ケヤキ – Wikipedia

ケヤキ(欅、学名: Zelkova serrata)は、ニレ科ケヤキ属の落葉高木。ツキ(槻)ともいう[1]。日本では代表的な広葉樹の一つで、枝ぶりが整った樹形が好まれて植栽や街路樹にも使われる。材は建築材として良材で、寺社建築によく使われる。

朝鮮半島、中国、台湾と日本に分布し、日本では本州、四国、九州に分布する[4]。暖地では丘陵部から山地、寒冷地では平地まで自生する。

自然分布の他に、人の手によって街路や公園、人家のまわりにも植えられたものもよく見られる。日本では特に関東平野に多く見られ、屋敷林に使われることが多い。北海道には自然分布はないが、函館や札幌などの都市部で、庭園樹や公園樹として植えられたものもある。

形態・生態[編集]

落葉広葉樹の高木で、高さ30メートル (m) の大木になり、大きなものでは幹径3 m、高さ50 mほどの個体もある。開けた場所に生える個体は、枝が扇状に大きく斜めに広がり、独特の美しい樹形になる。樹皮は灰白色で、若木のうちは滑らかで横長の皮目があるが、老木になるとモザイク状や鱗片状、または大きく反り返って剥がれるなど、剥がれ方は一様ではなく、幹の表面はまだら模様になる。一年枝は褐色で無毛、ジグザグ状に伸びて皮目がある。

葉は互生し、葉身は卵形で、鋸歯は曲線的に葉先に向かう特徴的な形であり、鋸歯の先端は尖る。雌雄同株で雌雄異花である。花期は4 – 5月頃で、葉が出る前に薄い黄緑色の花が咲く。雄花と雌花をつけた短い枝を「着果短枝」という。花後に長枝が伸びて、本葉が出る。

秋の紅葉(黄葉)が美しい樹木でもある。個体によって色が異なり、赤や黄色に紅葉する。果期は10月。果実は痩果で、小枝についた葉が翼となって、果実がついたまま小枝ごと木から離れ、風に乗って遠く運ばれて分布を広げる。

冬芽は互生し、小さな卵形で暗褐色の8 – 10枚の芽鱗に包まれており、横に副芽を付けることがある。枝先には仮頂芽がつき、側芽は枝に沿わずに開出してつく。冬芽の横には、しばしば副芽がつく。冬芽のわきにある葉痕は半円形で、維管束痕が3個ある。

葉の裏と柄に短毛の密生する変種をメゲヤキという。

人間との関わり[編集]

箒を逆さにしたような樹形が美しく、街路樹や公園樹、防火や防風の目的で庭木などとしてよく植えられる。特に関東地方での利用が多い。巨木が国や地方自治体の天然記念物になっていることがある。朝鮮半島では、ケヤキの春の若葉を茹でて食べることもあり、餅にも入れられる。

ケヤキの花言葉は、「幸運」「長寿」とされる。

木材[編集]

ケヤキ無垢板;塗装済み

材は狂いが少なく湿気に強いのが特徴で、幅広い用途に使われる。木目が美しく、磨くと著しい光沢を生じる。堅くて摩耗に強いので、家具・建具等の指物に使われる。日本家屋の建築用材としても古くから多用され、神社仏閣などにも用いられた。ケヤキ材からは仏像も作られる。現在は高価となり、なかなか庶民の住宅には使えなくなっている。

寺社建築に盛んに使われるようになったのは、縦引き鋸が使われ出した室町時代以降のことである。ヒノキやスギは縦に割って使うことができたが、ケヤキの材はかたく、割るのは困難であったためである。材の強度は、ヒノキとは反対に伐採後から次第に低下していくといわれ、薬師寺東塔に使われたケヤキ材は1200年を経過していて、破断状態にあったという。広葉樹、特にケヤキは道管が環状に並んで年輪がはっきりと見える板となり、年輪幅が広い方がかたくて、重い良材となる。

伐採してから、乾燥し枯れるまでの間、右に左にと、大きく反っていくので、何年も寝かせないと使えない。特に大黒柱に大木を使った場合、家を動かすほど反ることがあるので大工泣かせの木材である。また、中心部の赤身といわれる部分が主に使われ、周囲の白太は捨てられるので、よほど太い原木でないと立派な柱は取れない。

1940年、戦時色の強まった日本では、用材生産統制規則により特定の樹種について用途指定を実施。ケヤキ材の使用用途については軍需、内地使用の船舶、車両用に限られることとなった[8]

シンボル[編集]

多くの自治体が、「県の木」「市の木」といったシンボルにケヤキを指定している。

  • ケヤキをシンボルに指定している都道府県
  • ケヤキをシンボルに指定している市区町村
  • ケヤキをシンボルに指定していた廃止市町村
  • ケヤキをシンボルにしている日本国外の自治体

日本の著名なケヤキ[編集]

なお、東京競馬場の第3コーナー内側に、俗に「大欅」と呼ばれる大木がある。数々の逸話があり、「欅ステークス」という名の特別競走まで開催されているが、実際は榎(エノキ)であってケヤキではない。

日本の著名なケヤキ並木[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]