西武秩父駅 – Wikipedia

西武秩父駅(せいぶちちぶえき)は、埼玉県秩父市野坂町一丁目にある、西武鉄道西武秩父線の駅である。同線の終点。駅番号はSI36

西武鉄道最西端および最北端の駅である。また、関東地方の大手私鉄の駅としても最西端に位置する。

管区長配置駅であり、「西武秩父駅管区」として武蔵横手駅 – 当駅間の各駅を管理している[1]

駅名に「西武」を含む。地元での通称は「西武駅[注 1]

『JTB時刻表』(JTBパブリッシング)の索引地図では秩父市の代表駅として表記されていない[注 2] ものの、東京都区部からの列車が発着していることから、観光ガイドなどでは秩父市や秩父地方の玄関口として紹介されることがある。

秩父駅(秩父鉄道秩父本線)とは離れた位置にあり、乗換駅ではないが、近くの秩父本線の御花畑駅で乗り換えが可能であり、改札脇から構内商業施設「西武秩父駅前温泉 祭の湯」と秩父本線の踏切を通ると徒歩5分程度で到着する[注 3]。秩父鉄道への直通列車も設定されているが、その本数は少ないので、御花畑駅まで徒歩で乗り換える場合が多い。

一部列車は、当駅から秩父本線三峰口方面に直通運転を行っている。

2017年にリニューアルされた西武秩父駅はグッドデザイン賞を受賞した[2]

リニューアル前の駅舎(2011年)
  • 1969年(昭和44年)10月14日 – 埼玉県立秩父農工高等学校(現・埼玉県立秩父農工科学高等学校)跡地に開業。
    • 秩父駅と隣接して駅を建設する構想もあったが、秩父農工高等学校を移転させることにより広大な敷地が確保できることなどから、現在地に駅を設置することになった。また、対都心輸送の競合となるため、秩父鉄道側の強い反対もあったとされる。
  • 1989年(平成元年) – 秩父鉄道との直通運転開始。構造上、三峰口方面のみの発着となる。長瀞方面は通過。
  • 1991年(平成3年) – 直営の商業施設「西武秩父仲見世通り」がオープン。
  • 1994年(平成6年) – すべてのホームでブザーに代わり発車メロディ(カンノ製作所製)を導入。
  • 2000年(平成12年) – 関東の駅百選に選定[3]。選定理由は「秩父の山と物産が融合したスイス風のユニークなスタイルの駅」[3]
  • 2016年(平成28年)
  • 2017年(平成29年)
    • 3月 – 駅舎リニューアルが完了[6]
    • 4月24日 – 複合型温泉施設「西武秩父駅前温泉 祭の湯」オープン[6][7]

改札口(2018年1月)

ホーム(2010年3月)

単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、計2面3線を有する地上駅。単式ホーム部分が1番ホーム、島式ホーム部分が2・3番ホームである。1番ホームには特急「ちちぶ」が発着する。

1番ホームの東側(配線図では1番ホームの下側)に改札内コンコースがある。改札内コンコースと2・3番ホームは跨線橋で連絡しており、エスカレーターとエレベーターが設置されている。また、改札内コンコースと1番ホームとの間には有人の中間改札口が設置されており、駅員が乗車券・特急券をチェックする。

磁気化券でない秩父鉄道からの乗車券類を所持する乗客は有人通路(お客さまご案内カウンター)で取り扱って利用可能である。また、1994年より自動改札機が設置されており(1999年と2014年に更新)、PASMO・Suicaが利用可能(秩父鉄道三峰口方面はエリア外のため利用できない)。また、臨時改札口もあり、秩父夜祭の際などに使用される。

トイレは、改札内のほか、商業施設「駅前温泉 祭の湯」にも設置されている。「仲見世通り」時代も設置されていた。

2003年には、羊山公園の芝桜観光を目的とする旅客に対応しきれず、一時改札止めになったことがある。

のりば[編集]

ホーム 路線 行先 備考
1 SI 西武秩父線 飯能・所沢・池袋方面 特急「ちちぶ」専用ホーム
2・3 一般種別用ホーム
秩父鉄道秩父本線 影森・三峰口方面 飯能方面からの直通のみ
  • 秩父鉄道秩父本線との連絡線が横瀬寄りにあり、直通列車が行き来する。渡り線はダブルスリップになっている。横瀬方面と長瀞方面とを行き来する列車は当駅ホームに入線せず、直接横瀬駅と御花畑駅を結んで運転する。一方、三峰口方面とを行き来する列車は、一度当駅ホームに停車して客扱い・乗務員交替を行ってから、スイッチバックして双方の路線を直通する。このため、長瀞方面・三峰口方面の併結列車は、当駅ではなく手前の横瀬駅で分割・併合作業を行う。
  • 直通列車の運賃計算にあたっては、当駅と御花畑駅は同一駅として扱われている。例えば、三峰口行列車に当駅から乗車した場合は、御花畑駅から全区間秩父鉄道に乗車したものとして運賃を計算する。また、長瀞発列車に御花畑駅から乗車した場合は、当駅から全区間西武鉄道に乗車したものとして運賃を計算する。
    • なお、秩父鉄道はSuica・PASMO非対応のため、西武鉄道から秩父鉄道直通列車に乗車する場合はあらかじめ乗車駅で乗車券を購入する必要がある。そのままSuica・PASMOで西武鉄道から秩父鉄道へ乗り継いだ場合は、下車駅で乗車駅からの運賃を全額現金で精算した上で[8]、次回乗車時に導入鉄道事業者の乗車駅で処理を受ける形となる。また、御花畑駅から直接西武鉄道方面に乗車する場合も同駅にICカード対応設備がないため、乗車券を現金で購入することになる。
  • 当駅は西武秩父線の終着駅であり直通列車の長瀞方面行は駅の手前で分岐して秩父鉄道秩父本線に入線(御花畑駅構内につながる)しているため通過列車はない。頭端式ホームは設置せず改札と2・3番ホームは跨線橋で連絡する形をとっている。
  • 2・3番ホームの有効長は10両編成分あり、定期列車では土曜・休日ダイヤに当駅 – 元町・中華街駅間を走行する座席指定制直通列車「S-TRAIN」が西武40000系電車を使用して1往復運転され[9]、こちらのホームに発着する。それ以外の列車は、2・3番ホームに最大8両編成まで発着する。2013年5月1日の深夜から2日の未明にかけて、東急5050系4102編成(10両編成)が試運転として当駅に入線した[10]
  • 1番ホームと2番ホームの間に留置線が2本あった。最近では定期列車では使用されず、年間を通じても毎年12月3日の秩父夜祭の臨時ダイヤの際に入線する程度で、2016年頃からは全く使用された形跡がなかった。2017年11月頃から電留線の本線合流側の4両分程度が撤去され、跡地を活用して1番線の線路の線形が若干変更され、特急ホームの有効長は001系「Laview」の運転開始に備えて8両編成分まで延伸された。なお、夜間停泊等の留置はすべて横瀬駅まで回送されている。

配線図[編集]

西武秩父駅・御花畑駅 構内配線略図

影森・
三峰口方面
西武秩父駅・御花畑駅 構内配線略図
秩父・
長瀞方面
↓ 飯能・池袋方面
凡例
出典:[11]

商業施設[編集]

西武秩父仲見世通り(2011年10月)

西武秩父仲見世通り[編集]

1991年4月23日に、駅隣接の敷地内に開業した西武鉄道直営の商業施設。当駅改札口と秩父鉄道の御花畑駅をつなぐ連絡通路を兼ね、屋根つきの広い通路の両側に、飲食店や売店のほか、日本酒や蕎麦など、秩父地方の名産品を販売する店舗が並び、イベントスペースも設置されていた。下記の新施設への改築工事のため、2016年2月に連絡通路を閉鎖、4月から5月29日にかけて全店舗が閉店し、大半が解体された。

西武秩父駅前温泉 祭の湯[編集]

西武秩父駅前温泉 祭の湯(2018年1月)

2017年4月24日にグランドオープンした、物販や飲食店を備える複合型温泉施設である[6][7]。地上2階建てで、新築部分と西武秩父仲見世通りをリニューアルする部分で構成され、温泉、飲食・イベント、物販の3エリアに分けて整備された。

秩父観光と秩父温泉ブランドの向上を目指し、秩父夜祭をはじめとする秩父地域において年間300以上開催されている「祭」をテーマに据え、施設全体に祭をコンセプトにした意匠を施している。

1階の大部分は「ちちぶみやげ市(物販エリア、約466平方m)」と「呑喰処 祭の宴(飲食・イベントエリア、約736平方m)」であり、改札よりに土産物・名産品の販売スペースと売店があり、中央にフードコートを設けて食事を提供している。「祭の湯(温泉エリア、約2170平方m)」は1階の奥に受付とレストラン、2階全体を温泉・岩盤浴・休憩スペースとした。露天風呂と内湯があり、露天風呂は岩風呂や日本全国の温泉を汲み上げた人工温泉「花見湯」、内湯は高濃度人工炭酸泉やジェットバスの他サウナがある。岩風呂では温泉を使用しており、泉質は含ヨウ素-ナトリウム-塩化物冷鉱泉[12]。休憩スペースは大部屋タイプと翌朝まで仮眠ができる個室(プレミアムラウンジ)を設置している。

合わせて駅のリニューアルも実施され、駅舎外装や改札内外コンコース、特急改札口、特急ホーム、跨線橋を和風イメージに改装するとともに、駅前広場と駐車場も整備された。

利用状況[編集]

近年の1日平均乗降・乗車人員の推移は下記の通りである。

年度別1日平均乗降・乗車人員[* 1]
年度 1日平均
乗降人員[* 2]
1日平均
乗車人員[* 3]
出典
1990年(平成02年) 9,205 4,694
1991年(平成03年) 9,160 4,685
1992年(平成04年) 9,309 4,761
1993年(平成05年) 9,337 4,770
1994年(平成06年) 9,392 4,801
1995年(平成07年) 9,087 4,644
1996年(平成08年) 8,969 4,580
1997年(平成09年) 8,491 4,329
1998年(平成10年) 8,328 4,250
1999年(平成11年) 8,015 4,057 [埼玉県統計 1]
2000年(平成12年) 8,045 4,068 [埼玉県統計 2]
2001年(平成13年) [13]7,922 3,981 [埼玉県統計 3]
2002年(平成14年) [14]8,034 4,045 [埼玉県統計 4]
2003年(平成15年) [14]8,194 4,131 [埼玉県統計 5]
2004年(平成16年) [14]8,270 4,194 [埼玉県統計 6]
2005年(平成17年) [14]8,065 4,092 [埼玉県統計 7]
2006年(平成18年) [14]7,879 4,002 [埼玉県統計 8]
2007年(平成19年) 7,558 3,844 [埼玉県統計 9]
2008年(平成20年) 7,570 3,834 [埼玉県統計 10]
2009年(平成21年) 7,194 3,639 [埼玉県統計 11]
2010年(平成22年) 6,919 3,514 [埼玉県統計 12]
2011年(平成23年) 6,691 3,384 [埼玉県統計 13]
2012年(平成24年) 6,655 3,360 [埼玉県統計 14]
2013年(平成25年) 6,814 3,444 [埼玉県統計 15]
2014年(平成26年) 6,944 3,520 [埼玉県統計 16]
2015年(平成27年) 7,043 3,589 [埼玉県統計 17]
2016年(平成28年) 6,937 3,511 [埼玉県統計 18]
2017年(平成29年) 7,418 3,771 [埼玉県統計 19]
2018年(平成30年) 7,229 3,665 [埼玉県統計 20]
2019年(令和元年) 7,146 3,624 [埼玉県統計 21]
2020年(令和02年) 3,739

観光[編集]

バス路線[編集]

駅前ロータリーは、秩父市街と周辺を結ぶバスのターミナルとなっている。大半の路線は、当駅を出ると、秩父鉄道を渡って西側の中心市街地を経由し、秩父駅に停車して、各地へ向かうコースになっている。

  • 西武秩父駅入口バス停は、駅前道路を直進した先の、国道140号にある。
西武鉄道
SI 西武秩父線

上記以外の列車

横瀬駅 (SI35) – 西武秩父駅 (SI36) – 影森駅(秩父鉄道秩父本線)

記事本文[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 例えば、営業所名を「西武駅前営業所」とするタクシー会社がある。市内タクシー会社のご案内 – 秩父市役所
  2. ^ 秩父市の代表駅を示すマークは秩父鉄道秩父駅に表記されている。
  3. ^ 2016年2月22日より当面の間、旧「仲見世通り」のリニューアル工事実施に伴い、当駅と御花畑駅の間は一般道利用の迂回ルートを通る形がとられた。時間は約10分。

出典[編集]

  1. ^ a b 田中孝憲(西武鉄道鉄道本部運輸部管理課)「駅・乗務所のあらまし」『鉄道ピクトリアル』第63巻第12号(通巻884号)、電気車研究会、2013年12月10日、 50頁、 ISSN 0040-4047
  2. ^ “西武秩父駅・西武秩父駅前温泉 祭の湯がグッドデザイン賞を受賞!!” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 西武鉄道/西武レクリエーション/西武建設/西武造園, (2017年10月4日), オリジナルの2018年2月28日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20180228222657/https://www.seiburailway.jp/news/news-release/2017/20171004chichibu_gooddesign.pdf 2020年5月3日閲覧。 
  3. ^ a b (監修)「鉄道の日」関東実行委員会『駅の旅物語 関東の駅百選』人文社、2000年10月14日、初版、130 – 131・229頁。ISBN 4795912807。
  4. ^ “5月28日(土)・29日(日)の2日間 史上初! 西武秩父駅に秩父鉄道の、SLパレオエクスプレスが入線&出発” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 西武鉄道/秩父鉄道, (2016年4月27日), オリジナルの2020年5月3日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20200503145324/https://www.seiburailway.jp/news/news-release/2016/20160427SLcollabo.pdf 2020年5月3日閲覧。 
  5. ^ “11月27日(日)11 時より西武秩父駅の発車メロディーを秩父で生まれた卒業式の定番ソング♪ 「旅立ちの日に」に変更します!” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 西武鉄道, (2016年11月17日), オリジナルの2018年6月12日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20180612164802/https://www.seiburailway.jp/news/news-release/2016/20161117seibuchichibu_melody.pdf 2020年5月3日閲覧。 
  6. ^ a b c “「西武秩父駅前温泉 祭の湯」オープン間近! 西武秩父駅が生まれ変わりました! 〜リニューアルした駅が、「祭の湯」にお越しのお客さまをお迎えします〜” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 西武鉄道, (2017年4月5日), オリジナルの2020年5月3日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20200503144244/https://www.seiburailway.jp/news/news-release/2017/170405_chichiburenewal.pdf 2020年5月3日閲覧。 
  7. ^ a b “「西武秩父駅前温泉 祭の湯」4月24日(月)オープン決定! 〜ロゴマーク、料金、各エリアの詳細が決定しました〜” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 西武鉄道/西武レクリエーション, (2017年2月28日), オリジナルの2020年5月3日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20200503144709/https://www.seiburailway.jp/news/news-release/2016/20170228_matsurinoyumeisyo.pdf 2020年5月3日閲覧。 
  8. ^ ICカードをご利用のお客様へ – 秩父鉄道
  9. ^ “有料座席指定列車の愛称・詳細が決定! 2017年3月25日(土)から「S-TRAIN」運行開始!” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 西武鉄道/東京地下鉄/東京急行電鉄/横浜高速鉄道, (2017年1月10日), オリジナルの2018年12月11日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20181211204927/https://www.tokyometro.jp/news/images_h/metroNews20170110_g02.pdf 2020年5月3日閲覧。 
  10. ^ 東急5050系4102編成が西武秩父線で試運転
  11. ^ 宮脇俊三・原田勝正 『東京・横浜・千葉・名古屋の私鉄 (JR・私鉄全線各駅停車)』、p.85、小学館、1993年、ISBN 978-4093954112)
  12. ^ 温泉のご案内(祭の湯)
  13. ^ 「駅別乗降人員(一日平均)の推移」No.1 2001年度〜2005年度・池袋線・西武秩父線・西武有楽町線・豊島線・狭山線・山口線 (PDF)” (日本語). 西武鉄道. 2011年11月2日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2021年7月30日閲覧。
  14. ^ a b c d e 「駅別乗降人員(一日平均)の推移」No.1 2002年度〜2006年度・池袋線・西武秩父線・西武有楽町線・豊島線・狭山線・山口線 (PDF)” (日本語). 西武鉄道. 2012年11月1日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2021年7月30日閲覧。

利用状況[編集]

私鉄の1日平均利用客数
私鉄の統計データ
埼玉県統計年鑑

関連項目[編集]

外部リンク[編集]