オンシジューム – Wikipedia
オンシジューム(Oncidium)あるいはオンシジウムは中南米を中心に分布する、約400種を含むラン科の大属。樹上で着生生活を営む。洋ランとしても広く親しまれる。
樹上につく着生植物だが、岩の上につくものや地上性の種もある。バルブ(偽球茎)は卵形から円筒形、往々にして扁平になるが、持たない例もある。葉はバルブの先端から2枚程度つき、普通は革質だが、剣状や円筒形などになる例もある。またバルブの基部の節からも葉が出る。
花茎はバルブの基部から出て、長い花茎を上から斜め上に伸ばし、複数花、往々に多数の花を総状、円錐状につける。花は唇弁が大きく広がり、これが花の大部分を占める。萼と側花弁はほぼ同型で、唇弁より幅狭くて小さい。
学名の Oncidium はギリシア語の onkos(とげ、隆起)に指小辞をつけたもので、唇弁の基部に隆起のあるさまをいったものといわれる。属内の花色は黄色がもっとも多い。
洋ランとして栽培され、また切り花などとしても流通する。本属は、かつては400種を擁する大きな属で、鑑賞価値が高いものが数多くあった。それらを便宜的に薄葉系、厚葉系などに分けるのが普通であった。そのなかでもっとも普及していたものは黄色く広がった唇弁が目立つ花を多数つけるもので[2]、原種としてはOnc. flexuosum (Gomesa flexuosa のシノニム)[3]や Onc. varicosum (Gomesa varicosa のシノニム)[4]があげられる。それらを中心に作出された交配品が数多く、現在この類の代表とされるアロハイワナガもこの系列にある[5]。しかし、最近では小型の原種、ケイロフォルム (Onc. cheirophorum) や、同じく小型でピンク花をつけるオルニソリンクム (Onc. ornithorhynchum)、およびそれらの交配種もよく市場に流通する。またオブリザタム (Onc. obryzatum )は小さな花が多数つくことで評価が高い。
近年、分類学的な見直しによって、この属から分離されて他の属に移動したり、新属として独立する種が出てきている。上記の黄色い唇弁の種も、上記のように別属とされるようになっている。しかし現在もそれらはオンシジウムの名で流通しており、これは当分続くものと思われる。
かつてはオンシジウムの典型とされた
属間交配[編集]
近縁属との間での属間交配も行われている。そのような人工属には以下のようなものがある[6]。
- Alicera アリセラ:ブラッシア×ミルトニア×オンシジウム
- Brassidium ブラシディウム:ブラッシア×オンシジウム
- Colmanara コルマナラ:ミルトニア×オドントグロッサム×オンシジウム
- Howeara ホウエアラ:Leochilus ×オンシジウム×Rodorigezia
- Ionocidium イオノシジウム:イオノプシス×オンシジウム
- Maclellanara マクレランアラ:ブラッシア×オドントグロッサム×オンシジウム
- Miltonidium ミルトニジウム:ミルトニア×オンシジウム
- Odontocidium オドントシジウム:オドントグロッサム×オンシジウム
- Odyncidium オディンシジウム:オドントグロッサム×オンシジウム×Rhynchostele
- Wilsonara ウィルソナラ:Cochlioda×オドントグロッサム×オンシジウム
なお、かつてはパピリオなど著名なものが他にもあったが、分類体系の変更で別属とされている。
The Plant Listより
- ^ a b c Oncidium Sw. Tropicos
- ^ 岡田(2011),p.120
- ^ Onc. flexuosum
- ^ Onc. varicosum
- ^ 大場(2010)p.114
- ^ 大場監修(2010),p.16-18
参考文献[編集]
- 土橋豊、『洋ラン図鑑』、(1993)、光村推古書院
- 大場良一監修、『失敗しない洋ラン入門』、(2010)、主婦の友社(主婦の友生活シリーズ)
- 岡田弘、『咲かせ方がよくわかる はじめての洋ランの育て方』、(2011),主婦の友社
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