モース硬度 – Wikipedia

モース硬度計。硬度1から10までの標準鉱物が箱の中に入っている。

モース硬度(モースこうど)、モース硬さ(モースかたさ、英語: Mohs hardness[1])またはモース硬さスケール(モースかたさスケール、英: Mohs’ scale of hardness[2])は、主に鉱物に対する硬さの尺度の1つ。硬さの尺度として、1から10までの整数値を考え、それぞれに対応する標準鉱物を設定する。

ここで言う硬さの基準は「あるものでひっかいたときの傷のつきにくさ」であり、「たたいて壊れるかどうか」の堅牢さではない(そちらは靱性を参照)。モース硬度が最高のダイヤモンドであっても衝撃には弱く、ハンマーなどである一定の方向からたたくことによって容易に砕ける。また、これらの硬度は相対的なものであるため、モース硬度4.5と示されている2つの鉱物があったとしても、それらは同じ硬度とは限らない。これは、蛍石で引っかくと傷がつかず、燐灰石で引っかくと傷つくということを示すのみである。

数値間の硬度の変化は比例せず、硬度1と2の間の差が小さく、9と10の間の硬度の差が大きいことも特徴的である。一見すると不便な見分け方のようでもあるが、分析装置のない野外においては、鉱物を同定するために役立つ簡便で安価な方法である。

モース硬度の「モース」は、この尺度を考案したドイツの鉱物学者フリードリッヒ・モースに由来している。

「滑石方(かっせきほう)にして蛍燐(けいりん)長く、石黄鋼(いしおうこう)にして金色なり」という語呂合わせの覚え方がある。

標準鉱物[編集]

標準鉱物と試料物質をこすり、ひっかき傷の有無で硬さを測定する。現実に存在する化学物質(人工物、天然物)の中で、モース硬度として最も硬いものはダイヤモンドである。

身近な物の硬度(目安)[編集]

修正モース硬度[編集]

研磨剤などの硬さの指標として、工業分野でよく利用される物質を追加して15段階に修正された修正モース硬度が使われる場合がある。

参考文献[編集]

  • 黒澤正紀 「鉱物・岩石」、上野健一; 久田健一郎編 『地球学調査・解析の基礎』 古今書院〈地球学シリーズ〉、2011年、99-143頁。ISBN 978-4-7722-5254-6。 

関連項目[編集]