映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史 – Wikipedia

映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』(えいがドラえもん しんのびたのうちゅうかいたくし)は、2009年の日本のアニメ映画。藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』を原作とし、腰繁男が監督、真保裕一が脚本を務めた、映画「ドラえもん」シリーズ第29作目である。

第32回日本アカデミー賞では、アニメーション作品賞優秀賞放受賞した。

通算第29作でテレビアニメ第2作2期声優陣としては第4作目。1981年に公開された『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』のリメイクだがドラミや出木杉[注 1]、新キャラクターの登場といった設定変更により、クライマックスシーンを初め、原作や旧作にない展開が複数加えられている。テレビ朝日開局50周年、テレビアニメ30周年記念作品。

『新・のび太の宇宙開拓史超まんが外伝』が岡田康則によって執筆され、『月刊コロコロコミック』2009年3月号から2009年4月号まで連載された(この作品は未単行本化である)。

映画満足度ランキング(ぴあ出口調査隊調べ、3月9日付)第1位を獲得、観客動員ランキング(興行通信社調べ、3月7日・8日調査)初登場第2位という好評価を得ている。ただし同時期に公開された『ヤッターマン』の影響もあり、第2期の作品としては初めて興行収入が30億を下回り、第2期の映画作品では最も興行収入が低い。2009年第32回日本アカデミー賞では、『アニメーション作品賞』の『優秀賞』を受賞した[1]

本作ではアバンタイトルで、のび太が「ドラえも〜ん」と叫ぶシーンが『ドラえもん のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜』以降、2年ぶりに描かれた。

映画のエンドロールが終わった後には、『ドラえもん のび太の恐竜2006』から恒例となったおまけ映像があり、内容は海の中でドラえもんが2010年の映画公開の告知をし、その後ろを人魚のシルエットが通り過ぎるというものだった。他にも、次作は漫画原作40周年および映画30周年であることが紹介される。2009年7月17日のテレビアニメの放送で正式に映画『ドラえもん のび太の人魚大海戦』と発表された。

『ドラえもん のび太と緑の巨人伝』公開時に引き続き、テレビで「公開直前スペシャル」と称した1時間特番が、公開1日前の3月6日に放送された(内容は長編「天の川鉄道の夜」)。

あらすじ[編集]

宇宙 コーヤコーヤ星
ドラえもん達が住む地球とは遠く離れている開拓星。今作ではコーヤコーヤ星の時間の流れでいう7年前にロップル達が移民し、星を開拓していった設定になっている。重力が地球よりも小さいため、地球人はスーパーマンのような力を発揮できる。豊かな自然に恵まれているが、星そのものが反重力エネルギーを発生させるガルタイトという鉱石でできているため、ガルタイト鉱業に狙われている。
なお、旧作に登場したトカイトカイ星は今作では登場せず、コーヤコーヤ星に街がある設定に変更されている。

声の出演[編集]

ゲストキャラクター[編集]

ロップル
声 – 櫻井智
コーヤコーヤ星に住む開拓移民の少年。
チャミー
声 – 佐久間レイ
ロップルの親友の宇宙生物。外見が原作に忠実になった。
クレム
声 – アヤカ・ウィルソン
ロップルの妹。コーヤコーヤ星の英雄であるのび太を尊敬している。
ライザ
声 – 渡辺菜生子
ロップルとクレムの母。原作および旧作では無名だったが本作で名前が付けられた。
ライザの夫
声 – なし
ロップルとクレムの父。写真のみの登場。原作・旧作と同じく故人。
モリーナ
声 – 香里奈 / 堀江由衣(10歳)
ロップルの姉貴分のような幼なじみ。原作・旧作には登場しない本作のオリジナルキャラクター。
コーヤコーヤ星に彼女やロップルたちが移民したのが7年前なので現在は17歳ということになる。7年前に磁気嵐に巻き込まれた父であるバーンズ博士を誰も助けようとしなかったことから、他の移民とは確執があり、のび太たちのことも最初は快く思わなかった。しかし、ロップルのことは弟のように大事に思っている。
ロップル以外の移民との確執をギラーミンに利用され、超空間ゲートのことを教えてしまうも騙されたことを知った後はドラえもんたちに協力し、ギラーミンの攻撃からのび太を庇う姿も見せた。生きていたバーンズとの再会を果たした後、バーンズが生き延びた星の開拓のために活動する。
前々作に登場した美夜子同様、のび太たちより年上の女性ゲストキャラクターである。
バーンズ博士
声 – 堀内賢雄
モリーナの父。原作・旧作には登場しない本作のオリジナルキャラクター。
モリーナが10歳の頃、磁気嵐の中で移民船の修理を行い直すことに成功するが磁気嵐に巻き込まれて行方不明となる。
実は小惑星に不時着して生存していたことが明らかになり、モリーナと再会する。
船長 / 市長
声 – 佐藤正治
名称不明の移民団のリーダー。
移民船では船長を務め、現在は市長となっている。
バーンズ博士を犠牲にしてしまったことに心を痛めている。
カモラン
声 – 茶風林
ロップルの隣人(ただし、家はとても離れている)で移民団の団長だった。
ブブ
声 – 峰あつ子
カモランの息子。
旧作ではのび太やドラえもんに良い感情を持っていなかったが、本作では逆にのび太たちに憧れを抱いており、終盤ものび太たちの役に立つ為、積極的な行動を見せる。
ギラーミン
声 – 大塚明夫
ガルタイト鉱業本社から派遣された男。旧作と違い、主任であるバカラよりも立場は上で彼らに指示を下すことから職制は課長又は係長とみられる。
旧作よりも残忍で狡猾な性格になっており、モリーナに「自分はバーンズ博士の仲間でバーンズ博士の事故は仕組まれたものだった」と語ることでモリーナから超空間ゲートの場所を聞き出し、コア破壊装置の使用もギラーミンが決めた。
のび太との一騎討ちの撃ち合いに敗れながらもすぐに立ち上がり、のび太を狙うもモリーナが庇ったことで失敗。コア破壊装置を起動させた後、ダウトとウーノと共に離脱するも宇宙警察に逮捕される。牢屋に入れられた直後、自分たちを倒したのび太を尊重するような発言をした。
バカラ
声 – 大川透
ガルタイト鉱業主任。旧作におけるボーガントに当たるキャラクター。
ボーガントに比べると気弱でギラーミンに対しては終始腰を低くしていた。最後はギラーミンや部下共々逮捕される。
「のび太と星を流すクジラ」ではホシナガスクジラの子供をリッチリッチ星の人に売り飛ばそうとする。また、つぶらな瞳であることが判明した。
名前はバカラからきており、「パカラ」と誤記されることもある。
ダウト
声 – 徳井義実
ガルタイト鉱業の一員。二人組のうち痩せている方。旧作におけるメスに当たるキャラクター。
名前はダウトからきている。
ウーノ
声 – 福田充徳
ガルタイト鉱業の一員。二人組のうち太っている方。旧作におけるゴスに当たるキャラクター。
名前はウーノからきている。

スタッフ[編集]

オープニングテーマ「夢をかなえてドラえもん」[注 2]
作詞・作曲 – 黒須克彦 / 編曲 – 大久保薫 / コーラス – ひまわりキッズ
歌 – mao(コロムビアミュージックエンタテインメント)
エンディングテーマ「大切にするよ」
作曲・編曲 – 市川淳 / 作詞・歌 – 柴咲コウ(NAYUTAWAVE RECORDS/ユニバーサルミュージック)
挿入歌「キミが笑う世界」
作詞 – マイクスギヤマ / 作曲・編曲 – 沢田完 / 歌 – アヤカ・ウィルソン、ひばり児童合唱団

のび太と星を流すクジラ[編集]

2009年3月20日放送の『ドラえもん30周年スペシャル 〜決定!心に残るお話30〜』で「さようならドラえもん」とともに放映された映画の外伝エピソード。この話がきっかけでバカラはギラーミンを呼び寄せることを決意する。ゲストキャラクターは以下のとおり。

ゴス
声 – 渋谷茂
ガルタイト鉱業の一人。ホシナガスクジラの子供を捕らえ、リッチリッチ星の人に売り飛ばそうとした。旧作と違い、痩せている。
メス
声 – 後藤史彦
ガルタイト鉱業の一人。ゴスを「アニキ」と呼び慕っている。こちらでは、太っている。
ホシナガスクジラ(親)
声 – まるたまり
子供がいなくなったことから子供を探そうと暴れる。普段は東の湖に住んでいる。

キャンペーン[編集]

2008年に、小学館の児童誌連合企画としてコーヤコーヤ星の動物を考えて応募する「宇宙の仲間コンテスト」が行われた。DVDスペシャル版の映像特典「コーヤコーヤ星動物図鑑」で紹介されている[2]

注釈[編集]

  1. ^ ドラミは定期検診をサボっているドラえもんを未来に連れて行くために登場。その後、定期検診の結果(異常なし)を報告に来た際、ママの頼みでしずかと共にのび太のお目付け役を担うもしずかたちと共にドラえもんたちの救援に向かう。出木杉は野球関連のシーンで登場。
  2. ^ 前作『のび太と緑の巨人伝』から引き続き、今作も歌詞がアニメーションの一部として組み込まれている。

出典[編集]

  1. ^ 日本アカデミー賞公式サイト
  2. ^ Amazon.co.jp 映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史 スペシャル版DVD

関連項目[編集]

外部リンク[編集]