マイ・ネーム・イズ・バディ – Wikipedia

マイ・ネーム・イズ・バディ』(My Name Is Buddy)は、アメリカ合衆国のギタリスト、ライ・クーダーが2007年に発表したスタジオ・アルバム。

前作『チャヴェス・ラヴィーン』(2005年)、次作『アイ・フラットヘッド』(2008年)と共に、クーダーが「カリフォルニア三部作」として発表した作品の一つである[13]

本作は「バディ」という名前のネコを主人公とした物語で、クーダーは、レコード店のマスコットであった「スーツケースの中で眠っていたネコ」の話を聞いて、本作のストーリーの着想を得た[14]。なお、「バディ」は本作のジャケットにも描かれており、本作の初回盤CDには、ストーリーおよび挿絵の記されたブックレットが付属している[14]。また、本作にはバディの友達であるネズミの「レフティ・ザ・マウス」、クー・クラックス・クランにより家を追われた盲目のヒキガエル「トム・トード牧師」といったキャラクターも登場する[15]。収録曲「レッド・キャット・ティル・アイ・ダイ〜死ぬまで赤い猫」は、参加ミュージシャンの名前がクレジットに明記されておらず、バディ(ボーカル、ギター)、レフティ・ザ・マウス(フィドル)、トム・トード牧師(タンブリン)の3匹でレコーディングされたという設定になっている[1]

「J. エドガー」は、ジョン・エドガー・フーヴァーをブタに戯画化した曲である[16]。「グリーン・ドッグ」には、ジャッキー・テラソンやステフォン・ハリス英語版といったジャズ・ミュージシャンがゲスト参加した[1]

母国アメリカのBillboard 200では168位に達した[12]。ノルウェーのアルバム・チャートでは4週トップ40入りし、最高10位を記録するヒットとなり、クーダー関連のアルバムとしては、リトル・ヴィレッジ名義のアルバム『リトル・ヴィレッジ』(1992年)以来15年ぶりに同国でトップ10入りを果たした[2]。全英アルバムチャートでは3週トップ100入りし、最高41位を記録した[6]

本作は第50回グラミー賞において最優秀コンテンポラリー・フォーク/アメリカーナ賞にノミネートされた[17]

Thom Jurekはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「全17曲ともそれぞれ強力で注目に値し、作品の全体像を完璧たらしめているので、一部の曲を選り抜くのは、ほとんど無意味な行為である」と評している[16]。また、ティム・アダムスは『オブザーバー』紙のレビューで満点の5点を付け「3匹の突飛なキャラクターと連れ立って、ダストボウル時代のブルース、ゴスペル、フォーク、ブルーグラスといったアメリカ固有の音楽を巡る旅路」と評している[15]

特記なき楽曲はライ・クーダー作。

  1. スーツケース・イン・マイ・ハンド〜スーツケースを手に – Suitcase in My Hand – 2:54
  2. キャット・アンド・マウス〜猫とネズミ – Cat and Mouse – 5:03
  3. ストライキ! – Strike! – 5:07
  4. J. エドガー – J. Edgar – 2:37
  5. フットプリンツ・イン・ザ・スノー〜雪の中の足跡 – Footprints in the Snow (Bill Monroe, Ry Cooder) – 3:07
  6. サンダウン・タウン(トム・トード牧師) – Sundown Town (The Reverend Tom Toad) (R. Cooder, Joachim Cooder) – 2:57
  7. グリーン・ドッグ – Green Dog – 7:33
  8. ザ・ダイイング・トラック・ドライヴァー〜死にそうなトラック運転手 – The Dying Truck Driver – 4:56
  9. クリスマス・イン・サウスゲート – Christmas in Southgate – 3:27
  10. ハンク・ウィリアムス – Hank Williams – 4:08
  11. レッド・キャット・ティル・アイ・ダイ〜死ぬまで赤い猫 – Red Cat Till I Die – 3:08
  12. スリー・コード・アンド・ザ・トゥルース〜3つのコードと真実 – Three Chords and the Truth (R. Cooder, J. Cooder) – 5:02
  13. マイ・ネーム・イズ・バディ – My Name Is Buddy – 3:12
  14. ワン・キャット、ワン・ヴォート、ワン・ビアー〜猫、投票、ビール – One Cat, One Vote, One Beer (R. Cooder, J. Cooder, Jared Smith) – 4:15
  15. カードボード・アヴェニュー〜ダンボール通り – Cardboard Avenue – 4:34
  16. ファーム・ガール – Farm Girl – 3:55
  17. ゼアーズ・ア・ブライト・サイド・サムホエア〜どこかに素晴らしい場所が – There’s a Bright Side Somewhere (Traditional / new lyrics by R. Cooder) – 4:48

参加ミュージシャン[編集]

  • ライ・クーダー – ボーカル、ギター、ベース、バホ・セクスト、マンドリン、バンジョー、キーボード
  • ヴァン・ダイク・パークス – ピアノ(on #2, #5, #9, #17)
  • ジャッキー・テラソン – ピアノ(on #7)
  • レネ・カマチョ – ベース(on #5, #9)
  • マイク・エリゾンド – ベース(on #10, #15, #16, #17)
  • ヨアキム・クーダー英語版 – ドラムス(on #1, #3, #5, #7, #9, #10, #12, #13)、パーカッション(on #14, #15)、キーボード(on #14)
  • ジム・ケルトナー – ドラムス(on #6, #12, #15, #16, #17)
  • ステフォン・ハリス英語版 – ヴィブラフォン(on #7)、マリンバ(on #7)
  • ローランド・ホワイト – ボーカル(on #1, #5, #8)、マンドリン(on #5, #8, #9, #15, #16)
  • パディ・モローニ – ティン・ホイッスル(on #1, #17)、イリアン・パイプス(on #1)
  • マイク・シーガー – バンジョー(on #1, #4)、フィドル(on #1, #3, #5, #9, #15, #16, #17)、ハーモニカ(on #3, #8)、ジューズ・ハープ(on #3)
  • ピート・シーガー – バンジョー(on #4)
  • フラコ・ヒメネス – アコーディオン(on #5, #9, #17)
  • ジョン・ハッセル – トランペット(on #14)
  • テリー・エヴァンス – ボーカル(on #6)
  • ボビー・キング – ボーカル(on #6)
  • Juliette Commagere – ボーカル(on #7, #16)