ポイント・ネモ – Wikipedia

ポイント・ネモを中心に半径がイースター島までの距離と同じ円を引いた図

ポイント・ネモ(英語: Point Nemo)とは、世界の大洋で最も陸地から離れた地点で、到達不能極の一つ。ニュージーランドとチリのほぼ中間地点、

南緯48度52分5秒 西経123度23分6秒 / 南緯48.86806度 西経123.38500度 / -48.86806; -123.38500の南太平洋上。

ポイント・ネモに近い陸地は、ピトケアン諸島、イースター諸島、南極のメイハー島、それぞれ約2,700km離れている。名前は、ジュール・ヴェルヌの小説『海底二万里』に登場するネモ船長から取られた[1]

人工衛星の墓場[編集]

ポイント・ネモは南太平洋環流 (en:South Pacific Gyre) の内側に位置している。この環流は、栄養分が豊富な海水がその内部に入ることを妨げている。さらに、大陸から遠く離れているので有機物はあまり風で運ばれてこない。したがって、生物が比較的棲んでいない場所である[2]

居住区域から隔絶された場所であること、生物多様性も特筆すべきほど複雑ではないため、制御が可能な人工衛星を落下させる目標として地球上で最適な地点であり、古くから「人工衛星の墓場(スペースクラフト・セメタリー)」として注目され、実際に落下が実行されてきた。

人工衛星が地球に落下する際には、大気圏再突入時に大気の断熱圧縮により融解するが、2018年までに250-300機に及ぶ人工衛星の破片が水没していると見られ、同年4月には中華人民共和国の宇宙ステーション「天宮1号」も加わった[3]。過去最大の落下物は、2001年に落下したロシア(ソビエト連邦)の宇宙ステーション「ミール」であり、大気圏突入前の重量は約120トン。2030年に運用終了、2031年1月には落下を予定されている[4]国際宇宙ステーションは約420トンあり、落下プログラムが順調に行われれば、ミールの記録を上回ることになる。

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  1. ^ 陸から最も離れた海、宇宙施設の墓場「ポイント・ネモ」”. AFP (2018年4月2日). 2018年4月7日閲覧。
  2. ^ Davies, Ella. “The Place Furthest from Land is Known as Point Nemo”. bbc.com. BBC. 2019年4月3日閲覧。
  3. ^ 天宮1号 落下したのは人類が到達不能な宇宙船の墓場「ポイント・ネモ」だった!”. ハザードラボ (2018年4月3日). 2018年4月7日閲覧。
  4. ^ NASA Provides Updated International Space Station Transition Plan”. NASA (2022年2月2日). 2022年2月2日閲覧。

関連項目[編集]

  • スペースクラフト・セメタリー
  • 地理極
  • 到達不能極
  • 墓場軌道 – 不要となった人工衛星を落下させずに廃棄する際の移動先。

座標: 南緯48度49分48秒 西経123度19分48秒 / 南緯48.83000度 西経123.33000度 / -48.83000; -123.33000