バビロン・ベルリン – Wikipedia

バビロン・ベルリン』(原題:Babylon Berlin)は、ドイツの歴史スリラーテレビドラマである。2017年にシーズン1と2各全8話が、2020年にシーズン3全12話がそれぞれ放送された[1]。2021年にはシーズン4が予定されている。

1929年のワイマール共和国を舞台として、ドイツ史上最大の規模で制作された歴史スリラー連続テレビドラマである。原作はフォルカー・クッチャードイツ語版による警察小説「ベルリン警視庁殺人課ゲレオン・ラート警部」シリーズで、日本でも創元推理文庫から『濡れた魚』『死者の声なき声』『ゴールドスティン』が刊行されている。

2019年の第32回ヨーロッパ映画賞でヨーロッパ・フィクションシリーズ賞を受賞した[2]

日本ではBS12で、2019年にシーズン1とシーズン2をまとめた全16話が放送された[3]。2020年12月からシーズン3が放送された[4]

ストーリー[編集]

シーズン1[編集]

1929年、社会民主主義のワイマール共和国は左翼と右翼の両方から攻撃されている。繁栄の陰で貧富の差は広がる。第一次世界大戦の復員軍人で、PTSDに苦しむモルヒネ中毒のゲレオン・ラートはケルン市長のコンラート・アデナウアーのスキャンダルとなるフィルムを探す密命を受けて、ケルン警察から自由と退廃の街ベルリンに転任する。日雇いの警察記録係で、夜は家族の生活のためにナイトクラブ「モカ・エフティ」で娼婦をするシャルロッテは、刑事になる夢を持ち捜査に積極的にかかわる。

スターリンに逆らい、イスタンブールに亡命したトロツキーを支持するトロツキスト「赤の砦」はベルリンに集まる。ソ連からトロツキーのもとに貨車で運ばれようとした金塊をめぐり、トロツキストたちとソ連が暗闘する。トロツキストに潜入していたソ連のスパイである、男装の歌手スウェトラーナは仲間を殺させるが、カルダコフが一人だけ逃げる。カルダコフの下宿に引っ越していたゲレオンは事件に巻き込まれ、シャルロッテとともに捜査する。カルダコフはモカ・エフティの所有者の「アルメニア人」エドガー・カサビアンに助けられる。

共産党員のデモが警察に弾圧されて血のメーデー事件が起き、現場にいたゲレオンは共産党員に責任を転嫁するでっち上げの報告書を書かされる。

実業家アルフレッド・ニッセンら右翼は非合法な軍事組織「黒い国防軍」を密かに結成して左翼による陰謀論を唱え、ワイマール政府転覆を謀る。その一員であるヴォルター上級警部はシャルロッテに命じて部下のゲレオンをスパイさせ、ゲレオンを組織に誘う。ベルリン警察を指揮するユダヤ人のベンダ行政長官は、ソ連と結びつき武器を輸入する「黒い国防軍」を危険視して貨車を捜査する。強毒のホスゲンが搭載されていたことを知り、ニッセンを逮捕する。

ゲレオンとヴォルターはエドガーの部屋からフィルムを取り戻す。政治家たちのスキャンダルが写っていることを確認したのちに焼却する。

シーズン2[編集]

1929年、ソ連に殺された「赤の砦」のトロツキストの遺体が発見される。条約に反して再軍備を求める「黒い国防軍」を危険視するべンダはゲレオンを殺人課に転属させ、ソ連大使館員を逮捕させる。釈放と引き換えに、ソ連外交官のトロシンから「黒い国防軍」が密かにソ連国内に空軍基地を設け、訓練している証拠を受け取る。ベンダの命令でゲレオンはソ連に飛び、基地の写真を撮る。ゼーガース少将ら多数を逮捕するが、政府や警察に浸透した「黒い国防軍」は釈放を迫り、フランスとドイツの外相の暗殺から始まる、帝国を復活させるクーデターを計画する。ゲレオンが暗殺を阻止するも、大統領が介入して「黒い国防軍」捜査は終結させられる。

「黒い国防軍」を支えるニッセン、ヴェーント大佐、ヴォルターはスウェトラーナと協力し、ホスゲンとともに貨車に詰まれていた、スウェトラーナの実家ソロキン家の金塊を入手しようとする。これを知ったベンダの内偵のシュテファンは殺され、ゲレオンはヴォルターを疑う。シャルロッテはゲレオンの依頼でシュテファンの手帳を解読し、貨車に積まれた金塊の強奪計画とクーデター計画のことを知る。金塊を狙うエドガーはシャルロッテを拉致して強奪計画を聞き出す。

ゲレオンはたびたびPTSDの発作に襲われる。行方不明の兄アンノ―の戦死が告知され、その妻でゲレオンと不倫関係にあるヘルガと息子のモーリツがベルリンに来る。

シャルロッテの紹介で友人のグレータがベンダの家の女中になる。グレータは恋人の共産党員フリッツがベンダの命令で殺されたと騙され、爆弾を仕掛けてベンダを殺す。実はフリッツはナチス党員で生存している。

ヴォルターら「黒い国防軍」が貨車を止める。待ち伏せしていたエドガーの手下が皆殺しにするも、ゲレオンの部下に制圧される。金塊は偽物とわかり、ヴォルターは死ぬ。

ヴェーントが行政長官となり、非公式にゲレオンに内部改正課を率いさせる。シャルロッテは殺人課刑事助手となる。ゲレオンは貨車そのものに黄金が隠されていたと推測する。アンノ―は顔に傷を負いながらも生存しており、シュミット医師を名乗っている。

シーズン3[編集]

1929年、ヴェーント行政長官は孤児院にいた子を見つけてグレータを脅迫し、ナチスとのかかわりを否定し、ベンダ殺しを共産党員の教唆によるものと偽証させて死刑判決が下りる。共産党員を装っていたナチス党員の手下を口封じに殺す。ルフトハンザと「黒い国防軍」の関係を暴いたカテルバッハを反逆罪に問う。シャルロッテとゲレオンは友人たちを救おうと苦心し、弁護士リッテンに弁護を依頼する。リッテンの助手で、ゼーガース大将の共産党員の娘マリー=ルイーゼは、国防軍の陰謀の証拠を密かにゲレオンに渡す。グレータは処刑される。ゲレオンはベンダ殺しの陰謀を認めるヴェーントの告白を密かに録音する。

ニッセンは株式市場の過熱に気づき、実権を持つ母に背いて大規模な空売りを仕掛ける。ヘルガはゲレオンの子を中絶し、ニッセンのもとに走る。疎外感に苦しむモーリツはヒトラーユーゲントに加わる。世界大恐慌が始まり、社会は混乱しニッセンは巨利を得る。

シャルロッテと妹トニは姉のイルゼの目の手術費用を稼ぐため、ともにいかがわしい仕事に手を染める。

モカ・エフティを爆発で失ったエドガーは映画に巨額の投資を行うも、主演女優が相次いで殺されて苦境に陥る。出所したばかりの相棒のヴァイントラウブが罪を着せられる。事件の犯人は、エドガーを恨むハンガリー人の兄弟と、警察内での扱いに不満を鬱積させた分析官ウルリヒであることが分かる。ゲレオンは愛情を抱くようになったシャルロッテを、ウルリヒから救い事件を解決する。映画は完成する。

キャスト[編集]

レギュラー[編集]

  • ゲレオン・ラート: フォルカー・ブルッフ – ケルン警察から転任してきたベルリン警察風紀課警部。のちに殺人課警部。第一次世界大戦によるPTSDに苦しむ。
  • シャルロッテ・リッター: リヴ・リサ・フリース – 日雇いのベルリン警察記録係で、貧しい家を支えるために夜は売春婦をする。のちに殺人課の刑事助手になる。

準レギュラー[編集]

警察[編集]

  • カール・ツェルギーベル: トーマス・ティーメ – ベルリンの警視総監。(S1-S3)
  • エルンスト・ゲナートドイツ語版(仏陀): ウド・ザメルドイツ語版 – ベルリン警察殺人課課長で警視。(S2ではゲスト、S3で準レギュラー)
  • ヴィルヘルム・ベーム: Godehard Giese – ベルリン警察殺人課上級警部。
  • シュテファン・イェニケ: アントン・フォン・ルケドイツ語版 – ベルリン警察風紀課刑事。ヴォルターの助手。(S1で準レギュラー、S2ではゲスト)
  • グレーフ: Christian Friedel – ベルリン警察のカメラマン。(S1-S3)
  • レオポルト・ウルリヒ: Luc Feit – ベルリン警察記録課の分析官。(S2ではゲスト、S3で準レギュラー)
  • フランツ・クライェフスキー: Henning Peker – 麻薬中毒者で警察の情報提供者。(S1)

その他[編集]

スタッフ[編集]

エピソード[編集]

シーズン1 (2017)[編集]

シーズン2 (2017)[編集]

シーズン3 (2019)[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]