秋雨 – Wikipedia
「秋雨前線」はこの項目へ転送されています。前線の種類については「停滞前線」をご覧ください。 秋雨前線の雲を捉えた衛星画像。前線は九州南岸から本州はるか南の小笠原諸島付近まで延びている。2008年9月29日(PD NASA) 秋雨(あきさめ)とは、日本において8月後半頃から10月頃にかけて(地域によって時期に差がある)降る長雨[1]のこと。秋の長雨、秋霖(しゅうりん)、薄(すすき)梅雨ともいう。 原因とメカニズム[編集] 季節が、夏から秋に移り変わる際、真夏の間本州一帯に猛暑をもたらした太平洋高気圧が南へ退き、大陸の冷たい高気圧が日本海や北日本方面に張り出す。この性質の違う2つの空気がぶつかる所は大気の状態が不安定になり、秋雨前線が発生する。梅雨前線と同じく、前線を挟んで夏の空気と秋の空気とが押し合いをしているため、前線は日本上空を南下したり北上したりする、こうして長雨が続く。 秋雨の原因となる高気圧は主に4つある。1つ目はシベリア高気圧と呼ばれる高気圧である。シベリア高気圧は冷たく乾燥したシベリア気団から構成されていて、高気圧から吹き出される風も冷たく乾燥している。2つ目は秋特有の移動性高気圧と呼ばれる高気圧である。移動性高気圧はやや温かく乾燥した揚子江気団から構成される。3つ目は太平洋高気圧で、温かく湿った小笠原気団から構成される。4つ目はオホーツク海高気圧と呼ばれる高気圧である。オホーツク海高気圧は冷たく湿ったオホーツク海気団から構成される。 梅雨から秋雨への移行[編集] オホーツク海気団と小笠原気団のせめぎ合う中で北上する梅雨前線は、平年で8月前半頃には中国の華北地方〜朝鮮半島北部〜北海道付近にまで達し、勢力が弱まって次第に消滅する。そして日本付近は小笠原気団からなる太平洋高気圧、中国大陸は揚子江気団からなる停滞性の高気圧に覆われ、東アジアのほぼ全域で本格的な夏が続く。 一方8月前半頃には、偏西風の強い部分(ジェット気流)が中国北部付近からオホーツク海付近にかけての地域に北上し、流れも弱くなる。しかし、8月後半頃になると、次第に偏西風が南下を始め、秋の空気もそれに伴って南下してくるようになる。 8月後半頃になると、太平洋高気圧が日本列島から離れたり近づいたりを繰り返すようになる。また、夏の間周りよりも相対的に気圧が低かった大陸の気圧が上がり始め、移動性高気圧やシベリア高気圧が勢いを増してくる。太平洋高気圧が離れたときには、そこに偏西風が入り込んで移動性高気圧と低気圧が交互にやってきて、晴れと雨が繰り返すような天気が訪れるようになる。このような天気が次第に増え始め、晴れ続きの夏の天気の間に雨がやってくるようになる。 これが秋雨の始まりである。8月後半頃から9月頃にかけて、北日本から順に寒冷前線が南下・東進するようになる。このような天気を経て、次第に低気圧とともに前線が発生し、停滞するようになる。 秋雨前線の南下から消滅まで[編集] 8月後半頃から9月頃にかけて、北日本から順に寒冷前線が停滞前線に変わり、停滞するようになる。停滞する期間は長くて数日間で、あまり長続きはしない。天気は周期的に変わることもあるが、全国的にぐずついた天気が多くなる。 10月前半頃になると、太平洋高気圧は日本の南に完全に後退し、秋雨前線の停滞は主に本州の南となる。9月後半頃以降、北日本から順に偏西風が上空に南下してくるので、ジェット気流が高気圧や低気圧を押し流すことで天気が移り変わりやすくなり、太平洋側では晴れが増えてくるが、日本海側では低気圧通過後、一時的に西高東低になるために冬に比べると短期間であるが時雨やすくなる。 10月後半頃になると、秋雨前線は日本の南にまで南下し、途切れ途切れになって弱まり、やがて消滅する。 このころには、日本列島付近を移動性高気圧と低気圧が交互に通過し、乾燥した晴れ→雨→西高東低(日本海側は時雨、太平洋側は乾燥した晴れ)→乾燥した晴れが短期間で移る典型的な秋の天気となる。 秋雨の経過とその特徴[編集] 東北地方の太平洋側に位置する仙台市の雨温図。梅雨に当たる6・7月の雨量は少なく、秋雨に当たる8・9月の雨量が多い。 九州北部に位置する福岡市の雨温図。梅雨にあたる6・7月の雨量が多く、秋雨に当たる9・10月の雨量が少ない。
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