宋家豪 – Wikipedia

宋 家豪(ソン・チャーホウ、1992年9月6日 – )は、台湾出身のプロ野球選手(投手)。右投左打。東北楽天ゴールデンイーグルス所属。台東県出身のアミ族。

プロ入り前[編集]

台湾の国立体育大学出身で、2014年には仁川アジア競技大会と第1回21U野球ワールドカップへ野球チャイニーズタイペイ代表として出場した[2]

2015年には、中華職業棒球大聯盟 (CPBL) が6月に催したドラフト会議で、統一ライオンズから2巡目で指名されるも、日本球界を目指すため入団を拒否した[3]。2015年夏季ユニバーシアード[3]や第1回WBSCプレミア12に、第1回WBSCプレミア12のチャイニーズタイペイ代表として参加した[4]。プレミア12では、1次ラウンドのキューバ戦に先発。7回途中1失点(自責点0)という好投によって、チームの勝利に貢献した[5]

2015年10月20日に、東北楽天ゴールデンイーグルスと1年間の育成選手契約で合意したことが発表された。入団当初の背番号は143で、登録名は、本名の読み方をカタカナで表記したソン・チャーホウ[2][注 1]

楽天時代[編集]

2016年には、育成選手として二軍生活に終始し、イースタン・リーグ公式戦では6勝3敗、防御率2.44という好成績を記録。勝利数は、ジェイク・ブリガムおよび濱矢廣大とともにチームトップであった。シーズン終了後の11月28日には、推定年俸440万円という条件で、育成選手契約を1年延長。2日後の11月30日には、登録名の表記を本名の宋家豪に変更することが発表された[6]

2017年には、NPBのオープン戦期間中に開かれた第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に、チャイニーズタイペイ代表の一員として参加した[7]。韓国での1次ラウンドA組で、第2戦のオランダ戦に先発したが、4回途中4失点という内容で降板[8][9]。チームも、この試合を含めた3戦全敗でA組の最下位に終わり、東京での2次ラウンド進出に至らなかった。

NPBのレギュラーシーズンでは、イースタン・リーグ公式戦33試合に登板。防御率4.28ながら、古川侑利と並んでチームトップの8勝を挙げ、チーム2位の5セーブを記録した。7月31日に、同期入団の八百板卓丸と共に支配下選手契約へ移行し、背番号を94に変更[10]。8月11日の対オリックス・バファローズ戦7回裏に、救援投手として一軍公式戦へのデビューを果たした。この試合では、最速152km/hと一軍初の奪三振を記録。外国人枠との兼ね合いで8月14日に出場選手登録を抹消されたが、レギュラーシーズン終盤の10月4日に再び登録されると、10月7日の対オリックス戦(いずれも京セラドーム大阪)で初ホールドを記録した。レギュラーシーズン全体では、一軍公式戦への登板が5試合にとどまったものの、同月の登板ではオール救援で4試合連続無失点。10月10日には、千葉ロッテマリーンズとのシーズン最終戦(Koboパーク宮城)で、2イニングにわたって4者連続奪三振を記録した。一軍監督の梨田昌孝は、この試合での投球を高く評価。チームがレギュラーシーズン3位でポストシーズンを迎えることを背景に、宋をクライマックスシリーズ(CS)での救援要員に抜擢すると[11]、埼玉西武ライオンズとのファーストステージ(メットライフドーム)で第1戦(10月14日)と第3戦(10月16日)に救援で登板させた。両チームとも1勝1敗で臨んだ第3戦では、1点リードの6回裏無死一塁から登板すると、後続の打者を三者凡退に抑えて交代。チームがこのまま勝利したため、宋はレギュラーシーズンを含めた一軍公式戦での初勝利、チームは2013年以来4年ぶり(勝ち上がりは2009年以来8年ぶり)のCSファイナルステージ進出を果たした。福岡ソフトバンクホークスとのファイナルステージ(福岡ヤフオク! ドーム)でも、第2戦(10月19日)の救援登板で勝利投手になった[12]。翌10月20日の第3戦にも、6回裏に1点リードの場面で登板。しかし、2者連続被本塁打(内川聖一の同点ソロ本塁打と中村晃の逆転ソロ本塁打)で敗戦投手になった[13]。チームはCS敗退、シリーズ終了後の11月27日には、1年契約による宋の残留と背番号43への変更が球団から発表された[14][15]

2018年、外国人枠の関係で開幕を二軍で迎えるものの外国人野手、中継ぎ陣の不調が重なったこともあって5月に一軍昇格。その後は外国人枠の関係でしばらく降格と昇格を繰り返すものの6月にゼラス・ウィーラーの骨折、8月にはジャフェット・アマダーのドーピング問題等もあり、一軍に定着。6月24日の日ハム戦(楽天生命パーク)でレギュラーシーズンにおける来日初勝利を記録[16]。シーズン最終盤ではセーブ機会は無かったものの抑えを任されるようになった。40試合の登板で5勝3敗、防御率1.73という好成績を挙げた。

2019年は新外国人投手のアラン・ブセニッツと外国人枠を争う形となったが、これを制して初の開幕一軍入りを果たす[17]。開幕後も安定したピッチングを続けたが、6月には防御力が悪化し、13日に登録抹消[18][19]。その後はファームでも苦しいピッチングが続いたが[20]、8月22日に一軍昇格を果たすと[21][22]、その後はシーズン終了まで無失点の好投でシーズンを終えた。最終的に防御率2.18でチーム4位の48試合に登板し、チーム3位の24ホールドの成績を残してチームのクライマックスシリーズ出場に貢献した。オフには2019 WBSCプレミア12 チャイニーズタイペイ代表に選出されるも、出場を辞退した[23]

2020年は、開幕2戦目から一軍に合流したものの[24]不安定なピッチングが続き、一時調子を取り戻したが、7月21日の対オリックス戦では、若月健矢に逆転満塁本塁打を打たれ敗戦投手となった[25]。その後も一発に苦しめられ、9月1日には2度目の敗戦投手となり、9月21日に登録抹消[26]。再び10月6日に登録されるが[27]、最終的な成績は38試合に登板し1勝2敗10ホールド、防御率6.94の成績に終わった。

2021年は、前年の不調を払拭しシーズン序盤から安定して1イニングを抑えるピッチングを続け、初めてオールスター戦にも出場する。8月26日の対オリックス戦にて前日に負傷し登録抹消となった松井裕樹の代わりにストッパーとして登板し、チーム加入後初のセーブを記録した[28]。レギュラーシーズン中に松井の一軍復帰はならず、ストッパーは酒居知史、安樂智大と併用で起用され、3人の中で最多の7セーブを記録し最終成績は3勝3敗24ホールド7セーブ、防御率2.23となった。オフに、推定年俸1億1000万円で残留することが発表された[1]

選手としての特徴[編集]

投球フォームはオーバースロー[3]。直球の最速は156km/hを計測する[29]。変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップの3種類を投げる[3]

詳細情報[編集]

年度別投手成績[編集]

  • 2021年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別守備成績[編集]



投手



2017 楽天 5 0 0 0 0 —-
2018 40 3 7 0 0 1.000
2019 48 2 10 0 0 1.000
2020 38 3 11 0 0 1.000
2021 63 2 7 0 1 1.000
通算 194 10 35 0 1 1.000
  • 2021年度シーズン終了時

表彰[編集]

国際大会
  • 第1回U-21野球ワールドカップ最優秀防御率

記録[編集]

初記録
  • 初登板:2017年8月11日、対オリックス・バファローズ17回戦(京セラドーム大阪)、7回裏に2番手で救援登板、1回2失点
  • 初奪三振:同上、7回裏にクリス・マレーロから空振り三振
  • 初ホールド:2017年10月7日、対オリックス・バファローズ25回戦(京セラドーム大阪)、8回裏二死に4番手で救援登板、1/3回無失点
  • 初勝利:2018年6月24日、対北海道日本ハムファイターズ11回戦(楽天生命パーク宮城)、8回表に3番手で救援登板、1回無失点
  • 初セーブ:2021年8月26日、対オリックス・バファローズ16回戦(楽天生命パーク宮城)、9回表に5番手で救援登板・完了、1回無失点
その他の記録

背番号[編集]

  • 143(2016年 – 2017年7月30日)
  • 94(2017年7月31日 – 同年終了)
  • 43(2018年 – )

登録名[編集]

  • ソン・チャーホウ(2016年)
  • 宋家豪(2017年 – )

登場曲[編集]

代表歴[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ただし、これは台湾語読み[要出典]で、台湾における「宋 家豪」の標準中国語での読み方は、「ソン・チャーホウ」ではなく「ソン・ジャーハオ」である。

出典[編集]

  1. ^ a b 楽天宋家豪が来季残留「本当にうれしい」年俸1億超え”. 日刊スポーツ (2021年12月1日). 2021年12月2日閲覧。
  2. ^ a b “【ソン・チャーホウ(宋家豪)選手】育成契約合意に関して” (プレスリリース), 東北楽天ゴールデンイーグルス, (2015年10月20日), https://www.rakuteneagles.jp/news/detail/5809.html 2015年10月24日閲覧。 
  3. ^ a b c d Toyokawa, Ryo (2015年10月21日). “ドラフト指名を拒否して日本へ。チャイニーズ・タイペイ代表・宋家豪が楽天と育成契約”. ベースボールチャンネル (カンゼン). http://www.baseballchannel.jp/npb/11746/ 2015年10月24日閲覧。 
  4. ^ 2015第一屆世界12強棒球錦標賽 中華隊28人名單正式公布” (中国語). 中華民国野球協会 (2015年9月30日). 2015年10月24日閲覧。
  5. ^ 2015年11月14日 チャイニーズタイペイvs.キューバ”. Sportsnavi. 世界野球プレミア12. Yahoo! JAPAN. 2015年11月17日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2021年4月4日閲覧。
  6. ^ “楽天浜矢の背番号を13→46 アマダーは49に”. 日刊スポーツ. (2016年11月30日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/1745538.html 2021年4月4日閲覧。 
  7. ^ 王, 真魚 (2017年1月23日). “快訊/經典賽中華隊28人名單 陽岱鋼入列” (中国語). ETtoday運動雲. https://sports.ettoday.net/news/855000 2017年1月24日閲覧。 
  8. ^ “オランダ、またバレンティンが口火! 右前打から3得点で再逆転に成功”. Full-Count. (2017年3月8日). https://full-count.jp/2017/03/08/post60231/ 2021年4月4日閲覧。 
  9. ^ 投打成績 – 2017年03月08日 オランダ対チャイニーズ・タイペイ”. 2017World Baseball Classic特設サイト. 試合速報・結果 (2017年3月8日). 2021年4月4日閲覧。
  10. ^ 新規支配下選手登録”. 2017年度公示. 日本野球機構. 2021年4月4日閲覧。
  11. ^ “【楽天】CS秘密兵器!梨田監督、宋家豪投手のベンチ入りを明言”. スポーツ報知. (2017年10月10日). オリジナルの2017年10月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20171017042832/http://www.hochi.co.jp/baseball/npb/20171010-OHT1T50194.html 2021年4月4日閲覧。 
  12. ^ “楽天宋家豪が白星「一発で仕留められない」うなる嶋”. 日刊スポーツ. (2017年10月19日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/201710190000715.html 2021年4月4日閲覧。 
  13. ^ 金野, 正之 (2017年10月22日). “<楽天>継投裏目、悪夢再び 宋家豪まさかの連続被弾”. 河北新報. https://kahoku.news/articles/20171022kho000000024000c.html 2021年4月4日閲覧。 
  14. ^ “外国人選手の契約更新に関して” (プレスリリース), 東北楽天ゴールデンイーグルス, (2017年11月27日), https://www.rakuteneagles.jp/news/detail/00000840.html 2021年4月4日閲覧。 
  15. ^ “楽天、ウィーラーら外国人6選手と契約更新を発表”. 日刊スポーツ. (2017年11月27日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/201711270000563.html 2021年4月4日閲覧。 
  16. ^ 栗田, 尚樹 (2018年6月25日). “楽天宋家豪が初勝利、妻の前で「サイコーデース」”. 日刊スポーツ. https://www.nikkansports.com/baseball/news/201806250000137.html 2018年6月25日閲覧。 
  17. ^ 2019年3月公示 出場選手登録・抹消”. 東北楽天ゴールデンイ―グルス. 2021年4月4日閲覧。
  18. ^ 2019年6月公示 出場選手登録・抹消”. 東北楽天ゴールデンイーグルス. 2021年4月4日閲覧。
  19. ^ “【13日の公示】日本ハム・吉田輝、ヤクルト・館山、ソフトB・和田ら抹消”. スポーツニッポン. (2019年6月13日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/yomimono/kouji/kiji/20190613s000013CB240000c.html 2021年4月4日閲覧。 
  20. ^ 2019年度 東北楽天ゴールデンイーグルス 個人投手成績(イースタン・リーグ)”. 日本野球機構. 2021年4月4日閲覧。
  21. ^ 2019年8月公示 出場選手登録・抹消”. 東北楽天ゴールデンイーグルス. 2021年4月4日閲覧。
  22. ^ “【22日の公示】巨人、田中俊太らを登録 広島・田中広輔は抹消”. スポーツニッポン. (2019年8月22日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2019/08/22/kiji/20190822s00001173282000c.html 2021年4月4日閲覧。 
  23. ^ “最速158キロ&両打ちの“二刀流”! MLB球団と契約の20歳が台湾代表としてプレミア12参戦”. Full-Count. (2019年10月25日). https://full-count.jp/2019/10/25/post584735/ 2019年10月25日閲覧。 
  24. ^ “ヤクルト中村が抹消、楽天松井ら登録/20日公示”. 日刊スポーツ. (2020年6月20日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/202006200000254.html 2021年4月4日閲覧。 
  25. ^ “オリックス若月が逆転満塁弾「なんとか勝ちたいと」”. 日刊スポーツ. (2020年7月21日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/202007210000964.html 2021年4月4日閲覧。 
  26. ^ “巨人石川ら登録、ヤクルト藤井ら抹消/21日公示”. 日刊スポーツ. (2020年9月21日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/202009210000481.html 2021年4月4日閲覧。 
  27. ^ “11人陽性ロッテ、藤原ら11人入れ替え/6日公示”. 日刊スポーツ. (2020年10月6日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/202010060000418.html 2021年4月4日閲覧。 
  28. ^ 楽天 猛打賞の島内「首位に向けて一生懸命頑張りたい」 来日初セーブ宋家豪「勝利のために頑張りました」”. スポーツニッポン (2021年8月26日). 2021年9月18日閲覧。
  29. ^ 聯合新聞網 (2021年5月5日). “日職/宋家豪飆156公里生涯最速 連7場未失分 | 聯合新聞網:最懂你的新聞網站” (中国語). 聯合新聞網. 2021年5月5日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]