菩提樹 (映画) – Wikipedia

菩提樹』(ぼだいじゅ、原題:独: Die Trapp-Familie、和訳: トラップ一家)は、1956年の西ドイツ映画である。邦題は劇中に登場するシューベルトの歌曲から取られている。

マリア・フォン・トラップによる自叙伝『トラップ・ファミリー合唱団物語』の前編(オーストリア編)を原作としている。

トラップファミリーがアメリカに亡命するまでを描いており、続編の『続・菩提樹』では亡命後のトラップファミリーが描かれている。ブロードウェイミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』およびアメリカ映画『サウンド・オブ・ミュージック』の先行作品である[2]

あらすじ[編集]

見習い修道女マリアはザルツブルクのノンベルク修道院学校で子供たちにドイツ語を教えていた。しかし彼女は口笛を吹いたり、階段の欄干を使ってすべり下りるなど厳しい規則に無頓着である。ある日修道院長はマリアを呼んで、九ヶ月間ゲオルク・フォン・トラップ男爵の子供たちの家庭教師として行かせる。マリアはトラップ屋敷を訪ねるが、白い制服姿の息子ふたり、娘5人がホイッスルの音で軍隊式に歩く事を見て不思議だと思う。ゲオルクがウィーンで婚約者イヴォンヌ姫といる間に、マリアはその機会を利用し子供達を庭で遊ばせる。ゲオルクは激しく怒って、新しい家庭教師をやめさせようと思う。しかし彼は子供たちの歌を聞いて、考えを変え、マリアが家庭教師を続けることを許す。

クリスマスの祝日にイヴォンヌ姫が座敷にやって来る。彼女はマリアに冗談でゲオルクがマリアを恋すると言ってしまう。ゲオルクはそれを聞いてマリアに結婚か天主への献身かを選択させる。マリアは修道院へ行って院長の助言を聞いて、男爵に求婚して男爵夫人となる。

1930年代の経済的変化でザルツブルクも影響を受けた。男爵の親友で銀行家のグルーバーは、ゲオルクに経済危機とナチス政権の経済措置の原因で自らの経営する銀行が破産しそうになっている事を伝える。ゲオルクは親友を助ける為に、イギリスの銀行口座の財産を彼の銀行口座に振り込む。その頃、教会へのオルガンの寄贈を依頼しにトラップ家を訪れた教会合唱音楽の専門家でもあるヴァスナー神父は子供達の歌声を聴いて家族合唱団の音楽指導を受け入れた。間も無くグルーバーの自殺が新聞で報じられ、トラップ家は財産を失う。

マリアはそれでも悲観せず屋敷を観光ホテルとして開業する。ルペルトとヴェルナーは市内でポスターを見て、秘密裏に合唱コンクールの参加を申し込む。合唱コンクール当日、男爵は家族の参加を反対するが、トラップ一家は最優秀賞を取る。演奏に感動したアメリカの興行師ゼーミッシュはアメリカでの公演を依頼し、ラジオ放送を聴いた連邦首相はトラップ家族を国家行事に超待する。しかしナチス・ドイツのオーストリア併合により、シュシュニック首相は退任して、その行事は取り消され、ホテルに滞在していた海外からの宿泊客も逃げ出すように帰国して行った。実は以前からナチ党員であった執事のフランツは併合を期にハーケンクロイツ旗を掲げる事を提案するが、愛する祖国オーストリアを軍事力を背景に併合したナチスを支持しないゲオルクはそれを拒否する。屋敷にやって来たナチ党員はハーケンクロイツを掲げないことやグルーバーへの援助を売国行為だと口汚く非難しつつマリアを侮蔑。ゲオルクに殴打されたナチ党員は逮捕を仄めかす。マリアはゼーミッシュの提案を受け入れ、アメリカに行こうとゲオルクを説得する。

一家は「ハイキング」と称して夜中に荷物を背負って屋敷を出ようとする。事態を察した執事フランツはナチ党員でありながらも長年使えてきたトラップ家への忠誠を重視し、亡命を助ける。

トラップ一家はヴァスナー神父と共にニューヨークで上陸許可を受ける為に、窓の外に自由の女神像が見えるエリス島の合衆国移民局の広間に座り込んでいた。そこにはアメリカ入国を求める人々が何ヶ月も閉じ込められていた。3番目の電報がゼーミッシュに届いたが、ボスのペトロフはオーストリア民謡や宗教曲の合唱団というトラップ一家に興行的魅力を感じず、保証人となることを断った。ペトロフはゼーミッシュと共に移民局にやってきて、トラップ一家の強制送還を要求する。マリアはせめて歌を聴いてほしいと懇願するが、ペトロフは全く興味がない。入国審査官の小細工で広間から帰れなくなったペトロフの前で一家の歌う「菩提樹」の合唱が響き、ペトロフはトラップ一家のアメリカ公演を決定する。

キャスト[編集]

外部リンク[編集]