がある場合、判定にはマイナスに働くとしています。
- 似たようなツールがもうある。
- 別にどこで動かしても変わらない。つまり特にツールサーバを必要としない。
詳しくは以下のリンクをご覧ください。
ツールサーバに関するウィキペディア側での注意点を書きます。
ボットのブロック[編集]
ツールサーバで動いているボットをブロックするときは、自動ブロックをオフにしておく必要があります。でないと、同じIPアドレスからアクセスしている他のツールサーバ上のボットすべて、が投稿ができなくなります。
2016年7月現在、日本語版でそうしたボットは以下の5台です。
アカウントの消滅[編集]
ツールサーバでは半年間活動が行われていないアカウントは、アカウントが無効化されます。アカウントが無効化されると、再度本人が申請し、審査をパスして有効化されるまで、ツールは利用できなくなります。
広い範囲で使われているツールで、かつソースが公開されているツールであれば、一般的に他のアカウント保持者がそのツールを引き受けて運用します。または元々運用者が複数人いるツールもあります[9]。ただソースが公開されておらず、もともと運用者が一人だけで、かつその人が再申請して有効化を行わなかったような場合は、当然ながらそのツールはそのまま使用できなくなります。
テンプレートなどで大々的に利用していこうという場合は、類似機能を持つ別のサイトがあるか、運用者は何人いるか、ソースは公開されているか、他の言語版やプロジェクトでの利用は活発か、または自分がツールを代わりに用意することもできるか、そういった点まで含めて見ておくと、いざという時に対応がしやすいでしょう。
- 質問すれば反応が得られるでしょう。リアルタイムで見ている人はほとんどいないので、質問だけ投げて10分ほど待つと良いでしょう。日本語が分かる人が見てる可能性は低いので、英語で質問するのがベストです。
- アカウント名@toolserver.org – ツールを作成している各アカウントへのメール
- ウィキ上にページがある人であれば、このメールより会話ページにメッセージを投げた方が早いかもしれません。各ツールの作成者はURLから判別できます。たとえばエディットカウンターのひとつである
- の場合、~ チルダ の後にある soxred93 がアカウント名です。
テンプレート[編集]
ツールサーバ関連のページで使用できる誘導用テンプレートです。
{{Toolserver-powered}}
画像など[編集]
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2009年にウィキメディア財団のグラントで増設されたサーバ。
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オランダ・アムステルダムにあるケーニスネットの建物内。写真はウィキメディア用のサーバ。ツールサーバ用のサーバもここに置かれている。
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管理者の一人 Daniel Kinzler が、ツールサーバの仕組みを解説している所。
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左の発表の動画。The Toolserver – The hackers way of surfing the wiki (30分、英語、Wikimania2009)
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発表のファイル(PDF, 20ページ, 英語)
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