天井桟敷の吟遊詩人 – Wikipedia
『天井桟敷の吟遊詩人』(原題:Minstrel in the Gallery)は、イギリスのプログレッシブ・ロック・バンド、ジェスロ・タルが1975年に発表した8作目のスタジオ・アルバム。
バンドが所有する移動式スタジオ「メゾン・ルージュ・モービル」を使用して、モナコのモンテカルロでレコーディングされた[1]。ただし、オリジナルLPのクレジットでは、録音地は「ヨーロッパのどこか」と記載されている[8]。バンドの中心人物イアン・アンダーソンは、本作の音楽性に関して「恐らくタルの中で最もアコースティック色の強いアルバム」と説明している[1]。「一羽の白アヒル/010 =無」は、アンダーソン自身の離婚を反映した曲である[9]。
ベーシストのジェフリー・ハモンドは、本作のレコーディングが終わる頃に脱退の意志を告げ[1]、本作リリース後の1975年11月の公演を最後に音楽業界から引退した[9]。
反響・評価[編集]
バンドの母国イギリスでは、6週にわたり全英アルバムチャート入りして、最高20位を記録した[5]。
アメリカのBillboard 200では7位に達し、バンドにとって7作目の全米トップ10アルバムとなった[2]。また、シングル「天井桟敷の吟遊詩人」はBillboard Hot 100で79位を記録した[2]。
Bruce Ederはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「『ジェラルドの汚れなき世界』以来となる、タルが特に芸術的な意味で成功を収め、精巧に作られたアルバム」「英国フォークの要素に富んでいる一方、『アクアラング』にも匹敵するハードロックを提示し、攻撃性は恐らく同アルバムをも凌ぐ」と評している[10]。
リマスターCD[編集]
2002年リマスターCDに追加収録されたボーナス・トラックのうち、「サマーデイ・サンズ」は、シングル「天井桟敷の吟遊詩人」のB面曲である[11]。また、「マーチ・ザ・マッド・サイエンティスト」と「パン・ダンス」は、1976年発売のEP「Ring Out, Solstice Bells」からの曲である[12]。
2015年に本作のリリース40周年を記念して発売された『ラ・グランデ・エディション』は、2枚のCDと2枚のDVDから成る内容で、CD2及びDVD2には、1975年7月5日に行われたパリ公演のライヴ音源・映像がそれぞれ収録された[13]。
全曲ともイアン・アンダーソン作。
- 天井桟敷の吟遊詩人 “Minstrel in the Gallery” – 8:13
- ヴァルハラへの冷たい風 “Cold Wind to Valhalla” – 4:19
- 黒衣の踊り子 “Black Satin Dancer” – 6:52
- レクイエム “Requiem” – 3:45
- 一羽の白アヒル/010 =無 “One White Duck / 010 = Nothing at All” – 4:37
- ベイカー・ストリートの女神 “Baker St. Muse” – 16:39
- a)ピッグ・ミー・アンド・ザ・ホー “Pig-Me and the Whore”
- b)ナイス・リトル・チューン “Nice Little Tune”
- c)クラッシュ・バリアー・ワルツ “Crash-Barrier Waltzer”
- d)マザー・イングランドの幻想 “Mother England Reverie”
- グレース “Grace” – 0:50
2002年リマスターCDボーナス・トラック[編集]
- サマーデイ・サンズ “Summerday Sands” – 3:44
- マーチ・ザ・マッド・サイエンティスト “March the Mad Scientist” – 1:48
- パン・ダンス “Pan Dance” – 3:25
- 天井桟敷の吟遊詩人(ライヴ) “Minstrel in the Gallery (Live)” – 2:11
- ヴァルハラへの冷たい風(ライヴ) “Cold Wind to Valhalla (Live)” – 1:30
参加ミュージシャン[編集]
アディショナル・ミュージシャン
脚注・出典[編集]
注釈[編集]
- ^ フランス系をルーツとし姓の表記は“Barre”のため、日本では“バレ”と読まれることも多いが、イギリス人であり“バー”と発音するのが正しい[14]。
出典[編集]
外部リンク[編集]
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