エルファリア – Wikipedia

エルファリア』 (ELFARIA) は、1993年1月3日にハドソンから発売されたスーパーファミコン用のロールプレイングゲームである。製作には、レッドカンパニー(現レッド・エンタテインメント)も携わっている。

続編として、当作品の100年後の世界を描いた『エルファリアII ザ・クエスト・オブ・ザ・メルド』(1995年)が発売されている。

シナリオはPCエンジン CD-ROM2用ソフト『天外魔境 ZIRIA』を手掛けたあだちひろしが、楽曲は三枝成彰が担当している。

「モンスターを倒してレベルを上げる」「モンスターを倒してお金を稼ぎ、そのお金でアイテムを買う」などといった当時の一般的なRPGのシステムを完全に排除しており、またプレイヤーキャラが16人も登場するなど、当時としてはかなり奇抜な内容になっている。キャラクターデザインは松下進、音楽は三枝成彰が担当している。

ゲーム内容[編集]

システム[編集]

  • 魔物によって占領された町や砦へ向かい、魔物のリーダーを倒すことで解放していく。基本的にはこの流れを延々と繰り返すことになる。
  • “経験値”、”お金”の概念は完全に排除されている。”レベル”の概念はあるが、”経験値”の概念がないため通常の戦闘で上がることはなく、町を解放した時に自動で上昇するようになっている。通常の戦闘では、メルド(後述)するためのアイテムを集めることのみが目的となる。
  • パーティーは水・火・土・風の4つがあり、それぞれに4人のキャラが属している。その4人は必ず戦士2人、僧侶1人、魔法使い1人の構成になっており、パーティー間でキャラを入れ替えることは出来ない。また、敵キャラには大まかに分けてジンマ、テンマ、チマの3種類がいる。こちらのパーティーの属性との間には相性がある。(火のパーティーはテンマに強く、土のパーティーはチマに強い。)
  • 解放済みの町の隣にチマが占領している町がある場合、そのチマが解放済みの町へ侵攻してくることがある。町への途上、またはその町でチマを撃退することが出来れば問題はないが、もし防げなかった場合はその町は再占領されてしまう。その際、その町で上がった分のレベルは下がる。
  • 戦闘もまた特殊なものとなっており、プレイヤーの出来る行動は「使用する魔法を選ぶ」「戦闘から逃げる」だけで、あとは傍観しているだけで自動で戦闘が進んでいく。

メルドシステム[編集]

このゲームのシステムの最大の目玉として、メルドシステムが挙げられる。メルドシステムは他のRPGでいう装備のようなもので、1人につき最大5つのアイテムをメルド(装備)することで、それぞれのアイテムによるステータスアップの効果を得ることができる。一度メルドしたアイテムは外すことが出来ない(他のアイテムによる上書きは出来る)。一部にはあるキャラにしかメルドできないアイテムなどもあるが、基本的にはメルドするアイテムに制限はない。例えば、ソードを5個メルドしたり、メイルを5個メルドすることも可能である。また、特定のアイテムを同時に組み合わせてメルドすることで、特殊能力を得ることができる。特殊能力は、攻撃の際に特定の敵キャラを何らかのステータス異常に陥らせる効果がある。

ストーリー[編集]

用語[編集]

水の国カナーナ
主要国家のひとつ。現在はムーラニア帝国の支配下にある。
土の国フォレスチナ
主要国家のひとつ。現在はムーラニア帝国の支配下にある。
風の国エルファリア
主要国家のひとつ。ムーラニア帝国との戦いに敗れ、完全に占領されてしまった。そのかつての主城エルファスは、現在ムーラニア帝国の主城となってしまっている。
ムーラニア帝国
かつては小さな王国だったが、当時将軍だったシーラルがクーデターを起こし皇帝に君臨、巨大な軍事国家へと生まれ変わった。その後エルファリア・カナーナ・フォレスチナを次々と制圧し、大陸のほぼ全てを支配した。
この世界に満ちているという力。生命力や魔力の根源であり、「ラの泉」と呼ばれる施設でそれを集め利用している。
グリフ
竜に角が生えたような奇妙な姿をした生物。語尾に「グリグリ」とつける。非常に珍しい。

登場キャラクター[編集]

16人の勇者たち[編集]

水のパーティー[編集]

主人公パインとその身辺の人々を中心とする。炎系ジンマに強く、雷系ジンマに弱い。

パイン
主人公で、水のパーティーのリーダー。戦士系キャラ。水の国カナーナ・ロマの村で住む青年だが、突如現れたエルフの少女・エルルの導きによって旅に出ることを決意する。
ウッパラー
魔法使い系キャラ。ロマの村に住む学者。なぜか常に上半身裸で、何かある度によく踊る。敵を凍結させる攻撃魔法アイスと、敵の攻撃力を下げるダウンの魔法を使う。
ラゼル
僧侶系キャラ。ロマの村に住む少女。ウッパラーの孫娘。パインのことが好きらしく、エルルに対してヤキモチを妬くことがよくある。回復魔法ヒールと、味方の運を上げるラックの魔法を使う。
ジーン
戦士系キャラ。水の王国カナーナの兵士で、カナーナの城が占領された際パインに助けを求めにやってくる。

火のパーティー[編集]

フォレスチナに仕える騎士たちと巫女ファーミアのパーティー。風属性のテンマに強く、チマに弱い。

アルディス
火のパーティーのリーダー。戦士系キャラ。土の国フォレスチナに仕えていたが、魔物の侵攻によってカナーナまで逃げてきた。
ジェニス
戦士系キャラ。アルディスと共にフォレスチナに仕えていた。アルディスのことが好き。
ファーミア
僧侶系キャラ。かつては水の聖地の巫女だった。回復魔法ヒールと、味方の守りを上げるガードの魔法を使う。
アーバルス
魔法使い系キャラ。フォレスチナ王に仕えていた。攻撃魔法ファイアと、敵の素早さを下げるスロウの魔法を使う。

土のパーティー[編集]

ベリー村で用心棒とも盗賊行為ともつかない行動をしている。フォレスチナ人が多い。水属性であるチマに強く、テンマに弱い。

カーラモン
土のパーティーのリーダー。僧侶系キャラ。エルファリア出身だが、帝国による侵攻の際にフォレスチナへ逃げてきた。父親と恐ろしいくらいによく似ている。回復魔法ヒールと、味方の素早さを上げるクイックの魔法を使う。
イラナ
戦士系キャラ。カーラモンと共に盗賊行為を行っていた。カーラモンに好意を持たれている。
ゼク
戦士系キャラ。カーラモンと共に盗賊行為を行っていた。よく「むん!」と言って気合を入れている。
ガウド
魔法使い系キャラ。カーラモンと共に盗賊行為を行っていた。攻撃魔法サンダーと、敵の守りを下げるヌードの魔法を使う。

風のパーティー[編集]

サーカス団「風の唄」の人々。ムーラニアに対する抵抗軍でもある。雷系ジンマに強く、炎系ジンマに弱い。

シーナ
風のパーティーのリーダー。魔法使い系キャラ。ワイル・トリアスと共に抵抗軍の主力メンバーでもある。かつて勇者のせいで親が魔物に連れさられた経験があり、そのために初めはパイン達をあまり信用していなかったが、後にその真相を知ることになる。敵を麻痺させる攻撃魔法ウィンドと、敵の運を下げるカースの魔法を使う。
ワイル
戦士系キャラ。エルファリア唯一のアウトローヒーロー。元盗賊。
パピ
僧侶系キャラ。グリフと呼ばれる奇妙な姿をした生物の生き残りで、序盤はエルルと行動を共にしていた。実は終盤にかなり重要な役割を担うキャラでもある。回復魔法ヒールと、味方の攻撃力を上げるアタックの魔法を使う。ちなみに、続編であるエルファリアⅡにて、16人の勇者の中で唯一生きている状態で登場する。
トリアス
戦士系キャラ。フォレスチナ王に仕えていた剣士。アルディスとは戦友。

敵キャラクター[編集]

ヨピナス
肩書きは「天魔僧正」。水の国カナーナを占領している魔物達の総大将。かつて魔物を作りだす神官だったが、仕事をさぼっている所をダルカンに見つかり天魔にされた。
アグ・ウー
肩書きは「地魔導師」。土の国フォレスチナを占領している魔物達の総大将。自在に姿を変えることが出来、パインに化けて各地で勇者を騙っていた。
ダルカン
肩書きは「人魔宰相」。かつてはエルファリアの将軍だったがムーラニアに寝返り、結果エルファリア敗北の原因を作った。しかしシーラルに忠誠を誓ったわけではなく、自らが皇帝になり変わろうという野心を持っている。
シーラル
クーデターを起こしムーラニア帝国の皇帝となった男。
ゾーラ
ムーラニア帝国の宮廷魔術師。各地で魔物の配置などの任に当たっていたが、ダルカンやシーラルからは見下されており、馬鹿にされることが多い。かつてムーラニア王女だったリシアに恋心を抱いていたが、リシアはエルファリアの王ジョゼルと結婚してしまい、失恋した。今でもリシアを想い続け、各地にリシアの像を建てている。

その他のキャラクター[編集]

エルル
ロマの村で突如パインの前に現れたエルフの少女。16人の勇者を導き、世界を破滅から救おうとしている。
エルフの長老
エルフの長で、世界を救うためにエルルを遣わせた。
カナーナ王
水の国カナーナの国王。いつも寝てばかりいる。
ジョゼル
エルファリアの国王だった人物。ムーラニア帝国が侵攻して来た際に捕らわれ、その後決闘という名目で処刑された。
リシア
ムーラニアから嫁いだエルファリアの王妃。エルファリア滅亡後に行方不明になっている。
フェル
帝国に反抗する抵抗軍のリーダー。かつてジョゼル王に命を救われたことがあり、恩義を感じている。
トート博士
レイの村の学者。ウッパラーの師でもある。
メギトス博士
レイの村の学者。トート博士の友人。
マリオン
メギトス博士の弟子。
イゾルデ
リシアの侍女を務めていた女性。
エルザード
かつて5つ目の力を求め、世界を滅ぼしたエルフの王。

スタッフ[編集]

  • ストーリー:あだちひろし
  • ディレクション、プログラム:桶谷正剛
  • キャラクター・デザイン:松下進、J.TSUJI
  • ゲーム・デザイン:BOO.UEDA(上田和敏)、寺岡大介、宮城拳、刈部雅章
  • グラフィック・デザイン:J.TSUJI、中村純、M.KAKIZAKI、おかもとたけし
  • 音楽:三枝成彰、T’S MUSIC、滝本利昭
  • スペシャル・サンクス:小崎整、植山幹郎、Y.TAKAHASHI、S.II、H.HONMA、湯沢河童
  • プロデュース:青山英治、小林雅樹

ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では、9・7・8・7の合計31点(満40点)でシルバー殿堂入りを獲得[2]、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、22.00点(満30点)となっている[1]。この得点はスーパーファミコン全ソフトの中で77位(323本中、1993年時点)となっている[1]。また、同雑誌1993年8月情報号特別付録の「スーパーファミコンオールカタログ’93」では、「従来のRPGと異なり、街や村にひそむボスを倒すとレベルアップする、など今までにないシステムが満載」と紹介されている[1]

項目 キャラクタ 音楽 操作性 熱中度 お買得度 オリジナリティ 総合
得点 3.91 3.84 3.44 3.62 3.40 3.79 22.00

ゲーム誌『Theスーパーファミコン』の「ザ・テストプレイ」では総合評価74点(100点満点、各種ポイントの評価は以下の通り)[3]。レビュアーは見た目やプレイ感覚がネクロスの要塞のようなのが良く、特性を持ったパーティを使い分けるのが素晴らしく同様のシステムは今までもあったがきちんと活かされているのは皆無だったのではないかとし、メルドによってキャラの能力が変わるのが面白く、アイテム数が多くプレイするたびに違った成長方法が可能で嬉しい、だが独特のシステムは面白さに繋がってるか疑問があり経験値を稼いでレベルアップするシステムがなく通常戦闘ではレベルアップできずよくない意味でハマってしまったり自分の強さに自信が持てなくなる、オートバトルについて遊びやすく面白いとした者と新しいアイデアは多いが慣れないうちはやや戸惑うとした者がおり、デモでメッセージスキップできないところまでネクロスのようである、戦闘に時間がかかる、アイテム名がちょっと寂しいとした[3]

項目 グラフィックス サウンド ハマリ度 ゲームバランス お買い得度
スコア ★★★★ ★★★★ ★★★ ★★★ ★★★★

関連商品[編集]

外部リンク[編集]