スタンダード・オイル – Wikipedia
スタンダード・オイル(英: Standard Oil Company)は、アメリカ合衆国の石油会社である。ジョン・ロックフェラーとそのパートナーによって1863年に設立されたオハイオ州の組合(パートナーシップ)を前身として、1870年に設立された。 1911年、アメリカ連邦最高裁の命令によって34の新会社に分割された。
ロックフェラーは事業の拡大を行い、ヘンリー・M・フラグラーが所有していた石油精製所を含む5つの精製所を所有する会社(パートナーシップ)、ロックフェラー・アンドリュース・アンド・フラグラー社を経営した。会社は1868年までに世界最大の製油所を所有するまでになった。
1870年1月10日、ロックフェラーはオハイオ州法に基づく株式会社(コーポレーション)として、スタンダード・オイル・オブ・オハイオ(オハイオ・スタンダード)を創設した。彼は買収によって競争を勝ち抜き、ペンシルバニア鉄道と共にサウス・インプルーブメント社(South Improvement Company)による製油所の統合戦略を進めたが、この行為はのちにアイダ・ターベルらに批判される結果となった。
1874年にチャールズ・プラット・アンド・カンパニーを買収、創立者のチャールズ・プラットとヘンリー・H・ロジャーズは買収と同時にオハイオ・スタンダードに加わった。
1878年までに、スタンダード・オイルはアメリカ合衆国内における石油精製能力の90 %を保持していたが、州法によって会社の規模を制限する各州の動きに対応して、1882年、信託(ビジネス・トラスト)を企業形態とするスタンダード・オイル・トラストが、傘下の企業を支配する体制に再編成された。同社における重要人物は、ヘンリー・H・ロジャーズ、ウィリアム・ロックフェラー、そしてジョン・ロックフェラーの3人であった。
この独占による弊害を防ぐため、1890年に連邦議会がシャーマン法を制定、これに基づき1892年にオハイオ州最高裁からトラストの破棄命令が下された。しかし、ジョン・ロックフェラーは1897年、規制の緩いニュージャージー州法に基づく株式会社「スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー」(ジャージー・スタンダード)を親会社とする持株会社方式によって再編し、独占を維持した。それでも反トラストの流れは防げず、1911年に連邦最高裁から解体命令が出され、スタンダード・オイルは34の新会社に分割された。なお、シャーマン法はアメリカで最初に制定された独占禁止法であり、クレイトン法、連邦取引委員会法とともに反トラスト法の中心をなす法律である。
また、1900年に開発されたばかりのドラム缶を、1902年から量産している。
スタンダード・オイルの後継会社:
- スタンダード・オイル・オブ・オハイオ(ソハイオ)- 現在BPの一部。
- スタンダード・オイル・オブ・インディアナ(スタノリンド、後にアモコに改名)- 現在BPの一部。
- スタンダード・オイル・オブ・ニューヨーク(ソコニー、その後ヴァキューム・オイルと合併)- モービルに改名後、現在はエクソンモービル。
- スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー(エッソ、S.O.)- エクソンに改名後、現在はエクソンモービル。
- スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア(ソーカル)- シェブロンに改名後、現在シェブロンの一部。
- アトランティック・オイル – リッチフィールド石油と合併しアトランティック・リッチフィールド(アーコ en:ARCO)を形成、現在BPの一部。アトランティック部門は離脱しスノコに買収された。
- スタンダード・オイル・オブ・ケンタッキー(ケイソ)- ソーカルによって買収され、現在シェブロンの一部。
- コンチネンタル・オイル・カンパニー(コノコ) – フィリップス石油と合併してコノコフィリップスを形成、下流部門は離脱して現在フィリップス66の一部。
他のスタンダード・オイル:
- スタンダード・オイル・オブ・アイオワ(1911年以前) – スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニアになる
- スタンダード・オイル・オブ・ミネソタ(1911年以前) – スタンダード・オイル・オブ・インディアナによって買収
- スタンダード・オイル・オブ・イリノイ(1911年以前) – スタンダード・オイル・オブ・インディアナによって買収
- スタンダード・オイル・オブ・カンザス(精製のみ) – スタンダード・オイル・オブ・インディアナによって買収
- スタンダード・オイル・オブ・ミズーリ(1911年以前) – 解散
- スタンダード・オイル・オブ・ネブラスカ – スタンダード・オイル・オブ・インディアナによって買収
- スタンダード・オイル・オブ・ルイジアナ – スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー(エッソ、現:ENEOS)が所有
- スタンダード・オイル・オブ・ブラジル – スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー(エッソ、現:ENEOS)が所有
- スタンダード・オイル・オブ・コロラド – 1930年代にスタンダード・オイルの商標を用いた詐欺で使用された実態のない会社
- スタンダード・オイル・オブ・コネチカット – ロックフェラーの会社とは関係の無い燃料油販売業者
1911年の解散で売却された他の企業:
- アングロアメリカン・オイル社 – 1930年にジャージー・スタンダード社に買収され、現在のエッソUK。
- バックアイ・パイプ・ライン 株式会社ボルネスクライマー
- ボルネスクライマー株式会社 (化学製品)
- チェゼブラ・マニュファクチャリング(ユニリーバが買収)
- コロニアルオイル
- クレセント・パイプライン社
- カンバーランド・パイプライン社(買収先はアシュランド[3])
- ユーレカパイプライン株式会社
- ガレナシグナル石油株式会社
- インディアナパイプライン社
- ナショナル・トランジット社
- ニューヨーク・トランジット社
- ノーザンパイプライン社
- プレーリーオイル&ガス
- ソーラーリファイニング
- サザンパイプライン社
- サウス・ペン・オイル社 – 最終的にはペンゾイルとなり、現在はシェルの一部となっている。
- サウスウェストペンシルバニアパイプライン社
- スワン・アンド・フィンチ
- ユニオン・タンク・ラインズ
- ワシントン・オイル社
- ウォーターズピアース
日本支社の名称の推移[編集]
- スタンダード・オイル 横浜支社(1884年 – 1911年)
- 一説に、スタンダード・オイル・オブ・ニューヨークとバキュームオイルが、1893年に合弁で横浜支店を設置した(1931年に2社が合併)[4]。
- ソコニー(元スタンダード・オイル・オブ・ニューヨーク)日本支社(1911年 – 1931年)
- ソコニー・ヴァキューム 横浜支社(1931年 – 1933年)
- スタンヴァック 日本支社(1933年 – 1961年) – ソコニー・ヴァキュームと、ジャージー・スタンダード(元スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー)の極東担当の合弁会社
- エッソ・スタンダード石油(1961年 – 1982年)
- モービル石油(1961年 – 2002年)
- エクソンモービル有限会社(2002年 – 2012年)- エッソ石油がモービル石油他2社を吸収合併
- 2012年、東燃ゼネラル石油(エクソンモービルが22%株式保有)に吸収されると同時に、エクソンモービル有限会社がEMGマーケティング合同会社(2012年 – 2017年)と名称変更。
- 2017年、東燃ゼネラル石油がJXエネルギー(JXTGエネルギー)に吸収され、JXTGエネルギーの法人となった。
- 2020年にJXTGエネルギーが名称変更したため、ENEOSの法人となった。
- 支流
- この他、エクソンモービルの日本法人としては以下の名称のものがある。
- エクソンモービルカタリスト(1985年 – 2012年)
- エクソンモービル・ジャパン合同会社(2012年 – 不明) ‐ エクソンモービル・デラウェア・ホールディングス傘下。
- 2018年、エクソンモービルは、エクソンモービル・LNG・マーケットディベロプメント(2018年 – 現在)を設立(上記エクソンモービル・ジャパン合同会社と同住所)。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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