俺が好きなのは妹だけど妹じゃない – Wikipedia

俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』(おれがすきなのはいもうとだけどいもうとじゃない)は、恵比須清司による日本のライトノベル。イラストはぎん太郎が担当している。富士見ファンタジア文庫 (KADOKAWA) より2016年8月から2020年3月まで刊行された。略称は『いもいも』で、キャッチコピーは「不器用な兄妹がラノベで繋がるラブコメディ[1]

『月刊ドラゴンエイジ』 (KADOKAWA) 2018年1月号から2019年10月号まで、成田コウによる漫画版が連載[2]。2017年10月21日に『ファンタジア文庫大感謝祭 2017』にてアニメ化が発表された[3]

あらすじ

主人公・永見祐はこれといって取り柄のない普通の男子高校生。ライトノベル作家を目指し新人賞に作品を送っていたが、万年一次落ちだった。しかし妹・涼花が気まぐれで送った作品(兄とのラブラブ妄想を書き綴ったもの)が大賞を受賞してしまい、作家デビューが確定。だが厳格な父親が許さないだろうと考え、涼花の代わりに祐が永遠野誓として作家になることとなった。完璧超人である妹と違って祐は凡人に過ぎない。それでも兄らしくあろうと妹を支えようとする。一方、兄が好きで好きでたまらない涼花は、冷たい振る舞いで本心を押し隠しつつもこれを機に兄との仲を深めようとする。

登場人物

声はテレビアニメにおける声優。プロフィールは原作から。

メインキャラクター

永遠野誓(とわのちかい)

涼花の代理人となった永見祐のペンネーム。作者は涼花だが、彼女は2人合わせて「永遠野誓」と考えている。

永見 祐(ながみ ゆう)
声 – 畠中祐[4][5]、吉森未沙希(幼少期)
【年齢:15歳 / 身長:171cm / 趣味:神作品の発掘 / 好きなもの:カッコイイ主人公 / 嫌いなもの:好きな作品への悪評】
主人公。私立七海坂高校(進学校)1年生の男子。本作の語り部でもある。取り柄のない普通の少年。逆に妹の涼香は優秀なので、祐はたびたび「完璧超人」「完璧主義」と独白している。それで劣等感を感じることはあっても嫉妬したり逆恨みしたりはせず、むしろ奮起するなど前向き。ただし裏目に出て失敗することが多い。
小学生の頃からラノベにハマっているラノベオタクであり、人知れず中二的な言動をしてしまうことも。炎竜焔(氷室舞)著の『スカイ・マジック・ガーディアン(スカマガ)』のファンであり、劇中に出ている呪文詠唱をいくつも記憶しているほど。中学生になるころにはライトノベル作家を目指して様々な新人賞に作品を投稿していたが、万年一次落ちだった。妹の涼花が一発デビューしたことで代理人を引き受けることになり、自分が正式に作家となるまではという条件で「永遠野誓」を名乗る。凡人であるものの兄らしくあろうという思いは強く、妹思い。かなりのシスコンだが自覚はない。背伸びしようとしてドジを炸裂させ、涼花には毎回呆れられたり、辛辣な発言などから妹には「嫌われている」と思い込んでおり、また妹萌えに関しても「リアルで妹がいるのに」と考え、「気持ち悪い」と述べている。またヒロインたちから好意を向けられているのには気づいているが、それは「永遠野誓」に対してであって、自分が代理人でなければ相手にされないと戒めているので、誰にも恋愛感情は抱いていないと独白している。
小学生の頃に涼花を泣かせた[注 1]ことを悔やんでおり、それ以来、彼女と距離を置いていた。後に自分がラノベにハマったのは、「頼りない兄貴」の自分が「頼りになるラノベ主人公」に憧れたからだったと自覚する。
ネタ探しのためにラノベを読むだけではなく、アダルトゲームを購入してプレイするなど積極的に行動している。反面、執筆に関係ないこと(学校の行事など)にはまったく興味がなく、億劫と感じている。趣味や興味の範囲が狭い彼だが、ヒロインたちとの関りを得て大いに振り回されることとなる。
3巻では神坂姉妹と自作同人誌の売り上げで勝負をすることになり、シナリオを涼花が引き受けるはずだったが風邪で寝込んでしまい、祐がシナリオの構築・執筆を行うという事態になる。実力では到底涼花に及ばず苦悩するが、涼花に諭されたことで勝つための作品を作ろうとしていることを恥じ入り、『お兄ちゃんが好きすぎて困ってしまう妹の物語です。』に対する強い愛情を込めたシナリオを考える。Wピース先生にも自分が好きだと思うイラストで描くように告げ、その結果圧倒的な大差で神坂姉妹に勝利する。感服した秋乃からは、一方的に弟子を名乗られることとなった。
4巻ではアニメ化が決定し、打ち合わせの際に桜田樹から妹議論で論破される。樹は永遠野誓に失望したと告げ、自分好みにキャラ改変をしたアニメを作ると言い放つ。これを阻止するために祐は妹萌えを理解するべく、周囲の協力を得る。実はとっくに妹萌えに目覚めており、それを隠していたのは「涼花に嫌われている自分が妹萌えになったら益々嫌われる」という恐怖から来るものだったことを独白。水無月桜に諭され、涼花に己の本心を告げたことで吹っ切れ、妹萌えを豪語する樹の「欲望」を見抜き逆襲した。結果、樹は単なる逆恨みで祐を困らせようとしていただけだったことが判明し、改心した樹から尊敬されることになった。その後、祐はとある編集部の人間から自分の投稿作品(小説)が最終選考に残ったことを電話で告げられる。
5巻では最終選考に残るも、「ヒロインが可愛くない」という致命的な欠点により落選となったことが明かされる。涼花に慰められた後、実は可愛い女の子に対するイメージの貧困が発覚し、理想の女の子を涼花が演じる形で協力されることとなる。それを通して「涼花みたいな女の子が理想」だと自覚するようになった。
6巻では、氷室と皇ファンタジー文庫の「ラブコメ祭り」で勝負することとなる。そして、妹モノを封印した涼花の書いた新作ラブコメ小説を読んだ後、氷室の書いた新作ラブコメ小説を読んだことで、涼花がライトノベルの天才ではなく「自分の作品」の天才であることに気付き、涼花に妹モノのラブコメで勝負するように助言し、氷室との勝負に勝利させた。四月に涼花が七海坂高校に入学した事で、ますます涼花や氷室との板挟みに悩むこととなる。
7巻では高校二年生となり、涼花の友人であり後輩でもある二階堂楓の悩みに関わることに。当初は「兄という立場を利用して涼花にいやらしいことをしている」と誤解されていたが、お互いに『スカマガ』のファンであることが判明して実質的に和解した。その後、壮絶な誤解から涼花に好きな男がいると勘違いしてしまい苦悩することとなる。悩み抜いた末に自分が「重度のシスコン」であることを認め、涼花を奪われたくないと告白した。涼花から話を聞いたことで誤解は解けたが、妹に対する告白は学校中の生徒たちに訊かれてしまっていた。
8巻では、先の告白のせいで涼花に対して異性を意識してしまうようになってしまう。そんな折、クレセント出版主催の新人賞にて落選したことが榊瑠璃子から電話で語られる。しかし、見込みはあるとのことで彼女を担当編集とした形で再度作品を創ることになった。舞を始めにヒロインたちからラブコメに関する意見を聞いて回り、段々とプロットを仕上げていく。そこへ榊から妹モノを書いてはどうかと勧められるが、涼花への負い目から拒否してしまう。その話をこっそり聞いていた涼花は大層憤慨。しつこく問い詰められた祐はついに折れ、ラノベに対する想いを語り始めた。小学生の時、涼花から「お兄ちゃんなんて嫌い」と言われたことで酷いショックを受けたところ、妹モノのラブコメラノベ『はちみつしすたぁ』を見つける。そこに描かれた仲のいい兄妹に羨望を抱き、引き込まれ、ラノベ作家を志すようになった。ずっと妹モノを書きたいと思っていたが、「妹モノを書いたら涼花にキモいと思われる[注 2]」という思い込みから妹モノを書くことだけは避けていた。そのことを涼花に話すが、拒否されることなく受け入れられ、長年の苦悩は氷解した。しかし作品に取り掛かるというところでクレセント出版は倒産してしまい、作家デビューはご破算となった。その後、謝罪に来た榊に事の経緯を話したところ、彼女こそ祐をラノベの世界に引き込んだ作者「きるりん」であることが判明する。
9巻では篠崎麗華の提案により「兄が妹を好きになる瞬間」の取材をすることになる。やる気満々の涼花につき合わされて行く内に、涼花に対する想いの片鱗を自覚していく。その後、舞から「裕には気になっている女の子がいる」と『誤解』されたことでヒロインたちと文化祭デートにつき合わされる。誤解は解けたものの舞だけは頑なに認めようとせず、屋上に連れ出されて遠回しながらも告白を受ける。だが永遠野誓の偽物という立場から受け入れることはできなかった。しかし舞は、飽くまで永見祐という男を好きになったのだと告げる。迷った末に祐は「俺は涼花が好きなんだ」とついに自覚する。その表情から祐の気持ちを読み取った舞は引き下がったが、チャンスがなくなったわけではないとして今後も今までと変わらぬつき合いをするということで落ち着いた。しかし、涼花に対する想いを秘めたままではいられなかった祐は、「せめて物語に残したい(魔がさした)」ことからラノベを執筆。見事大賞に輝くも辞退してしまった。
永見 涼花(ながみ すずか)
声 – 近藤玲奈[4][5]
【年齢:14歳→15歳(5巻) / 身長:152cm / B72・W54・H79 / 趣味:お兄ちゃんの世話 / 好きなもの:お兄ちゃんとの時間 / 嫌いなもの:お兄ちゃんに対して素直になれない自分】
ヒロイン。中高一貫の「超」お嬢様学校である、白桜女学院の中等部3年生。祐の妹であり、本作のもう一人の語り部。祐も認める完璧超人で、生徒会長を務め、人望も厚い。基本的に敬語で話すが真顔のため不愛想。祐のことを「お兄ちゃん」と呼ぶが振る舞いは冷たく、ヘタレな兄に対し「お兄ちゃんはもうちょっとしっかりしてください……」と辛辣な発言を口にするのが日課となっている。他にも「お兄ちゃんの世話をするのは妹の義務です」も口癖としている。
一方で兄とのラブラブな妄想をノートに書き綴るなど、重度のブラコン。だが持ち前の素直になれない性格と他のヒロイン達への嫉妬心、そして、日頃の兄への軽蔑する発言[注 3]などもあり、下記の通り、当の兄から嫌われていると思われている。その妄想ノートを小説としてまとめた『お兄ちゃんが好きすぎて困ってしまう妹の物語です。』を新人賞に送ったところ、大賞を受賞してしまう[注 4]。しかし、白桜ではアルバイトは禁止されており、生徒会長である自分が規律を破るわけには行かず[注 5]、更に厳格な父親[注 6]が作家デビューを許すとは思えないことから兄に代理人を頼む。以降は作品のためという名目で「取材」を行い、それを利用して兄とベタベタする妄想を実現させようとする。多くが「作品のための取材」というていで兄とのイチャイチャを行うが、他のヒロインたちもそれに乗じて祐に接近するので、涼花としては嫉妬を禁じえない模様。
いわゆるクーデレであるが、原作の挿絵では感情豊かな面(デレの部分)が強く出ている。
自分の小説(妄想)が世に出ることは「自分と兄の仲を認めてもらっている」ことに直結するので、創作活動に関しては積極的。この理由から、自分の作品を貶す人間に対しては強い怒りを見せる。ゲームやアニメといったオタク関係の知識は皆無に等しく、興味もない様子。しかしデビュー後は無知を逆手にとって「取材」という名目で兄をデートにつき合わせイチャイチャを堪能している。だが作品は嫉妬した兄から「まあまあ」と評価されており、それを真に受けた涼花は「面白くないと思われている(自分の想いが否定されている)」と受け取ってしまう。二巻目も刊行することになったが篠崎麗華のアドバイスにより「新ヒロイン」を登場させるも、祐からはまったく面白くないと思われるほどの不出来だった。涼花としては兄と妹イチャイチャが書きたかったのだが、前述の通り兄に否定されたことで自暴自棄になり新ヒロイン登場の案を取った。その想いを断片的に知った祐は、「俺は妹が好き。妹以外のヒロインはいらない」と告げ、受けた涼花は「妹が好き=涼花が好き」と激しく誤解してしまう。だがコンディションは見事に復活し、一気に書き上げた2巻も爆発的な人気を得た。その後、祐から「涼花が書くラノベの妹が好きなのであって、俺に妹属性があるわけではない(これがタイトルに掛かっている)」ということを告げられ、涼花はまた機嫌を悪くしてしまう。
なお、涼花がラノベを書き始めたのは、裕が置きっぱなしにしていたラノベを見つけ、仲直りのきっかけになると思って読んだことによるもの。
裕は、小学生の頃に涼花を泣かせて「お兄ちゃんなんて嫌い」と言われたことから「壁」を感じていたが、それは涼花も同じで「よそよそしさ」を感じていた。その理由を裕は忘れてしまっているが、涼花によれば「自分が不注意で父親の皿を壊してしまった時、何も悪くない兄が身代わりを買って出たことで哀しくなり、感情がぐちゃぐちゃになった」ことから「嫌い」と言ってしまったという。
5巻では、「お兄ちゃんはもうちょっとしっかりしてください……」という台詞は「凛々しい兄の姿が見たい」という理由からで、祐を情けないと思っているわけではないと明かされた。更に、白桜女学院中等部を卒業後は高等部に進むのではなく、祐のいる高校に進学する予定であることを祐に告げた。また誕生日を迎えたことで15歳となった。
6巻では、七海坂高校を受験した後で氷室と「ラブコメ祭り」で勝負することとなり、あえて妹モノを封印して新作ラブコメ小説を書こうとする。そして、家を離れて白桜女学院の寮に短期編入したり、バレンタインデーに祐と恋人同士のような関係を演じたりして、新作ラブコメ小説を完成させる。しかし、祐から自分がライトノベルの天才ではなく「自分の作品」の天才であると助言され、妹モノの新作ラブコメ小説を急遽書き上げて、一位を取って氷室との勝負に勝利した。そして、四月に七海坂高校に入学する。
7巻では、晴れて七海坂高校の一年生となった。
8巻では、兄がまだ心の底から妹と仲直りをしていないという心情を知り、「どんなことがあろうと二度と嫌いなんて言ったりしない」と言い、加えて祐が「妹」に対する妄想をラノベにしたとしても絶対に受け入れると「誓い」を立てた。これにより祐のトラウマと思い込みは氷解し、自分が本当に書きたかった「妹モノ」と向き合うことができるようになった。
漫画版
冒頭から祐に対して苛立ったり睨んだりするシーンが描かれており、「兄を嫌っている」ことが示唆するようなシーンが挟まれている。ストーリーが進むにつれてこういった表現は減り、原作同様照れることが多くなった。ただし冷めた表情でいることも多々あり、「クーデレ」を強調するものとなっている。
巻末に掲載されたSSによれば、涼香が冷めた振る舞いをしてしまうのは兄に対する照れ隠しであることが語られている。素直になれずごまかしや否定に走ってしまうため、結果としてそれが冷たい言動になってしまうという。
アニメ版
衣装の変化が激しく登場するたびに違う服を着ている。原作イラストでよく見られる「ワンピースにパーカー」の格好は一度しかしていない。原作と時期は異なるが、最終話にて高校生となった。
氷室 舞(ひむろ まい)
声 – 小倉唯[5]
【誕生日:4月8日 / 年齢:15歳 / 身長:164cm / B89・W59・H87 / 趣味:長風呂 / 好きなもの:勝利 / 嫌いなもの:敗北】
1巻から登場。祐のクラスメートで校内一の美少女。裏の顔は『スカイ・マジック・ガーディアン(スカマガ)』を執筆している人気ライトノベル作家「炎竜焔(えんりゅうほむら)」。
性格は気が強く偉そうで行動的。自分の感情や思い込みを通そうとする我侭で自分勝手なところがある(本人も「多少は」自覚している)。告白してきた男たちに対し、トラウマになるほどの振り方をしたという伝説から「氷の女王」と呼ばれ、男女問わず敬遠される存在となってしまった。その中でも平然としているという太い神経の持ち主。だが実際の中身はポンコツで、作品の面白さを探るため祐にストーキング行為をしているが見え見えな上に祐に関するノートに大声で脚色を加えて書いたり、目的のためなら自身の体を売ることも厭わないなどラノベに対する情熱は高い(常識に欠けているとも言うが)。両親は伝統や格式にこだわる名門(名家)の出であり、舞もお嬢様である。しかし両親はラノベを低俗なものと認識しており、舞の作家活動を快く思っていない。そういうこともあり永見家の近所にある高級マンションで一人暮らしをしている。
永遠野誓の一番のファン兼ライバルを自称し、祐に対して早くから好意らしきものを見せているため、その気の強さから涼花と激突し掛けることもままある。なお、祐は「炎竜焔」のファンであった。
2巻では、新担当から「人気が落ちている。主人公のキャラが弱い」と酷評されたことで躍起になり、打開するべく祐の秘密を探ろうとする。教室で祐の応募用原稿を盗み見てしまい、永遠野誓のラノベとはあまりにも差があり過ぎることから疑念を持つようになる。ついには「祐は永遠野誓じゃない」とまで言い放つが、涼花のアドバイスを受けた祐から「キャラクターに本気でなりきる」ことの大切さを告げられ、苦境を乗り越えた。祐に対する疑念も「自分への戒めのためにキャラが「死んでいる失敗作を持ち歩いている」という「(嘘の)秘密」を聞いて晴らしている。このことから益々祐に対する執着(好意)が強くなっていった。
実はデビュー作(受賞作)は不人気から打ち切りになっており、読者からも酷評されていた。その際に指摘された「主人公のキャラが弱い、物語を進めるための駒になっている」という内容は、今でも舞の心に沈殿している。舞が躍起になって永遠野誓の秘密を知ろうとしたのは、この欠点を克服したかったという部分が大きい。
6巻では、祐と面識のある自分とWピースと水無月桜と神坂姉妹の五人で、永遠野誓ラインという集いを作っていたことが判明する。麗華が祐に持ってきた短編投稿イベント「ラブコメ祭り」の話を聞き、氷室は突発的に永遠野誓に「ラブコメ祭り」で勝負を申し込む[注 7]。負けた方が勝った方の言うことを一つだけ聞くという条件を付ける。そして、書き上げた新作ラブコメ小説は、祐から見ても素晴らしい読み切りだった。祐はその才能に感心するが、舞は舞なりに努力して行きついた結果であり、それは氷室にしか書けない物語であった。
惜しくも永遠野誓(涼花)とは、僅差で二位に終わった。そして、勝者である祐に一つだけ言うことを聞くから早く言えと急かし、祐が話題を逸らそうと「ヒロインが主人公の頬にキスする」という話を命令だと勘違いし、思わず祐の頬にキスしてしまい、直後に勘違いだと気付き、赤面してその場を去っていった。
9巻では祐が涼花を好きだと直感的に気づき、それを確かめるべく「裕には気になる女の子がいる」と騒ぎ立ててしまう。裕の気持ちを確かめるために文化祭デートを行うがわからず、屋上に連れ出して遠回しながらも告白を行った。だが、その行為によって祐は涼花への想いを自覚してしまい、結果的に舞は振られてしまう。しかし、まだチャンスがないわけではないということで今後も変わらぬつき合いを続けていくこととなった。今まで男子を振る側だった舞が初めて恋心を抱き、振られる側の気持ちを痛感させられた。その経験は新たに執筆するラノベに活かされることとなった。
漫画版
登場当初は不敵な笑みや屈辱に震える様子などがたびたび描かれていた。
アニメ版
第一話から顔見せ程度で登場。原作では特に言及されていなかったが「お金持ち」と紹介されている。初登場となる登校シーンでは、男子女子問わず羨望の眼差しを向けられる美少女であることが強調されている。この時、体育会系と思しき男子生徒から声を掛けられているが見向きもせず立ち去っている(挨拶だけはした)。この時点では祐との接点がなく、祐からも「あんな美少女は俺とは一生縁がないんだろうな」と思われていた。皇ファンタジー文庫授賞式の際、祐の姿を見かけてから大賞受賞作に興味を抱いた。

サブヒロイン

アヘ顔Wピース先生(アヘがおダブルピースせんせい)
声 – 赤﨑千夏[5] / 作中イラスト – 宮井加奈(アニメ版)
【年齢:?歳(未成年) / 身長:169cm / B92・W60・H88 / 趣味:エロ妄想(二次専) / 好きなもの:エロネタ(二次専) / 嫌いなもの:エロ要素の足りないエロゲ】
1巻から登場。『お兄ちゃんが好きすぎて困ってしまう妹の物語です。』の挿絵担当。本職は鬼畜・凌辱系エロゲメーカー「ムーン・ラビット」に勤める大人気イラストレーターでエロゲンガー。鬼畜系の同人誌も手掛けている。イギリス出身の美少女で、巨乳でスタイルがよい。長い金髪でメガネをかけている。日本語を話すが「〜デスヨ」など独特のイントネーションが特徴。本人はフルネームで呼ばれることを望んでいるが、周囲からは「Wピース先生」、氷室からは「エロイラストレーター」、神坂姉妹からは「アッヒー」の愛称で呼ばれる。本名は不明。「先生(祐)の一番のパートナー」を名乗る。
動じない性格で終始明るいトラブルメーカー。名前に反して笑顔は明るく人懐こい。性に関して開放的で突拍子もない言動や提案をしては祐を困らせる。様々なコスプレ衣装を所持しているので涼花たちに貸し与えることが多く、何かとコスプレを提案してくる。基本的にコスプレ時のみメガネを外す[注 8]
3巻では友人である神坂姉妹の登場により苦悩することになる。神坂姉妹とは「アッヒー」と呼ばれるほど仲のいい友人であり、特に妹の春菜は彼女を目標にするほどの熱烈なファンだった。春菜はメキメキと実力をつけていき、ついにはWピース先生さえも追い越してしまう。これによりWピース先生は春菜に劣等感を抱くようになってしまった。更にWピース先生を尊敬していた春菜は、エロイラストレーターに留まっているのはもったいないとそこから脱却させようする。これらの事情から自然と疎遠となってしまっていた。しかし、祐とコンビを組んで神坂姉妹と対決して勝利したことで、春菜は永遠野誓の作品に魅了され、作品を愛するという想いを知ったことで考えを改めた。実は春菜もエロイラストレーターとしてのWピース先生には遠く及ばないと劣等感を抱き苦しんでいた。春菜はその分野でもWピース先生を超えてみせると宣言。互いに似たような想いを持っていたと気持ちを通い合わせ、友情を取り戻した。
漫画版
登場するたびに「Wピース」で挨拶をしてくる。また背景に「why?」「Yeah!」など多く使われており「外国人」であることが強調されている。
アニメ版
初登場が授賞式の席となっており、この時にイラストレーターとして祐に挨拶をしている。代わりにWピースの仕事場(エロゲ会社)に行くという展開がなくなった。また原作で披露した数々のコスプレ展開も控えめになっている。初のコスプレイベントでは、舞の胸を揉みしだくというシーンが描かれた。
水無月 桜(みなづき さくら)
声 – 荒浪和沙[5]
【年齢:16歳 / 身長:162cm / B86・W57・H86 / 趣味:犬グッズ収集 / 好きなもの:回ってるお寿司 / 嫌いなもの:粉薬】
2巻から登場。デビューから1年で次々とアニメのヒロイン役に抜擢された超大人気声優であり、アニメ化予定の『お兄ちゃんが好きすぎて困ってしまう妹の物語です。』でもヒロインの声を担当することとなった。永遠野誓の大ファンで祐の妹を自称するが、実は高校二年生。天然のように見えるがそれは装っているだけで、実際は物事の本質や観点を見極めることのできるしっかりした性格である。祐に対して「お兄ちゃん」と呼び、『お兄ちゃんが好きすぎて困ってしまう妹の物語です。』のヒロインのような振る舞いをしている。この頃は顔見せ程度の登場であり、影の薄い扱いだった。
4巻では、実はデビュー当初は妹萌えでなかったことが判明する。シスコンの兄・桜田樹の存在がマイナスに働きいいイメージを持てなかったが、永遠野誓の作品を読んだことで魅了され、妹萌えに目覚めた。しかし同じように兄も永遠野誓作品に感銘を受け、桜に対する愛情を暴走させてしまう。結果、桜は家出してしまい祐の家に転がり込むことに。後に祐に告白するが、自分のことよりも涼花を大事に思っていることを知ると「偽物では勝てない」と口にし、告白は演技だったと告げた。以降は妹の演技をやめ、敬語で接するようになった。
7巻では、「真の妹」になった暁には祐を「お兄ちゃん」と呼ぶと宣言。以降は祐から「原作者から直接、妹の演技指導してほしい」と言って迫るようになった。
アニメ版
第一話から顔見せ程度に登場している。皇ファンタジー授賞式の席で進行役を務めており、一コマだけ登場した。2巻に当たるエピソードでは序盤にしか登場しなかったが、祐たちと一緒に別荘までついて行っている。
神坂 春菜(かんざか はるな)
声 – 永恵由彩[5]
【年齢:15歳 / 身長:160cm / B80・W55・H81 / 趣味:読書(漫画) / 好きなもの:あんまん / 嫌いなもの:虫】
3巻から登場。女子校に通う一年生で、大手同人サークル「アンビヴァレンツ」のイラスト担当。数少ない常識人。秋乃の妹で基本的に姉妹セットで登場する。流星文庫で執筆する姉の挿絵も務めている。アヘ顔Wピース先生を「アッヒー」と呼び、一方的にライバル視する。気が強く素直になれない性格。永遠野誓の作品を「ストーリーのないキモいラノベ」と貶す言動をしたことで涼花の怒りを買う。そこでお互いに永遠野誓作品の同人誌を作り、その売り上げで勝負することに。
Wピース先生とは二年前のコミケで出会い、当時からイラストレーターとしての彼女に憧れていた。それを原動力に自身もイラストを手掛けるようになり、天才的な才能を開花させWピース先生に迫るほどの画力を発揮させていった。追いつくにつれてWピース先生が「日の当たらない鬼畜系イラスト」を描いていることが納得できなくなり、世間に周知させるべく普通のイラストを描かせようと考えるようになる。そこで自分がエロ系イラストで彼女を超えれば改心すると考えるが、そちらの分野では遠く及ばなかったため羨望と嫉妬を併せ持つようになってしまった。
これらの事情から「人気が出なければ価値がない」という極端な思考を持っていたが、永遠野誓作品の同人誌を描くうちに「作品に対する作者の愛」を感じ取り、更に祐&Wピース先生との売り上げ勝負でも大敗を喫したことで永遠野誓が持つ作品への愛を認めた。以後はエロ系のイラストでもWピース先生を超えてみせると宣言した。
4巻には登場しなかったが、アニメではこの巻に当たるエピソードには登場している。
5巻で再登場。祐に関しては異性としてそれなりに興味を持っているらしく、周囲の奇行をバカバカしいとコメントしつつも祐の取り合いに参加している。しかし、性格が災いして祐と口喧嘩になることが多く、祐からは(主に地の文で)「神坂妹」と呼ばれている。以後も一度も名前で呼ばれていない。
6巻では姉妹揃って永見家を訪れ、祐にバレンタインチョコをプレゼントした。イラストの才能を活かして動物形の凝ったデザインのものを送ったが、実は涼香も同じものを用意していたため意図せず出し抜く形になってしまった(しかもデザインも上手いので上位互換になった)。
7.5巻では大学生になった姉と共に永見家を訪問。寧々のアドバイスをするという姉に付き合った結果、なぜかコスプレに参加させられた。
8巻では祐からラブコメに関するアドバイスを求められ、女子作家たちの創作論に参加。その際に漫画家を目指していることが判明した。各々が考えるラブコメの内容を実演するという流れになり、姉の強引な後押しで「主人公に対し素直になれなかったヒロインが告白する」という演技をすることに。「あんたのことがずっとずっと好きだった」「友達みたいな関係が心地良くて今まで言い出せなかった」「誰にも取られたくないから私と付き合って」とヒロインたちの前で祐に「告白」した。春菜自身は今のは演技だったと釈明したが、周囲には「とても演技とは思えなかった」と評された。
アニメ版
アヘ顔Wピース先生に嫉妬していたという設定がなくなり、同人誌の勝負を受けた理由が「普通のイラストを描くように命令させる」というものになった。また勝負の際に初めてエロ系のイラストを描いており、難易度の高さを認識した。原作では再登場は少し後だったが、アニメでは引き続き登場している。姉が祐たちと遊園地に行くというので「祐がお姉ちゃんにヘンなことしないか」気になって付いて来た。そこで行われた妹なりきり勝負に参加し、自身は「ツンデレ妹」を演じた。自撮り棒を用意して撮影を行うなど、楽しむことには積極的だった。最終話ではWピース先生から連絡を受け、姉と共に祐のもとへと駆けつけている。桜田との妹談議が無事終わったと聞いた時は、ツンデレな態度で祐の健闘を讃えた。
神坂 秋乃(かんざか あきの)
声 – 中島優衣[5]
【年齢:18歳 / 身長:156cm / B77・W53・H80 / 趣味:読書(小説) / 好きなもの:ピザまん / 嫌いなもの:数学】
3巻から登場。妹と同じ女子校に通う三年生で、大手同人サークル「アンビヴァレンツ」のシナリオ担当。春菜の姉で基本的に姉妹セットで登場する。ラノベ大賞を取るほどの実力者で、妹を挿絵担当に流星文庫からデビューする予定。妹とは逆に口数が少なく感情に希薄。常に落ち着いた雰囲気を醸し出す。妹より身長が低く、着物姿[注 9]。素直になれない妹のことを心配している。
永遠野誓&Wピース先生のコンビと対決することになり、春菜の頼みで読者を意識した18禁シナリオを作成する。しかし、読者としての愛情を意識した祐のシナリオとWピース先生のイラストの前に敗れる。以後はそのシナリオに感銘を受けたことで祐を師と仰ぎ、弟子を自称する。しかし祐より年上のため、彼からは基本的には敬語敬称で接されており、逆に秋乃の方は敬語を使わず接しているという奇妙な関係になった。この頃はまだ「口数は少ないが妹想いな人物」という「まとも」なキャラクターとして描かれていた。
4巻には登場しなかったが、アニメではこの巻に当たるエピソードには登場している。
5巻で再登場。弟子どころか祐の恋人ポジションを狙っているかのような発言をしたり、妹が持つ祐に対する想いも見抜いているらしく、素直になれない妹の気持ちを代弁してはからかっている。主に肉体関係を匂わせる発言で祐に迫るようになった。
6巻では姉妹揃って永見家を訪れ、祐にバレンタインチョコをプレゼントした。その際に素直になれない妹がどれだけ真剣にチョコを用意したかを語り、またも妹を動揺させている。
7.5巻では大学生となり、再び妹を伴って永見家を訪問。その際に寧々と知り合い、彼女が「永遠野誓の弟子を自称している」と思い込みライバル意識を見せ始める。しかし祐から「姉弟子」扱いされて持ち上げられたため、寧々に対して先輩風を吹かせながらも面倒見の良さを見せるようになった。
アニメ版
祐からみんなと遊園地に行くと聞き、妹を連れて参加した。最終話ではWピース先生から連絡を受け、師匠のピンチを知って妹と共に祐のもとへと駆けつけた。桜田との妹談議が無事終わったと聞き、ヒロインたちと一緒にその場を後にした。

サブキャラクター

篠崎 麗華(しのざき れいか)
声 – 喜多村英梨[5]
【年齢:25歳 / 身長:174cm / B94・W61・H89 / 趣味:自己研鑽 / 好きなもの:酒類全般 / 嫌いなもの:売る気のない作品】
1巻から登場。皇ファンタジー文庫の女性編集者で、永遠野誓(祐)の担当編集。長身でスタイル抜群の美女。一見すると妖艶でキビキビとした軍人風の言葉遣いだが、実際は砕けた態度である。やたらと性的な言動を多く発し、祐をからかっては困らせている。「ライトノベルのために魂も捧げた」と豪語しており、特に『お兄ちゃんが好きすぎて困ってしまう妹の物語です。』に対する入れ込みは凄まじく、祐のためならば(性的な意味で)我が身を捧げる覚悟もある。永遠野誓の正体については気づいていないが、時折的を射るような発言をするので祐を困らせている。
桜田樹は大学時代の後輩であり、時には力づくでねじ伏せるような上下関係を築いていたという。
アニメ版
原作では携帯電話越しに祐と最初の会話を行っているが、アニメ版では電話でのやり取りはなく、授賞式の席にて初めて会話をしている。
江坂さん(えさかさん)
声 – 真野あゆみ[5]
【年齢:20歳 / 身長:145cm / B68・W52・H76 / 趣味:ナガミンいじり / 好きなもの:勤労中の休憩(サボリ) / 嫌いなもの:多忙】
1巻から登場。祐がアルバイトをしている丸猫書店の娘。見た目が幼い大学生。茶色がかかったツインテール。祐のことを「ナガミン」と呼んでいる。上司で主にレジを担当しているが、自堕落でしょっちゅうサボっている。お姉さん(年上)を自称しているものの、小柄で人懐こい性格のため祐にしがみついたりしてベタベタしており、年上の威厳はまったくない。Wピース先生のファンで、永遠野誓の作品もイラストだけ見ていて文章は読んでいないようである。
判明しているのは名字だけで、名前は不明。
アニメ版
初登場からパンチラしたり、祐に涼花のエロ妄想をさせる、アヘ顔Wピース先生のイラストを見せるなどしていた。他にも同人誌関係のイベントに参加するというオリジナルシーンも挿入されている。逆に原作で見られた祐に絡むシーンは削られており、出番自体は少ない。エンディング後には各ヒロインを呼んで一方的に座談会をするというコーナーが設けられた。
桜田 樹(さくらだ いつき)
声 – 杉山紀彰
【年齢:24歳 / 身長:180cm / 趣味:写真撮影 / 好きなもの:コーヒー / 嫌いなもの:雨】
4巻から登場。オタク業界では知らない人はいないと言われるアニメ監督。わずか22歳でデビューを果たし、以降は手掛けた作品のすべてが高評価を得ている。篠崎麗華は大学時代の先輩にあたる。
眼鏡を掛けた美男子であり、一見すると理知的でクールだが実は重度のシスコン。「妹」という存在を「神」と崇め、自身が抱く欲望の矛先としている。そんな変態行為を「神域に挑む」と例え、「そのためなら妹に嫌われても構わない」と正当化している。永遠野誓の作品のアニメ化を手掛けることとなり、打ち合わせの際に祐を妹談議で打ち負かした。失望した後は自分の手でキャラ改変したアニメを放送することを告げた。これを阻止するべく祐は真剣に「妹萌え」と向き合うこととなる。
実は水無月桜の実兄であり、彼が提唱する妹萌えとは桜に対する愛情であった。最初は遠くから見守るような形で愛情を示していたが、永遠野誓の作品に感銘を受け尊敬し、桜に対する行き過ぎた愛情を爆発させたことで家出された。その後、実際に祐と対面するが妹萌えという感じがしなかったため失望し、桜が家出したこともあって逆恨みして「キャラ改変をする」と嘘を吐いた。これを受けて妹萌えを受け入れた祐から「妹萌え」に対する在り方を問われ、上記の欲望を発露。裕には「それは妹萌えではなく妹狂い」だと論破され、ただの欲望でしかないと言い捨てられてしまう。追い詰められたことで駄々っ子のように逆上して、本当にキャラ改変を行おうとするが、そこへ事情を知った桜が乗り込んで問い詰められたことで観念し、土下座して謝罪した。以後は祐を「同志」と呼ぶようになった。
アニメ版
打ち合わせの席に祐が妹(涼花)を連れてきたことや、家出した桜が永見家に身を寄せていると聞いたことで祐に対する嫉妬を抱き、「アニメでキャラ改変をする」と言ってしまったことになった。桜田曰く「ヘンなスイッチ入った」。また逆上しても駄々っ子のような振る舞いは見られなかった。
御手洗 大源(みたらい だいげん)
声 – 上住谷崇
テレビアニメオリジナルのキャラクター。原作には登場しない。テレビアニメ8話で登場。アニメプロデューサー、桜田と共に永遠野誓の作品のアニメ化の打ち合わせに出席する。当初は祐に絡んだ桜田を諫めようとしていたが、再び打ち合わせの場に立った時は桜田寄りのポジションをとり、裕に対して「打ち合わせの必要はない」ということを告げ、拒絶の姿勢を見せた。
二階堂 楓(にかいどう かえで)
【年齢:15歳 / 身長:161cm / B85・W52・H80 / 趣味:剣の鍛錬 / 好きなもの:質実剛健なもの、肉類 / 嫌いなもの:軽佻浮薄なもの、ピーマン】
7巻から登場。涼花が七海坂高校へ入学してからできた友人の一人で、古風な性格をしている同級生の少女。口癖は「ふしだらな!」。怒った時は「斬りますよ!?(祐に対してのみ)」。思い込みが激しい一面があり、当初はオタクに偏見を持っていたことから祐が涼花にいかがわしいことをしているのではと考えていた。更に祐のバイト先の本屋で楓が『スカマガ』を手に取っているところを祐に目撃されると、それをネタに脅迫されて体を要求されてしまうのではないかと思い込んで、思わず服を脱ぎそうになって祐に止められるという場面もあった。
実は楓自身が「オタク」の深みに嵌っていた。実家が剣道場を営んでいるので厳しくしつけられた関係上、ライトノベルも禁じられており、楓も一切読もうと思わなかった。が、次第に興味を持ち始めて中学時代に炎竜焔の『スカマガ』第一巻を思わず読んでみたところ大ファンとなる。だがラノベの良さを知った後でもオタクに対する偏見は拭えず、自分がオタクであることを人に知られることを極度に恐れていた。特に敬愛する涼花にはどうしても話せなかったが、祐の取り計らいで『スカマガ』原作者の氷室と出会い、その後押しもあって涼花に本心を明かした。
涼花は「普段は堅物な女剣士みたいなくせに、中身はこんなにも打たれ弱い」と評しており、それは最初に出会った時からわかっていたという。
椎名 琴美(しいな ことみ)
【年齢:15歳 / 身長:165cm / B84・W55・H83 / 趣味:小物集め / 好きなもの:アップルティ / 嫌いなもの:高温多湿】
7巻から登場。涼花が七海坂高校へ入学してからできた友人の一人で、高校一年生とは思えないほど大人びた雰囲気の少女。穏和な性格で、二階堂楓とは中学時代からの友人で、彼女を通して涼花と知り合った。高校では演劇部に所属している。
万里小路 寧々(までのこうじ ねね)
【年齢:14歳 / 身長:151cm / B83・W55・H80 / 趣味:読書(小説) / 好きなもの:幸せな物語 / 嫌いなもの:自分の性格】
7.5巻に登場。初出は『ドラゴンマガジン』に掲載されていた外伝から[注 10]。白桜女学院の中等部二年生で涼花の後輩。長い黒髪の可憐な容姿の引っ込み思案な性格で、巨乳の持ち主。口癖は「はわわ」。
永遠野誓(実際は涼花)のライトノベルを呼んだのをきっかけに、ラノベ作家を目指すことになる。白桜女学院に講演会にきた祐に好意を抱いており、ラノベ作家としてデビューした時には祐に告白したいと考えていることから、涼花をやきもきさせていた。そして、遂に原稿を完成させて応募するが受賞しなかった為に、結局は祐へ告白はしなかった。
そして、涼花が七海坂高校へ入学してから一ヶ月後に永見家を訪問した際には、長かった黒髪を短く切った上に、明るく快活な性格へと変わっていた。その理由は、ラノベの登場人物のように人と積極的に接していったことで次第に性格が変わっていった為であり、涼花が卒業した後に白桜女学院生徒会に入ったことも祐と涼花に語った。最後には遠回しなやり方であるが涼花に「ライバル宣言」を行い、祐のことは今でも諦めていないとリベンジする旨を語った。
入れ込んだ作品ほど登場人物になり切ってしまうという特殊技能の持ち主であり、サービスシーンやラッキースケベの展開を妄想してはその通りに行動しようとする。
榊 瑠璃子(さかき るりこ)
【年齢:24歳 / 身長:167cm / B83・W53・H82 / 趣味:金欠だから特にない / 好きなもの:昼寝 / 嫌いなもの:面倒くさいこと全般】
8巻に登場。クレセント出版の編集者。美人だがグータラな性格が災いして台無しになっている。いつも眠そうな目をしているが、ラノベに対して彼女なりに情熱を持っているようである。最終選考に残った祐の作品を見込み[注 11]。自分がアドバイスをする形でもう一度を作品を作ってみないかと持ち掛けた。実はこれは、傾きかけていた(というより沈む寸前の)クレセント出版を立て直すために行われたものだった。結局、祐の作品が完成するより先に出版社が倒産したため、デビューの話はなかったことになってしまった。
ラストシーンでは祐のもとへ謝罪に訪れたところ、彼の口から「自分をラノベの世界に引き込んだ作品」の話を聞くことに。直後、その作品『はちみつしすたぁ』を書いた作家「きるりん」が自分であることを明かした。若くしてデビューしたものの人気がまったく出ず、最初の作品が酷く叩かれたことで筆を折ってしまっていたのだ。そのため夢を失って編集者の道を歩んだが、祐に大きな影響を与えたことを知りもう一度夢を見てみることを口にして立ち去っていった。

既刊一覧

小説

漫画

テレビアニメ

2018年10月から12月にかけてAT-X・TOKYO MXほかにて放送された[23][24]。第7話は制作上の都合により放送が1週延期され、代替として第6話が全局で再放送された[25]

第1話ではコラボレーション企画として、テレビアニメ『シスター・プリンセス』の妹たちが作中に登場した[26]

スタッフ

  • 原作 – 恵比須清司[23][5]
  • 原作イラスト – ぎん太郎[23][5]
  • 監督・キャラクターデザイン – 古川博之[23][5]
  • 助監督 – 小川優樹
  • シリーズ構成 – 百瀬祐一郎[4][5]
  • プロップデザイン – 宮暁秀、松田陵平、五月女妃苗、小川あゆみ
  • 総作画監督 – 古川博之、大野勉[5]
  • 美術監督 – 三宅昌和[4][5]
  • 美術設定 – 三宅早織
  • 色彩設計 – 柳澤久美子[4][5]
  • 撮影監督 – 船越雄弦
  • 編集 – 柳圭介[5]
  • 音響監督 – 小泉紀介[4][5]
  • 音楽 – やしきん[4][5]
  • 音楽制作 – MAGES.[4][5]
  • 音楽プロデューサー – 金谷雄文
  • プロデューサー – 石上丈太郎、岩崎大介、下里悟、礒谷徳知、有水宗治郎、柏原雄太、梶浦正憲、木村香織
  • アニメーションプロデューサー – 櫻井崇、田原寿幸
  • アニメーション制作 – NAZ × マギア・ドラグリエ[23][5]
  • 製作著作 – いもいも製作委員会[4][5]

主題歌

「Secret Story」[27](第1話 – 第9話)
ピュアリーモンスターによるオープニングテーマ。作詞は昆真由美。作曲・編曲はno_my。
「起・承・転・結・序・破・急」[28](第2話 – 第10話)
純情のアフィリアによるエンディングテーマ。作詞は桃井はるこ、作曲は野村勇輔、編曲は悠木真一。

各話リスト

話数 サブタイトル[29] 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
第1話 俺と妹がラノベ作家になった理由 百瀬祐一郎 小川優樹 栗山美秀
  • 大野勉
  • 竹内昭
  • 山内尚樹
  • 島崎望
  • 沼田広
  • 陸田聡志
  • 中村真悟
  • 西島圭祐
第2話 俺の妹はどこまで高みを目指すんだ 吉田英俊 広嶋秀樹
  • 大野勉
  • 沼田広
  • 宮暁秀
第3話 俺と妹は二人で一人のラノベ作家だ こでらかつゆき
  • 大野勉
  • 山内尚樹
  • 櫻井拓郎
  • 宮暁秀
第4話 俺はただ、妹に追いつきたかっただけなんだ 西森章 浅見松雄
第5話 俺は妹が世界で一番大好きだ 小川優樹 嵯峨敏
  • 高橋宏郁
  • 坂田悠
  • 森谷春樹
  • 迎千葉瑠
  • 谷口繁則
  • 渡邉一平太
  • 今泉竜太
第6話 俺と妹の白桜女学院文化祭 久慈マサムネ 西野武志 上原秀明
  • 中村真悟
  • 陸田聡志
  • 近藤いずみ
第7話 俺と妹の絶対に負けられない同人誌対決 ウスイジン
  • ウスイジン
  • 中村イチロー
  • 橋次郎
  • 相浦和也
  • 岡旭
  • 小川優樹
  • 古川博之
第8話 俺に新しく妹ができた件について 百瀬祐一郎 こでらかつゆき oyunam
第9話 俺と妹たちの遊園地特訓 吉田英俊
  • 嵯峨敏
  • 浅見松雄
  • 黒杉先太郎
  • ウスイジン
  • 西島圭祐
  • 相浦和也
  • 小川優樹
  • 古川博之
  • 大野勉
  • 陸田聡志
  • 中村真悟
  • 山本道隆
  • 森谷春樹
  • 沼口耕平
  • 渡邉一平太
  • 今泉竜太
  • 李秀英
  • 王秀蘭
  • 李敏
第10話 俺は妹に萌えていい 栗山美秀
  • 沈霏
  • 葉礼国
  • 林夢贇
  • 周潔
  • 銭志宏
  • 尹思瑶

放送局

BD / DVD

発売日[32] 収録話 規格品番
BD DVD
1 2019年2月27日 第1話 – 第2話 KAXA-7671 KABA-10641
2 2019年3月27日 第3話 – 第4話 KAXA-7672 KABA-10642
3 2019年4月24日 第5話 – 第6話 KAXA-7673 KABA-10643
4 2019年5月29日 第7話 – 第8話 KAXA-7674 KABA-10644
5 2019年6月26日 第9話 – 第10話 KAXA-7675 KABA-10645

映像特典

DVD&Blu-ray第1巻&第2巻に収録の短編アニメ。

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
1 「俺と妹と仮想空間と」その1 百瀬祐一郎 所克俊 所克俊 大野勉、齊藤香織
森悦史、石動仁
2 「俺と妹と仮想空間と」その2 西島圭祐 田村健人、中村真梧
陸田聡志

Webラジオ

永見涼花役の近藤玲奈によるWebラジオ『TVアニメ『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』お兄ちゃんが好きすぎて困ってしまう妹のラジオです。』が、2018年10月16日から12月25日まで音泉にて毎週火曜に配信された[33]

ゲスト
  • 第2回(公開録音):畠中祐(永見祐 役)
  • 第3回:赤﨑千夏(アヘ顔Wピース先生 役)
  • 第4回:荒浪和沙(水無月桜 役)
  • 第5回:小倉唯(氷室舞 役)
  • 第6回:中島優衣(神坂秋乃 役)、永恵由彩(神坂春菜 役)
  • 第7回:喜多村英梨(篠崎麗華 役)
  • 第8回:畠中祐
  • 第9回:荒浪和沙
  • 第10回:小倉唯
  • 第11回:畠中祐

脚注

注釈

  1. ^ ただし泣かせた理由は覚えていない。
  2. ^ 妹に対する願望の反映であるため。
  3. ^ 舞が家に上がり込んで「祐に女にされる」というのに対し、兄を通報しようとしたり、「我が家に性犯罪者を出したくありません」など。
  4. ^ 「どうせ入選しないだろう」という軽い気持ちで送っただけだった。
  5. ^ お金が絡む以上はアルバイトと同じようなため。
  6. ^ ただし6巻では「両親揃って涼花に甘い」とされている。
  7. ^ ただし実際の勝負の相手は涼花である。
  8. ^ 主に挿絵などでアピールされている。
  9. ^ ただし他の服を着ないわけではない。
  10. ^ この外伝は、2018年10月に7.5巻として販売された。なお、7.5巻のあとがきで作者は寧々は外伝にしか登場しないキャラクターで、本編には登場しないと描写している。
  11. ^ 裕が書くキャラが可愛かったというのが理由だが、投稿作が少なかったのも目に付いた理由だったりする。
  12. ^ 第1話のみ全年齢版が放送され、R15+指定版は後日(10月20日土曜 4:00 – 4:30)に放送

出典

外部リンク