インスリン様成長因子2受容体 – Wikipedia

IGF2R
Protein IGF2R PDB 1e6f.png
PDBに登録されている構造
PDB オルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

1E6F, 1GP0, 1GP3, 1GQB, 1JPL, 1JWG, 1LF8, 2CNJ, 2V5N, 2V5O, 2V5P, 2L29, 2L2A, 2M68, 5IEI, 2M6T

識別子
記号 IGF2R, CD222, CIMPR, M6P-R, MPR1, MPRI, M6P/MPR 300, CI-M6PR, MPR300, insulin like growth factor 2 receptor
外部ID OMIM: 147280 MGI: 96435 HomoloGene: 676 GeneCards: IGF2R
オルソログ
ヒト マウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)
RefSeq
(タンパク質)
場所
(UCSC)
Chr 6: 159.97 – 160.11 Mb Chr 6: 12.9 – 12.99 Mb
PubMed検索 [3] [4]
ウィキデータ

インスリン様成長因子2受容体(インスリンようせいちょういんし2じゅようたい、英: insulin-like growth factor 2 receptor、略称: IGF-2受容体IGF2R)は、ヒトではIGF2R遺伝子にコードされるタンパク質である[5][6]カチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(cation-independent mannose-6-phosphate receptor、CI-MPR)とも呼ばれる。IGF2Rは多機能なタンパク質受容体で、細胞表面ではインスリン様成長因子2(IGF-2)を、トランスゴルジ網ではマンノース-6-リン酸(M6P)が付加されたタンパク質を結合する[6]

IGF2RはI型膜貫通タンパク質(1本の膜貫通ヘリックスを持ち、C末端が細胞質側に位置する)で、大きな細胞外/内腔ドメインと比較的小さな細胞質側のテールを有する[7]。細胞外ドメインは、フィブロネクチンのコラーゲン結合ドメインに相同な小さな領域と、約147アミノ酸からなる15個のリピート構造を含む。これらのリピート構造は、マンノース-6-リン酸受容体の157残基の細胞外ドメインと相同である。IGF-2への結合はリピート構造の1つによって行われ、マンノース-6-リン酸の結合は2つの異なるリピート構造によって行われる。IGF2Rは約300 kDaで、二量体として存在し機能するようである。

IGF2Rの機能は、IGF-2によるシグナル伝達を減弱させるために細胞表面からIGF-2を除去すること、そしてゴルジ体からリソソームへ酸性加水分解酵素を輸送することである。細胞表面ではIGF2Rは、IGF-2の結合の後、クラスリン被覆小胞の形成の際に集合しエンドサイトーシスされる。トランスゴルジ網の内腔では、IGF2RはM6Pでタグ付けされた積み荷タンパク質に結合する[7]。積み荷に結合したIGF2RはGGA英語版ファミリーのクラスリンアダプタータンパク質によって認識され、クラスリン被覆小胞の形成の際に集合する[8]。IGF2Rを含む小胞は細胞表面またはゴルジ体からいずれも初期エンドソームへ輸送され、エンドソームの比較的pHの低い環境で積み荷を解離する。IGF2Rはレトロマー複合体によってゴルジ体へ送り返され、再びGGAや小胞との相互作用を行う。積み荷タンパク質はその後、IGF2R非依存的に後期エンドソームを介してリソソームへ輸送される。

相互作用[編集]

IGF-2受容体は、ペリリピン3英語版(M6PRBP1)と相互作用することが示されている[9][10]

IGF-2受容体としての機能はカチオン非依存的マンノース-6-リン酸受容体としての機能から進化したもので、単孔類で初めて出現する。IGF-2結合部位はエクソン34のエクソン性スプライシングエンハンサー(ESE)クラスターの形成によって偶然に獲得されたようであり、このESEは先行するイントロンへの数キロ塩基にわたるリピートエレメントの挿入に対する応答として形成されたと考えられる。その後の獣亜綱の進化の過程で親和性の6倍の増加と遺伝子のインプリンティングが同時に生じており、これは親子間対立の一例であると考えられる(ただしヒトではIGF2R遺伝子のインプリンティングは消失している)[11]

関連文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]