海戦術 – Wikipedia
海戦術(かいせんじゅつ、英語: naval tactics)は、海戦において艦隊を効果的に運用する戦術である。海軍戦術とも言う。 陸戦や航空戦で用いられる戦術とはその内容が大きく異なるために区別して理解されている。 海戦術とは海戦における戦術であり、任務を達成するために戦場および戦場付近の地域における艦隊の陣形・運動・射撃などを指導する科学・技術であると定義される。 また海軍部隊は気象・海象の影響や補給の問題から陸軍部隊のように一定の地域において長期間対峙することが出来ず、短期決戦となる。そのために戦果は圧倒的な勝利と、壊滅的な敗北に二極化する特徴が見られる。さらに陸軍部隊のように地形的な優位を持つことが難しく、その上兵器の物量や質の優劣が明確に勝敗に表れる。従って彼我の戦闘での優劣はランチェスターの法則がそのまま適用されることになる[1]。したがって戦闘の大勢は戦略配備によっていかに優れた戦力を集結させるかによって決まる。しかし実際に敵を発見して艦隊が戦術運動を行い、敵を撃滅する戦闘においては海戦術の有用性が発揮される。 海戦では戦場が海洋・河川・湖などの水域であり、そこで活動する戦闘単位は艦船となり、その集合体として戦闘を行う場合には艦隊として運用される。艦船は通常それ自体が複合的な兵器システムを装備しており、また陸上戦力のように戦力を細分化するなどの多様な運用を行うことはできない。ここでは主に対水上戦闘について述べるが、海上作戦においては対空戦闘・対潜戦闘・航空戦・航空打撃戦・電子戦・情報戦なども同時に遂行される[2]。定量的な戦闘力の優劣だけでなくその連絡と連携の運用的な優劣によって劣勢な戦力が優勢な戦力を破ることも可能であると考えられ、また歴史もこれを実証している。敵部隊の大部分の撃沈、捕獲、戦闘不能によって戦闘の勝敗は決まる。 詳細は海戦を参照されたい。 海戦術の歴史は船舶の技術的な発展と呼応して進歩してきた。 近代的な海戦術研究については、陸軍戦術の研究が進展や技術躍進によって19世紀後半から行われるようになり、コロムが1891年に『海戦論』を出してその海戦術研究の先駆けとなった。19世紀になると、アルフレッド・セイヤー・マハンが戦史研究に基づいた『海上権力史論』を出して海軍の戦略・戦術理論を包括的に論じた。ダリューは『海戦論』において陸海軍の戦術は本質的に共通していると論じ、また当時行われていた巨砲を装備した部隊による決戦と小規模部隊による奇襲をめぐる論争で巨砲主義を支持した。ロシア海軍のステパン・マカロフは陸海の戦術は異なるものであり、また巨砲主義を批判して奇襲攻撃を支持していた。日本海軍においては佐藤鉄太郎が戦史研究から敵の海軍力の撃滅こそが重要だと考えた[3]。 基礎概念[編集] 海戦術の基礎概念を中心に取り上げる。戦術#基礎概念も参照のこと[4]。 戦則 – 海上作戦における任務達成のための各種行動の基本要領。戦闘教義。 戦勢 – 戦闘における戦力や行動における優勢であり、攻勢と守勢がある。 戦機 –
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