三百六十五歩のマーチ – Wikipedia

三百六十五歩のマーチ」(さんびゃくろくじゅうごほのマーチ)は、1968年11月10日に発売された水前寺清子のシングル。歌詞にも登場する「ワン・ツー・パンチ」というサブタイトルが付けられていた。

それまで演歌の本流とも言える楽曲をリリースし続けた水前寺がリリースした歌謡曲ナンバーで、題名の通り一日一歩ずつ歩み続ける人生を励ますマーチ(行進曲)調の曲である。ジャケット写真もそれまでの着流し姿から一転、マーチングバンドのドラムメジャー姿になった水前寺がポーズを決めたものとなっている。

水前寺は楽曲提供を受けた当初は演歌歌手としてヒット曲を連発したプライドから英語の「ワンツー」という歌詞がある本曲に「冗談じゃない。わざとイメージに合わない曲で私を辞めさせる気だ」と疑心暗鬼になったという[1]。作詞した星野哲郎によると、「息の長い歌手でいるには、違うタイプの歌も歌えなくてはいけない」との思いもあってこのような楽曲を作ったとのことである[2]

このように水前寺が不本意ながらリリースした楽曲であるが、「日本が自信に満ちた時代だった」(日本クラウン元ディレクターの長田幸治談[1])という高度経済成長の時流にマッチし、累計では100万枚を越える売り上げ(ミリオンセラー)となり[1]、結果的に水前寺の最大のヒット曲にして水前寺の代表曲となった。水前寺はヒットとファンからの熱い手紙に歌への気持ちが大きく変わり、「最初は歌いたくなかった曲が、今では誇りです」と語っている[1]

翌1969年には、本曲を題材とした映画として、松竹版コント55号シリーズ第3弾『コント55号と水前寺清子のワン・ツー・パンチ 三百六十五歩のマーチ』(監督:野村芳太郎)が製作公開された。

発売から12年後の『第31回NHK紅白歌合戦』で紅白初歌唱された。また、対戦相手は同じく初歌唱となった「チャンチキおけさ」を歌う三波春夫で、初歌唱対決となった)、翌1969年には第41回選抜高等学校野球大会の入場行進曲に選ばれたほか、年間チャートでも第36位に入る。同年末には第11回日本レコード大賞大衆賞、第2回日本作詩大賞大衆賞を受賞した。

ちなみに水前寺本人は2番の歌い出しの歌詞を好んでいるという[1]

楽曲の広まり[編集]

その後においても本曲は水前寺を語る上では欠かせない曲と言え、また人生の応援歌とも言えるこの曲は数々のCMやテレビ番組などで取り上げられることとなる。

その他、水前寺本人や第三者の歌唱による替え歌により多数のCMに採用されている。

2016年10月には、熊本地震からの復興を目指す地元を紹介するミュージックビデオのために、歌詞の一部を変えたものが制作された。水前寺自身も出演している[7]

2017年7月には、兵庫県警察音楽隊が本作の替え歌として「サギ犯にワン・ツー・パンチ! 〜歌ってなくそうサギ被害〜」を制作した。内容は特殊詐欺の代表的な手口や対処方法を盛り込んだもので、全体で9番まである[8]

2018年には、スズキが本作の替え歌として「スズキの初売りオンパレード」のテレビ・ラジオCMが流された[9]

2018年のアクト・アゲインスト・エイズイベント『平成三十年度! 第三回ひとり紅白歌合戦』で桑田佳祐がカバー[10]。翌年に発売されたこの公演を収めたライブビデオにも収録された。

オリジナル(1968年)[編集]

(17cmEP CW-886 1968年11月10日発売)
  1. 三百六十五歩のマーチ(ワン・ツー・パンチ)(2分54秒)
  2. 青空の唄(3分28秒)
    • 作詞:星野哲郎、作曲:米山正夫、編曲:小杉仁三

アニメ「丸出だめ夫」主題歌盤[編集]

(8cmCD CRDN-107 1991年11月21日発売)
  1. 三百六十五歩のマーチ
    • 作詞:星野哲郎、作曲:米山正夫、編曲:松井忠重
  2. 子供はつらいよ
  3. 三百六十五歩のマーチ(カラオケ)
  4. 子供はつらいよ(カラオケ)

12cmCDマキシ再発売盤[編集]

(CRCN-10034 2003年11月21日発売)
  1. 三百六十五歩のマーチ
    • 作詞:星野哲郎、作曲:米山正夫、編曲:小杉仁三
  2. 真実一路のマーチ
    • 作詞:星野哲郎、作曲:米山正夫、編曲:小杉仁三
  3. ウォーキング・マーチ
    • 作詞:星野哲郎、作曲・編曲:小杉仁三
  4. 三百六十五歩のマーチ(カラオケ)
  5. 真実一路のマーチ(カラオケ)
  6. ウォーキング・マーチ(カラオケ)

関連項目[編集]