センボンヤリ – Wikipedia

センボンヤリ(千本槍、学名:Leibnitzia anandria )は、キク科センボンヤリ属の多年草。頭花は春型と秋型の2型ある。別名、ムラサキタンポポ[3]

根出葉がロゼット状に発達し、葉の形は倒卵状長楕円形で頭大羽裂状に中裂する。葉の裏はくも毛が密生する。

春型の花茎は高さ10cmくらいになり、4-6月頃、径1.5cmの頭花をつける。春型の頭花には、縁1列に舌状花がつき、中央には筒状花がつく。筒状花はめしべとおしべを備える両性花で、舌状花はめしべだけが機能する雌花である[4]。花の色は白から赤紫で、ムラサキタンポポの別名はこの春花に由来する[5]

秋型の花茎は高さ30-60cmになって林立し、小さいながら千本槍の様相を見せる[4]。花茎には線形の小葉が多数つく。秋型の頭花は、自家受粉する閉鎖花で筒状花のみからなる。総苞は筒状で長さ15mm程度。果実は痩果となり長さ6mm、冠毛は褐色になり、長さは11mmになる。春と秋では、秋の花のほうが花の数、種子の数ともに多い[5]

多年草のセンボンヤリは、毎年地上の茎と葉を枯らし、地下茎と根で越冬するが、根の部分を毎年新しく更新する。具体的には、春に古い根の上、葉の下から新しい根を伸ばし、夏から秋まで上下に重なる新旧の根が働く。冬になって茎と葉が枯れるときに古い根は枯れ、春に生えた根が冬越しする。新しい根は、地面に根を張ってから収縮することで土の中におさまる[4]

分布と生育環境[編集]

日本では、北海道、本州、四国、九州に、日本国外では、南千島、サハリン、シベリア、朝鮮半島、中国大陸に分布する[5]。松林や雑木林といった明るい林の陽光が差し込む場所に生える[5]。山地や丘陵などに自生する。

ギャラリー[編集]

  1. ^ センボンヤリ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ センボンヤリ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b 『野に咲く花 山溪ハンディ図鑑1』p.67
  4. ^ a b c 森田竜義「センボンヤリ」『週刊朝日百科植物の世界』7、1-195頁。
  5. ^ a b c d 森田竜義「センボンヤリ」『週刊朝日百科植物の世界』7、1-196頁。

参考文献[編集]

  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本III合弁花類』、1981年、平凡社
  • 林弥栄監修『野に咲く花 山溪ハンディ図鑑1』、1989年、山と溪谷社
  • 森田竜義「センボンヤリ」、『週刊朝日百科植物の世界』7(ガーベラ タンポポ チコリ)、朝日新聞社、1994年5月29日発行。