ビクトリーラン – Wikipedia

ビクトリーラン』は、1987年12月28日に日本のハドソンから発売されたPCエンジン用レースゲーム。「栄光の13,000キロ」というサブタイトルが付けられている。

ダカール・ラリーをモチーフとした、PCエンジン初のレースゲームである。単純なレースゲームではなく、走行状態によって車体のパーツが疲弊するために走行コースを見越して交換パーツを用意するなどの戦略的要素を特徴としている。

開発はハドソンが行い、ディレクターはファミリーコンピュータ用ソフト『ドラえもん』(1986年)を手掛けた菊田昌昭が担当し、音楽はファミリーコンピュータ用ソフト『チャレンジャー』(1985年)や『スターソルジャー』(1986年)を手掛けた国本剛章が担当している。

2004年に携帯電話ゲームとしてiアプリ版、2005年にEZアプリ版が配信され、2010年4月21日にはPCエンジンアーカイブス(PSP・PS3)で、2014年9月17日にはWii Uのバーチャルコンソールで配信されたほか、2010年12月20日発売の『PC Engine GameBox』(iOS)にも収録されている。また、クラウドゲームとして2013年6月3日よりひかりTVゲームで、2013年6月20日よりG-clusterでも取り扱っている。

ゲーム内容[編集]

システム[編集]

全8コースのスペシャルステージ(以下SS)を走破するとゲームクリアとなる。各SSに設定された規定タイム+許容タイム(持ち時間)以内ゴールできるとステージクリアとなり次のSSへ進む事ができる。許容タイム(持ち時間)はゲーム開始時に1分あり、各SSの規定タイムより早くゴールすると差分タイムがプラスされていくが、SS規定タイムを超えるとマイナスされていき、0秒になった時点でゲームオーバーとなる。全体的に難易度はかなり高めである。

プレイヤーカー[編集]

  • プレイヤーカーはポルシェ・959風(開発時はプレイヤーカーがパジェロ風であったが、製品版で現在の車に変更された。プレイヤーカーがパッケージの絵と異なるのは開発中の名残である)。
  • トランスミッションはノンシンクロの4速のMT。
  • 最高速度は239km/h。

パーツ[編集]

タイヤ、ギア、エンジン、サスペンション、ブレーキの5種類あり走行により消耗する。画面上に各パーツのアイコン表示があり、消耗度に応じて青→緑→黄→赤の順に変わる。ゲームスタート時に各パーツの合計が最大20個まで割り振ることが可能で、SSとSS間で消耗したパーツを任意で交換する事ができる。

コーナーでタイヤを滑らせすぎると消耗する。グリップが低下し曲がりにくくなる。
ギアチェンジを頻繁に行なうと消耗する。アイコンが緑:4速 黄:3速以上 赤:2速以上がそれぞれ入らなくなる。
高回転で走り続けると消耗する。最高速度が落ちる。
ジャンプすると消耗する。ステアリングの反応が鈍くなる。
ブレーキを使いすぎると消耗する。効きが悪くなる。

ライバル車[編集]

特定のライバルは存在しないが、コース上をスポーツカー・トラック・ジープ・オフロードバイクなどが走行しており、接触すると自車がスピン又はクラッシュする。

障害物[編集]

コース上に点在し、乗り上げるとジャンプし、接触すると速度が落ちる。
コース上に点在し、乗り上げるとスリップする。コーナリング中に乗り上げるとコントロールを失う。
  • 木・岩・標識・サイロなど
コース脇に点在し、接触すると停車又はクラッシュする。
一定以上の速度で通過するとジャンプし速度が落ちる。ジャンプする速度はコースにより異なる。

その他[編集]

  • ゲーム内の時間経過に応じて朝・昼・夕方・夜の4パターンのグラフィックに変化する。
  • デモ画面でブレーキボタンを押すとブレーキランプが点灯する。また停止中にギア操作をするとギアチェンジの効果音が出る

路面の違いにより3種類に分類する事が出来る。

  • 舗装路 SS_1・2・4・7
速度が最も出るコースで路面μが高いため難易度は一番低い。起伏でジャンプする速度は220km/h以上。
  • ダート(砂漠) SS_3・5・8
速度が最も出ないコースで路面μが低いため難易度が高い。特にSS_5では1速20km/h以上で走行するとスタックする。起伏でジャンプする速度は150km/h以上。
  • ブッシュ(草原) SS_6
全コース中1コースしかない。速度はダートコースより出るが路面μが低く、障害物の多さも加わり最も難易度が高いコースである。起伏でジャンプする速度は170km/h以上。

全5曲でゲーム中に使用されているBGMは4曲、未使用曲1曲。作曲は国本剛章。
サウンドトラック「LEGEND OF GAME MUSIC ~CONSUMER BOX~」に収録されており、以下は収録時の曲名と使用されている場面。

  • マップ  パーツセレクト時・エンディング
  • BGM1  SS_1・4・7
  • BGM2  デモ画面 SS_2・6・8
  • BGM3  SS_3・5
  • BGM4  未使用曲

スタッフ[編集]

  • ディレクター:菊田昌昭
  • プログラム:城近尚登、小坂恭洋
  • グラフィック:松浦浩司、太田宏之、野中和彦
  • 音楽:国本剛章
  • ゲーム誌『PC Engine FAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通り15.48点(満30点)となっている[1]。また、この得点はPCエンジン全ソフトの中で482位(485本中、1993年時点)となっている。
項目 キャラクタ 音楽 操作性 熱中度 お買得度 オリジナリティ 総合
得点 2.76 2.93 2.55 2.39 2.51 2.35 15.48
  • ゲーム本『懐かしゲーム機大百科 PCエンジン完全ガイド 1987-1999』では、走行状態によってパーツが疲弊するためスタート時にどの交換パーツを準備するべきか考察する必要がある戦略性や、アップダウンの激しい道や砂漠のようなオフロードなどコースが多彩な事、朝と夜で変化する風景などの演出面に関して「他のレースゲームとは一線を画していた」と称賛した[10]

外部リンク[編集]