サルヴェ・レジーナ – Wikipedia

サルヴェ・レジーナ(ラテン語: Salve regina)は、キリスト教聖歌のアンティフォナ。カトリック教会における伝統的な祈祷文の一つでもあり、日本のカトリック教会では「元后あわれみの母」の名で親しまれてきた。

西方教会のうち、カトリック教会における聖務日課の「終課」で歌われる、聖母マリアのための4つのアンティフォナの一つである。プロテスタントや、東方教会(正教会・東方諸教会)においては用いられない。

テキスト[編集]

ラテン語[編集]

Salve regina, mater misericordiae:
vita, dulcedo, et spes nostra, salve.
Ad te clamamus, exules, filii Hevae.
Ad te suspiramus, gementes et flentes,
in hac lacrimarum valle.

Eia ergo, advocata nostra,
illos tuos misericordes oculos ad nos converte.
Et Jesum, benedictum fructum ventris tui.
nobis post hoc exsilium ostende.
O clemens: O pia:
O dulcis virgo Maria.

日本語訳[編集]

日本のカトリック教会で「元后あわれみの母」と呼ばれる祈祷文。

かつては文語体の祈祷文で唱えられていた。ロザリオの祈りの結びに、この祈祷文を唱える伝統もある。

祈祷文(口語)[編集]

元后あわれみの母
われらのいのち、喜び、希望。
旅路からあなたに叫ぶエバの子。
嘆きながら泣きながらも、涙の谷にあなたを慕う。
われらのために執り成す方。
あわれみの目をわれらに注ぎ、
とうといあなたの子イエスを旅路の果てに示してください。
おお、いつくしみ、恵みあふれる、喜びのおとめマリア。 — 『カトリック教会のカテキズム 要約(コンペンディウム)』[1]

祈祷文(文語)[編集]

元后、憐れみ深き御母、
我らの命、慰め、及び望みなるマリア。
我ら逐謫(ちくたく)の身なるエワの子なれば[注釈 1]
御身に向かいて呼ばわり、この涙の谷に泣き叫びて、ひたすら仰ぎ望み奉る。
ああ我らの代願者よ、
憐れみの御眼(おんまなこ)もて、我らを顧み給え。
また、この逐謫(ちくたく)の終わらん後、
尊き御子イエズスを、我らに示し給え。
寛容、仁慈、甘美にまします童貞マリア。

聖母マリアのための4つのアンティフォナ[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 逐謫(ちくたく)は追放・流刑を意味し、エデンの園を放逐されたイヴの子孫として、今なお放浪の身であることを示す。

出典[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]