民族解放軍 (コロンビア) – Wikipedia

民族解放軍(みんぞくかいほうぐん スペイン語: Ejército de Liberación Nacional、略称ELN)は、コロンビア国内に展開する左翼系反政府武装組織。マルクス・レーニン主義による親キューバ、反アメリカ路線を標榜し都市部のインテリ、中間層が構成員の中心である。

1963年にキューバ革命の影響を受けた大学生たちがキューバに渡って訓練を受け「ホセ・アントニオ・ガラン解放旅団」を結成した。

翌年、民族解放軍に改組されゲリラ活動を開始。軍、警察への直接攻撃よりも石油地帯を攻撃することによって体制に間接的に打撃を与えた。カリブ海へ石油を送る油送管を狙って破壊活動を繰り返し石油産業を脅して金の巻き上げ、麻薬や誘拐も資金源としていた。一時は、約5,000人から6,000人の勢力を有し、コロンビア国内の反政府勢力としてはコロンビア革命軍(FARC)に次ぐ、2番目の規模に成長した[1]ものの、冷戦の終了や2000年代以降のコロンビア政府軍の巻き返し、コロンビア自警軍連合の攻撃で徐々に勢力は衰退。このためコロンビア革命軍と共闘するようになり依存を深めていったが、2010年頃には2,500人程度となった[2]

この頃から政府側は、コロンビア革命軍と進めていた和平交渉と平行して、民族解放軍側へも接触を開始。2013年8月には、サントス大統領自らが和平交渉を開始する用意があると発表。これに対応するように2015年1月、民族解放軍側も政府との正式な和平交渉に臨む用意があるとの声明を発表している[3]

2017年9月、コロンビア政府はELNと2017年10月1日~2018年1月12日の停戦で合意したと発表した。ローマ法王フランシスコの同国訪問に対応して、和平ムードを盛り上げる狙いがある[4]。しかしELNは、和平交渉は継続するが停戦は延長しない旨主張し、停戦期間終了直後には,石油パイプラインに対する爆弾テロを実行した[1]

その後、2018年5月にはキューバ政府の仲介による和平交渉も開始されたが、同年9月、ドゥケ大統領が和平交渉再開のために提示した条件(人質の全員解放、「犯罪活動」の停止)について、ELNは受け入れられないとする声明を発表。その後も、ELNは紛争の政治的解決を求める声明を発出する一方で、軍や警察、石油インフラなどを標的としたテロを引き続き行っている。なお、ドゥケ大統領は、2018年9月にベネズエラがゲリラを支援していると非難した[1]

関連人物[編集]