日本経済新聞社東京本社ビル – Wikipedia

日本経済新聞社東京本社ビル(にほんけいざいしんぶんしゃとうきょうほんしゃビル)は、東京都千代田区大手町にある超高層ビルである。大手町連鎖型再開発(第1次)で整備された。

大手町には金融や情報などのサービス産業が集まるが、好立地ゆえに仮移転を伴う一般的な建て替えが難しく、築30年以上の建物が7割を占めていた[2]。そうした中、地区内にあった大手町合同庁舎の3棟に入居していた各庁がさいたま新都心に移転したことを機に、2000年頃から、国、東京都、地権者で約1.3haの跡地に関する勉強会が始まり、政府は2003年1月、都市再生プロジェクトとして、庁舎跡地を利用した大手町の連鎖型再開発を選定した[3]

連鎖型再開発とは土地区画整理事業と市街地再開発事業を組み合わせて行うもので、まず、都市再生機構が2005年3月、庁舎跡地を財務省から約1300億円で取得。11月に三菱地所などが出資する特定目的会社の大手町開発に3分の2を譲渡し、連鎖型再開発の種地を2者で共有しリスクの分散を図った[3]。 次に建て替えを希望する地権者を募り、第1次再開発には地権者として日本経済新聞社、全国農業協同組合中央会などのJAグループ、日本経済団体連合会が参加。名乗りを上げた地権者の土地を庁舎跡地に換地して、再開発はスタートした[3]。なお、第1次再開発の街区は、首都高速都心環状線の高架下の日本橋川沿いに歩行者専用道路をつくること、国際カンファレンスセンターの機能を設けること、都心農園や地域冷暖房を整備して環境に貢献するなどの提案が評価され、容積率を基準の1200%から1590%に引き上げられている[3]

日本経済新聞社東京本社ビル(日経ビル)は、JAビルと経団連会館との3棟一体で建設されたもので、2009年4月に竣工した。地下3階、地上31階建て。3棟は大型のガラス屋根で覆われた低層部のカンファレンスモールで自由に行き来が可能となっている[4]。当初はビルを1棟にまとめる案も検討されたが、圧迫感があることから採用されなかった[2]

1階エントランスと2階の展示・セミナー空間を結んでいる部分にはグエナエル・ニコラが、輪転機から出てくる新聞紙をイメージしてデザインしたメディアウォールを設置。7台のプロジェクターで紙面や映像ニュース、日経平均などをリアルタイムで伝えている[5][6]。外装のフィンはペンをモチーフにしており、映り込みによって様々に表情が変わる[7]

日経ホール[編集]

日経ホール(にっけいホール)は本ビルの3階から5階にあるホール。主に株主総会や講演会、室内楽の演奏会などに使用されている。ホールは、「知の森」をイメージして、側壁にブナ材を練り付けた円柱を並べ、木立の中のホールを演出した[6]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『新建築』2009年6月号 p.179
  2. ^ a b 『タワーシティ 超高層のあるまち』p.184
  3. ^ a b c d 『タワーシティ 超高層のあるまち』p.186
  4. ^ 『日本経済新聞社140年史』p.76
  5. ^ 『タワーシティ 超高層のあるまち』p.187
  6. ^ a b 『日本経済新聞社140年史』p.77
  7. ^ 『新建築』2009年6月号 p.83

参考文献[編集]

外部リンク[編集]