兵庫県立神戸鈴蘭台高等学校 – Wikipedia

鈴蘭台高校前交差点側入り口

兵庫県立神戸鈴蘭台高等学校(ひょうごけんりつ こうべすずらんだいこうとうがっこう)は、兵庫県神戸市北区にある県立高等学校である。略称は鈴高すずこう神鈴しんすず[1]

六甲山地に連なる菊水山の北、鈴蘭台の南東端に位置する。住所は山田町だが、正門、裏門はそれぞれ中里町と鈴蘭台東町に面している。山を切り開いて学校が建てられているため、敷地内の高低差が大きい[注釈 1]。正門横に三等三角点が設置されており、標高は350mである。これは、県内の公立高等学校では兵庫県立神戸甲北高等学校に次ぐ2番目の高さである。校地内に登山道も存在する。

校舎は旧鈴蘭台高校の校舎を使用している。管理棟 (特別教室棟) と生徒棟 (普通教室棟) からなり、渡り廊下などでつながっている。ともに1964年竣工で、管理棟は地上4階・塔屋2階、生徒棟は地上4階である。バリアフリー設備はあまり整っておらず、エレベーターはない。2011年から2012年にかけて耐震補強工事が行われ、その後、ホームルーム教室に空調が設置された。また、2014年には屋上に太陽光パネルが設置された。なお、空調の設置後も冬季はストーブが各教室に配備されている[注釈 2]

普通科と普通科国際コミュニケーションコースを持ち、エリア選択制を採用している。

教育方針[編集]

  1. 夢や希望、志を実現するために必要な「確かな学力」を育成する。
  2. 生命を尊重し自他に対する肯定的な態度や豊かな心、健やかな身体を育む。
  3. 国際理解、多文化理解を深め、世界的な視野を持った人づくりを推進する。
  4. 保護者・地域等との連携・協力を密に行いつつ、社会に貢献できる人づくりを進める。

略歴[編集]

1950年代後半から兵庫県内では高等学校への入学志願者が急増し[2]、戦後すぐから設置されてきた従来の高等学校では需要に対応しきれなくなってきたことから、兵庫県内で戦後初の完全な新設校のひとつとして1963年に神戸市兵庫区の北部(現在の北区)に兵庫県立鈴蘭台高等学校が仮設校舎ながら設置された。その後も北区を中心に学区内の人口は増え続け、1980年には兵庫県立鈴蘭台西高等学校が設置された。

しかし2000年頃から少子化が顕在化し、県の財政も厳しいことから、神戸第二学区内の県立高等学校6校を統廃合によって5校に再編する方針が教育委員会で出された。当初は両校の距離が約300メートルと最も近い兵庫県立兵庫高等学校と兵庫県立夢野台高等学校の統合が模索されたが、両校はそれぞれ旧制中学校と旧制高等女学校の流れを汲む学校であり、統合に強く反発した[注釈 3]。そこで、直線距離でも約2.5キロメートルあるものの次に距離が近い鈴蘭台高校と鈴蘭台西高校の合併が提案された。2006年、両校の統廃合が発表されると、県立高校の再編が地域住民に十分な説明のないまま進められていることについて、県教育委員会に対し改めて説明と統廃合の考え直しを求める反対運動が行われた。

2007年、鈴蘭台高校と鈴蘭台西高校は募集が停止され、兵庫県立神戸鈴蘭台高等学校が新設された。設置後は鈴蘭台高校の校舎が使用されているが、2011年の耐震工事に際して鈴蘭台西高校の校舎を1年間使用した。

年表[編集]

基礎データ[編集]

所在地[編集]

設置学科[編集]

  • 全日制課程 普通科
    • 国際コミュニケーションコース

通学区域[編集]

第1学区[編集]

隣接学区[編集]

アクセス[編集]

象徴[編集]

  • 校名に鈴蘭と入っていることもあり、スズランのイメージが多用される。
    • 中庭にはスズランが植えられている。
    • 卒業生に対する校長表彰はスズランの別名から君影賞と名付けられている。

校訓[編集]

校訓は、「共生・優雅・創造」であるが、これは併合された2校の伝統の共生と、2校の校訓の1文ずつから採られたものである。

校章[編集]

合併母体となった2校を表す二つのスズランの花が合わさり一つのSの字になっている。色は、上の部分が緑色、下の部分が青色で彩られている。これはそれぞれ「四季折々の自然に恵まれた六甲の山々」と「眼下に広がる神戸港の輝ける海」を表している。

校則[編集]

校則の多くは、前身のひとつである旧鈴蘭台高校のものを継承している。

  • 自転車で直接登校することは禁止されている。自宅から最寄り駅までは申請制である。
  • 家庭の事情が無い限り、郵便局も含めてアルバイトは禁止されている。
  • 携帯電話については、旧鈴蘭台高校生徒会の校則改正運動により2007年度に校則が暫定改正され、始業時間までと昼休み、および放課後の校内での使用が認められている。ただし、連絡手段として認められているだけであり、スマートフォンのゲームなどが認められているわけではないが、黙認されている。
  • 運転免許の取得は禁止されている。

国際交流[編集]

国際文化系コースをもつことから国際交流事業が盛んで、コース以外の生徒も参加可能なオーストラリアへの短期海外研修の他、中長期の海外研修に行くことができる。中長期の海外研修では、一時的に休学扱いになるが、出国前・帰国後の留学審査委員会で認められれば、留学中の修得単位が認定され、出国前の学年団に復学できる[6]

また、海外からの留学生も受け入れているほか、青年海外協力隊を通じた留学生との交流会なども実施している。

学校行事[編集]

文化祭[編集]

神戸鈴蘭台高校祭が毎年6月頃に行われる。伝統である3年生のクラス劇は兵庫県立ピッコロ劇団の指導を受ける。文化祭は旧鈴蘭台高校時代から「鈴高祭」として市内では有名であった。

2018年6月現在、文化祭時の入校には許可証が必要であり、一般人の立ち入りは規制されている。

編集部(新聞部)が発行しているタブロイド判の学校新聞である「鈴高新聞」は、旧鈴蘭台高校開校時(1963年)から前身の編集委員会によって制作されており、現在に至るまで継続して発行されている。また編集部は、B4判両面の新聞を「鈴高miniプレス」として年100号を超えるペースで発行している。こうした活動が評価され、毎年全国高等学校総合文化祭で表彰される全国高校新聞年間紙面審査賞で入賞しているほか、「鈴高miniプレス」はその発行状況から、大東文化大学がかつて主催していた全国高校新聞コンクールで毎年入賞していた。

書道部、陸上競技部、水泳部なども近畿大会や全国大会などに出場し、優秀な成績を収めている。また、和太鼓ボランティア部は「をとこ組」の名前で地域で広く知られている。

運動部[編集]

  • サッカー部
  • 野球部
  • 陸上競技部
  • ソフトテニス部(男女)
  • バスケットボール部(男女)
  • ハンドボール部(男女)
  • バレーボール部(男女)
  • 水泳部
  • 剣道部
  • 柔道部
  • 卓球部(男女)
  • ソフトボール部
  • テニス部(男女)
  • ダンス部

文化部[編集]

  • 英語部
  • 理科部
  • 吹奏楽部
  • 美術部
  • 茶華道部
  • 書道部
  • 演劇部
  • ギター部
  • 図書部
  • 放送部
  • 編集部
  • 福祉活動部
  • 和太鼓ボランティア部
  • 体育館 – 2階建てで、1階には柔道場、剣道場、食堂などが入る予定だったが県の財政難などから見送られ、1階にはトレーニングルームのみが完成している。残りのスペースは、運動部の雨天時の練習場などとして使用されている。
  • 第一グラウンド (200メートルトラック・バックネット・スタンド)
  • 第二グラウンド (球技場)
  • テニスコート (硬式・軟式計4面)
  • プール (25m8レーン)
  • 柔道場・剣道場
  • トレーニングルーム
  • 食堂
  • 講義棟 – 統合に際して建設された。講義室 (通常180人、最大320人収容)、パフォーマンススペース、資料室 (同窓会事務局) がある。
  • 図書室

学校関係者と組織[編集]

学校関係者組織[編集]

  • 翠鈴会 – 旧鈴蘭台高校の同窓会である翠鈴会が神戸鈴蘭台高校の同窓会を兼ねている。講義棟に事務局(資料室)がある。部活動で活躍した生徒には、卒業時に翠鈴会から翠鈴杯が贈られる。
  • 鈴蘭会 – 旧鈴蘭台高校、旧鈴蘭台西高校、神戸鈴蘭台高校の3校の旧職員と育友会・PTAの旧役員を中心とする卒業生の保護者が構成する親睦団体である。入会は任意。

学校関係者一覧[編集]

出身者[編集]

出典[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 正門側は最大勾配4.5パーセントの車道が、裏門側は100段超の階段がそれぞれ存在する。
  2. ^ 管理棟ではガスストーブ、生徒棟では石油ストーブが使用される。空調の暖房機能はコストや許容電圧の問題から使用されていない。
  3. ^ 第二高女(夢野台高校)は、戦後すぐの共学化の際にも神戸二中(兵庫高校)との合併を拒否して神戸市立一中と合併(後に分離)、神戸二中は第四高女と合併した。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]