宝塚市 – Wikipedia

宝塚市(たからづかし)は、兵庫県南東部(阪神間)に位置する市。阪神北県民局管轄区域。国から施行時特例市に指定されている。宝塚市の「塚」は、国や兵庫県では新字体の「塚」を用いているが、市では画数の1画多い「塚」を用いる[1]。なお、本記事では基本的に「塚」を使用する。

阪急阪神東宝グループの創始者・小林一三が手がけた宝塚歌劇団の本拠地である宝塚大劇場があり、『歌劇の街』として全国的に有名である。漫画家・手塚治虫が青少年期を過ごした町としても知られる。かつては、阪急電鉄経営の宝塚ファミリーランドや東宝映画の源流の1つである宝塚映画製作所などを有して、阪急東宝の文化拠点としてのイメージが強かった。
阪急電鉄経営の宝塚ファミリーランドが2003年4月7日(鉄腕アトムの誕生日)に閉鎖され、宝塚ガーデンフィールズ(閉鎖)を経て、今では商業施設やタワーマンション・小学校等に生まれ変わっている。
現在は仁川、小林、逆瀬川、雲雀丘などの閑静な高級住宅街を有する阪神間の住宅都市である。

阪神間北部に位置しており、西は六甲山系、北は長尾山系に囲まれて、中心部を武庫川が流れている。
関西の奥座敷として温泉場や1913年(大正2年)から続く宝塚観光花火大会や高級住宅地としても有名である。

一時、伊丹市・川西市・猪名川町と合併構想が持ち上がったが、現在は凍結している。

地形[編集]

河川

武庫川、逆瀬川、仁川、荒神川、羽束川

岩原山(573m) 、大峰山(552m) 、譲葉山(514m) 、社家郷山(489m) 、岩倉山(488m)、中山(478m) 、樫ヶ峰(457m)

人口[編集]

市制施行時は約4万人であったが、大阪・神戸のベッドタウンとして宅地開発が進み、人口は増加した。

2010年の国勢調査で22万5587人に達して以降は横ばいとなっている。

Population distribution of Takarazuka, Hyogo, Japan.svg
宝塚市と全国の年齢別人口分布(2005年) 宝塚市の年齢・男女別人口分布(2005年)

紫色 ― 宝塚市
緑色 ― 日本全国

青色 ― 男性
赤色 ― 女性

宝塚市(に相当する地域)の人口の推移
総務省統計局 国勢調査より

隣接する自治体・行政区[編集]

川西市満願寺町(満願寺の周辺)が飛地として市内に存在する。

大阪市への通勤率は22.5%である(平成22年国勢調査)。

地名の由来[編集]

宝塚の「塚」は、「盛り土をした墓(古墳)」を意味する。宝塚は文字通り古墳の名称であるが、宝塚には古墳が多くあり、宝塚と呼ばれていた古墳に関しては諸説あって場所が特定されていない。江戸時代には「宝塚」の地名が使われていた。(後述)

  1. 旧川面村川面に宝塚と呼ばれていた古墳があり、近隣の新田(現:御殿山)も宝塚と呼ばれた[2]。1672年の検地記録に、川面村の小字として宝塚東・宝塚南・宝塚北が記されている。
  2. 宝塚山(ほうちょうざん)宝泉寺[* 1](現:宮の町)の地に、神功皇后の母である高額比売命(たかぬかひめのみこと)を祀った古墳があり、この高額塚(たかぬかつか)が宝塚(たからづか)へ転訛した。
  3. 旧米谷村(現:米谷)に塚があり、この塚の許で物を拾うと必ず幸せになったため、宝塚と呼ばれていた[3]
  4. 旧良元村伊孑志に宝塚と呼ばれていた古墳があった(現:宝梅)。

このように古くからある宝塚の名称は、明治になって温泉名や駅名となった後、1951年(昭和26年)に初めて市町村名として採用される。

沿革[編集]

先史・古代[編集]

中世[編集]

  • 12世紀、川面牧が荘園化し川面荘となり、米谷庄など新たな荘園も成立する。
  • 1223年(貞応2年)「小林の湯」(後の宝塚温泉)の記録がなされる。
  • 15世紀末、小浜庄が成立、毫摂寺創建により小浜が寺内町として発達する。

近世[編集]

明治以降[編集]

第2次世界大戦後[編集]

市長[編集]

氏名 就任年月日 退任年月日 備考
初代 田中九右衛門 1954年5月8日 1956年5月14日
2-4代 田中詮徳 1956年6月10日 1968年6月9日
5代 北俊三 1968年6月10日 1970年12月23日 任期中死去
6-10代 友金信雄 1971年2月7日 1991年2月6日
11-13代 正司泰一郎 1991年2月7日 2003年3月13日
14代 渡部完 2003年4月24日 2006年3月6日 辞職
15代 阪上善秀 2006年4月9日 2009年2月27日 辞職[6]
16-18代 中川智子 2009年4月19日 2021年4月18日
19代 山﨑晴恵 2021年4月19日 現職

※歴代市長[7]

財政[編集]

宝塚市の財政状況は厳しくなっており、国民健康保険は10.9億円の赤字となっている。その為、宝塚市は、平成28年3月より医療費抑制のため、生活習慣病の予防を呼び掛けている。宝塚市は、「生活習慣病は、高血圧や心疾患、糖尿病などが最も多くの医療費がかかっている」と説明している[8]

2020年、市立病院の赤字は、前年同月比の3.4倍となる約2億280万円に上った[9]。これにより、6年連続の赤字となった。市立病院は、厳しい経営状態が続いている[10]

2021年時点で、宝塚市は、財政難となっている上、予算に偏りがある[11]。土木費などに予算が行き渡っておらず、インフラ整備などが停滞している[12]。宝塚市の市道などの老朽化率は86%。公共施設の老朽化率は62%。全体で73%に達している。健全値と言われる30%の値から大きく乖離している。10年余り土木費や教育費などを削減し続けたことが、急速悪化の主因と指摘されている[13]

警察[編集]

消防[編集]

その他[編集]

宝塚市議会[編集]

  • 定数:26人 (1959年に30名となり、2007年から現行の数となった。)
  • 任期:2019年4月30日 – 2023年4月29日
  • 議長:中野正
  • 副議長:冨川晃太郎
会派名 議席数 議員名(◎は代表者)
たからづか真政会 7 ◎大川裕之、冨川晃太郎、浅谷亜紀、石倉加代子、岩佐将志、風早寿郎、桑原健三郎
公明党議員団 4 ◎江原和明、中野正、藤岡和枝、三宅浩二
市民ネット宝塚 4 ◎寺本早苗、川口潤、北野聡子、田中大志朗
日本共産党宝塚市会議員団 4 ◎渡名喜正勝、田中耕、田淵静子、横田昌則
日本維新の会宝塚市議団 3 ◎池田光隆、伊庭聡、村松杏奈
社会民主党議員会 2 ◎梶川美佐男、大島淡紅子
令和安全の会 2 ◎北山照昭、山本敬子
26

(2020年4月30日現在)[14]

兵庫県議会[編集]

  • 選挙区:宝塚市選挙区
  • 定数:3人
  • 任期:2019年6月11日 – 2023年4月30日[15]
  • 投票日:2019年4月7日
  • 当日有権者数:190,871人
  • 投票率:35.92%

衆議院[編集]

姉妹都市・提携都市[編集]

金融[編集]

指定金融機関:平成21年7月より池田泉州銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行3行による輪番制を敷いていたが[16]、2019年に三菱UFJ銀行が指定金融機関を辞退し、現在は池田泉州銀行(西暦の奇数年7月~翌年6月)・三井住友銀行(西暦の偶数年7月~翌年6月)2行による輪番制となっている[17]

企業[編集]

特産品[編集]

教育[編集]

小学校[編集]

中学校[編集]

高等学校[編集]

1953年(昭和28年)から2009年(平成21年)まで公立高校入試において総合選抜を実施していた。

特別支援学校[編集]

各種学校[編集]

専門学校[編集]

大学[編集]

主な文化施設[編集]

主な病院[編集]

主な商業施設[編集]

放送メディア[編集]

その他[編集]

  • 郵便局:宝塚郵便局(小浜)を中心に、22局ある。宝塚寿郵便局が星の荘にあり宝と寿が重なり縁起が良い郵便局として有名。
  • 宝塚市立図書館:中央図書館(清荒神)、西図書館(小林)、中山台分室、山本南分室の4か所があり、移動図書館すみれ号を有する。
  • 公共施設:宝塚市立スポーツセンター(小浜)、宝塚市立宝塚自然の家(大原野)
  • 公民館:中央公民館(伊孑志)、東公民館(山本)、西公民館(小林)の3箇所がある。
  • ごみ処理:宝塚市ごみ政策課が、クリーンセンター(小浜)で処理を行っている。
  • 市営霊園:火葬場を有する長尾山霊園と、宝塚すみれ墓苑がある。

市街地が広がる市南部を中心に、鉄道網・バス網が整備されている。

鉄道[編集]

市の代表駅として、中心的な役割を担っているのは、宝塚駅である。2社3路線(西日本旅客鉄道(JR西日本)福知山線、阪急電鉄宝塚本線・今津線)が当駅を利用している。

なお、市の代表駅である宝塚駅から大阪の梅田方面へ向かう電車のルートは、阪急宝塚本線(川西能勢口・石橋阪大前経由、急行・準急・普通大阪梅田行き)、阪急今津線(門戸厄神・阪急神戸本線塚口経由、準急大阪梅田行き)、JR福知山線(伊丹・尼崎経由、丹波路快速・快速・各駅停車大阪行き)の3つのルートがある。

  • 西日本旅客鉄道(JR西日本)
  • 阪急電鉄

高速自動車国道[編集]

一般国道[編集]

市内の東西を縦断する国道176号
安倉北2丁目で撮影

主要県道[編集]

一般県道[編集]

バス[編集]

空港[編集]

隣接市の伊丹市には大阪国際空港があり、宝塚市を含め関西一円の航空利用者の交通拠点となっている。宝塚市も、大阪国際空港に対する地元自治体の連合である大阪国際空港周辺都市対策協議会(10市協)の一員である。宝塚市からは、鉄道・バス・自動車[* 5]などにより大阪国際空港へ短時間で容易にアクセスすることができる。

なお、かつては10市協の他の自治体同様に、宝塚市も、大阪国際空港を発着する航空機の騒音に悩まされていたが、航空機の技術革新により騒音問題は大きく改善した。かつては国が定める騒音防止対策区域に宝塚市の一部も含まれていたが、2009年3月6日をもって宝塚市全域は区域の指定を解除され、少なくとも国の行政の視点からは市内の騒音問題は解決済みである[20]。ただし、宝塚市は、さらなる騒音の改善を見据えて、現在も騒音基準の達成状況については詳細な監視を継続している。また、風速5 m/s以上の強い南東の風が吹くときに行われる逆着陸飛行(大阪国際空港の滑走路14R・14Lを使った運用)は、実施される頻度は極めて少ないものの、実施されると航空機が空港北西側のコース(尼崎市~西宮市~宝塚市~川西市のコース)を低空で空港への着陸に向けて飛行し、当該コース下の地域に通常よりも大きな騒音を与える[* 6]。宝塚市は逆着陸飛行による騒音の影響が比較的大きいため、市は大阪国際空港の逆着陸飛行の動向も調査を行っている[20]

名所[編集]

宿泊・温泉[編集]

旧跡・宗教施設[編集]

寺院[編集]

神社[編集]

その他[編集]

祭事・催事[編集]

出身者[編集]

小園海斗 プロ野球選手 広島東洋カープ

名誉市民[編集]

特別名誉市民[編集]

特別市民[編集]

宝塚市が舞台になった作品[編集]

宝塚歌劇団や宝塚音楽学校を題材にした作品は多く、ロケ地としても度々使われている。

脚注・参考文献[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 『宝泉寺縁起帳』(1596年)は宝塚の名の最も古い記録。境内の碑石には「高額比賣命宮、壬辰年六月七日薨、御年六十六歳」とある。
  2. ^ この路線における西宮市の区間は宝塚市の間に挟まれる形をとっている。
  3. ^ 川西市との市境に位置する。登記上の住所は宝塚市である。
  4. ^ 「松が丘」の地名自体は宝塚市と川西市にまたがる地名となっている。
  5. ^ 公共交通機関では、阪急宝塚本線と大阪モノレールの併用、福知山線と伊丹市営バスの併用、阪急バス(直行便)の利用などが挙げられる。自動車利用の際は、国道176号が市内と大阪国際空港を結ぶ主要経路となる。
  6. ^ そのため、大阪国際空港では通常は、滑走路32L・32Rを使った運用を行う。このときは、離陸機は空港北西側の地域を通過するが、騒音被害を抑えるため、早々に高度を上げて飛び去ってしまう。
  7. ^ 井上が社用で、日本画家・橋本関雪(作中では谷村大峯)を売布神社の別邸に訪問した時のことが、作中に使われている。

出典[編集]

外部リンク[編集]

行政
観光・文化
その他