都市の中で都市と調和しつつ存在する農業を,都市の周辺の近郊農業ととくに区別して都市農業という。 農業生産面では、農林統計で用いられている都市的地域をもって都市農業とみなすことが多い (「都市的地域」は、総農家数の25%、全耕地面積の27%を占めている)。 一方、農地税制面では、都市計画法第7条の市街化区域内とそれ以外の区域とで取扱いが大きく異なることから、市街化区域内で行われている農業を指して「都市農業」ということも多い。[1][2] ※都市的地域とは、農林統計に用いる地域区分(農業地域類型)であり、次のいずれかを指す。 ・可住地に占めるDID(Densely Inhabited District=人口集中地区のことで、人口密度の高い(約4,000人/k㎡以上)国勢調査基本単位区が互いに隣接して、その人口が5,000人以上となる地区)面積が5%以上で人口密度500人以上又はDID人口2万人以上の旧市区町村又は市町村。 ・可住地に占める宅地等率が60%以上で、人口密度500人以上の旧市区町村又は市町村。ただし、林野率80%以上のものは除く。 都市計画法上においては市街化区域と線引きされる地域の農地について「宅地化すべきもの」とされ、いずれは消滅するものと位置づけられていた。 しかし、時代の流れとともに市街地に農地があることの多面的価値が認識されるようになり、都市住民を対象としたアンケートなどでも都市農地の存続を求める声が大きくなってきた。[2] 以上の背景をうけて平成27年成立の「都市農業振興基本法」平成28年閣議決定の「都市農業振興基本計画」において市街化区域に残る農地についても「宅地化すべきもの」から「あるべきもの」へと政策を大きく転換した。各都道府県、基礎自治体においても計画的に都市農地を保全する施策がとられるよう義務付けている。 食糧生産にとどまらず市民農園・観光農園などのレクリエーションや教育・福祉・防災などの都市的課題を改善する役割を都市農業や都市農地は持っているとしている点が特徴的といえる。 都市農業の役割として次の要素があげられる。 新鮮で安全な農産物の供給 身近な農業体験・交流活動の場の提供 災害時の防災空間の確保 やすらぎや潤いをもたらす緑地空間の提供 国土、環境の保全 都市住民の農業への理解の醸成
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