ごくせん THE MOVIE – Wikipedia

ごくせん THE MOVIE』とは、2009年7月11日に公開された日本映画[1]

漫画『ごくせん』を原作としたテレビドラマ『ごくせん』の劇場版でありドラマ第3シリーズの事実上の最終回でもある。7年間にも及ぶシリーズの集大成にして完結編である[2]

日本テレビ系のテレビドラマ「ごくせん」の映画化作品。2009年3月28日にドラマ版最後のスペシャル「ごくせん卒業スペシャル’09」が放送され、映画では赤銅学院高校3年D組の生徒が卒業した後、2年生から3年へと進級した生徒との一大騒動に巻き込まれる姿が描かれ、映画をもってごくせんシリーズは完結する。
全国409スクリーンで封切られ、公開2日間で40万2440人を動員[3]。週末興行成績ランキングで1位を記録し、配給元の東宝は興行収入目標を40億円と発表した。最終興行収入は34.8億円。

2011年3月18日に『金曜ロードショー』枠で地上波初放送を行った[4]

ストーリー[編集]

任侠集団「大江戸一家」を実家に持つ山口久美子が高校教師となって7年目。ヤンクミが赴任する赤銅学院では3年D組の生徒達との溝が中々埋まらない中、小田切竜が教育実習生として赤銅学院に赴任した。

小田切が自身に憧れ教師となったと思い込むヤンクミをよそに、小田切自身もまた自分の将来に悩みを抱えていた。そんな中、3-Dの望月達が不良グループに絡まれ、カツアゲされそうになる。そこにリーダー格の高杉怜太が現れ不良達を倒したが、その不良達は何度も警察沙汰を起こしている暴走族「ブラックスカル」のメンバーだったことから高杉達は「ブラックスカル」に目をつけられてしまう…。

一方、赤銅学院の卒業生にも重大な事件が発生、風間廉が覚醒剤の取引に関わったとして警察に追われる身となり、行方を暗ましてしまう。それを知ったヤンクミは、風間の潔白を信じ、緒方大和ら元3-Dの仲間達と共に風間を捜索することに。そして事件の裏には強大な黒幕が潜んでいた。

キャスト[編集]

主要人物[編集]

山口久美子〈29〉
演 – 仲間由紀恵[5]
本作の主人公。愛称は「ヤンクミ」。現在赤銅学院高校数学教師で3年D組担任。これまでに白金学院から黒銀学院、赤銅学院の不良生徒達を見事に更生させ、立派に卒業させていった。
本作では現在の教え子である高杉怜太達やかつての教え子だった風間廉達が巻き込まれたトラブルを解決すべく奔走する。
小田切竜〈22〉
演 – 亀梨和也[6]
本作のもうひとりの主人公。ヤンクミがかつて黒銀学院で担任していた生徒。
本作では教育実習生として赤銅学院に赴任し、ヤンクミと再会した(終盤で母校の黒銀ではなく、自ら赤銅を志願したことが判明する)。最初は「ただ教職課程を専攻しているから」という理由で教育実習生になったことを明かし、自分の将来に悩んでいたが、変わらぬヤンクミの熱意に感心し、高杉や風間が巻き込まれたトラブルの解決に協力していく。また、そのうちに教師という仕事を本気で志すようになる。

赤銅学院高校3年D組[編集]

映画本編におけるヤンクミの教え子たち[7]

高杉怜太〈17〉
演 – 玉森裕太
3年D組のリーダー格。1学年上の先輩である緒方大和とは幼馴染。
2年生の時の2学期に不良の巣窟で有名な荒高から転校してきた札付きのワル(荒高でも2年生の不良生徒達の中でトップを張って問題ばかり起こして問題児扱いされ、それをきっかけに同校を2年の時の1学期までで退学となり、そのため2学期に赤銅に転校した)。クールで冷めた態度だが、喧嘩が強くて仲間思いの熱い人物であり、同じ3-Dの生徒達から一目置かれている。
望月達に絡んだチンピラを追い払うが、そのチンピラたちは暴走族「ブラックスカル」の一員であった。「今度こいつらが問題を起こしたら山口先生には辞めてもらう」という猿渡の発言を知り、ヤンクミに借りを作りたくない一心でブラックスカルに単身で乗り込む。
ブラックスカルとの一件が終わってからは他の生徒共々ヤンクミを信頼するようになり、黒瀬の出馬の際にヤンクミの危機を悟って教室を抜け出すなど熱い一面を見せた。終盤での缶蹴り大会の際に久美子の事を初めて「ヤンクミ」と呼ぶようになる。
今までの主要生徒のリーダー格と異なる場面があり、クラスメイト数人ほどからは名前ではなく苗字で呼ばれている。
望月純平〈18〉
演 – 賀来賢人
愛称「もっちー」。短気で喧嘩っ早く、2年の時の2学期に高杉が赤銅に転校して来るまでは2年でトップを張っていた。
松下直也〈18〉
演 – 入江甚儀
愛称「マツ」。不良ぶっているが、実は気が弱く、争いごとは嫌い。自身より強気で喧嘩も強い高杉の事を同学年でありながら一目置いている。
五十嵐真〈17〉
演 – 森崎ウィン
明るくポジティブで何事にも前向き。人一倍、元気でやんちゃだが、喧嘩はまったく自信がない。
武藤一輝〈18〉
演 – 落合扶樹
熱しやすく冷めやすい単純な性格。一番のナンパ好きだが、いつも友達止まりで、それほどモテない。
生徒一覧

赤銅学院高校卒業生・元3年D組[編集]

ドラマ版第3シリーズにおけるヤンクミの教え子たち[7]

緒方大和〈18〉
演 – 髙木雄也
第3シリーズのリーダー格。現在は美術系の専門学校生。1年前に両親が離婚し、母親と2人暮らし。
大事な仲間である風間が覚せい剤に手を染めるわけがないと信じて元仲間たちを呼び寄せ風間を捜索した。
ドラマでは3-D生徒達の中で唯一「山口」と呼んでいたが、今作では「ヤンクミ」と呼んでいる。
1学年下の後輩である3ーDの高杉怜太とは幼馴染みである。
風間廉〈19〉
演 – 三浦春馬
もう一人のリーダー格。幼い頃に両親を亡くし、姉と2人暮らし。現在は社会人として運送会社で働いている。
仕事場の収入に不満を持ち夜間にアルバイトを始めるとヤンクミや緒方たちに宣言。ヤンクミがブラックスカルとのケリをつけたその夜、彼の始めた仕事が覚せい剤の受け渡しで利用されていたことが判明。本人の意思はなかったものの、主犯格である寺田によって冤罪を着せられ逃亡。その際に免許証を落としたことが原因で警察に追われ行方を暗ます。後日、ヤンクミからの電話も断ち切って逃げ隠れをしていた。夜中に赤銅3-Dの教室に隠れ、小田切と遭遇。「ヤンクミにだけは話してやれ、でないとアイツが心配する」という説得により駆けつけたヤンクミや緒方たちにすべての話を打ち明ける。
本城健吾〈18〉
演 – 石黒英雄
現在実家の豆腐屋で見習い修行中。父からはまだ一人前とは認められておらず、いつも散々鍛えられている。
市村力哉〈18〉
演 – 中間淳太
現在大学生。
倉木悟〈18〉
演 – 桐山照史
現在社会人。風間と同じ運送会社で働いている。
神谷俊輔〈19〉
演 – 三浦翔平
現在は服飾系の専門学校生。
ヤンクミに協力して行方不明になった風間を捜索するべく再集結した。

赤銅学院高校教職員[編集]

猿渡五郎〈52〉
演 – 生瀬勝久
赤銅学院校長(前教頭)。ヤンクミの家庭の事情を知る犬猿の仲だが、時折思いやりのある一面を見せる。未だにヤンクミ、小田切に呼び間違えられている(ヤンクミは教頭、小田切はさるわたり)。
卒業生の風間が覚せい剤密売のトラブルに巻き込まれたことを知ってから、ヤンクミに「風間はもうあなたの教え子じゃない」と事件に関わらないよう念を押すが、聞き入れられなかった。
風間と倉木が現在の職場で働いているのは卒業SPでの彼の功労によるおかげである。なお教頭の業務も兼任しているのか現教頭は登場しておらず不明。
馬場正義〈39〉
演 – 東幹久
赤銅学院体育教師。元は黒銀学院で務めていた。ヤンクミに片思い中だが、空回り。
鷹野葵〈25〉
演 – 平山あや
赤銅学院英語教師。序盤では、ヤンクミ、鮎川とともにハイジャック事件に巻き込まれてしまう。
鮎川さくら〈31〉
演 – 星野亜希
赤銅学院養護経論。容姿端麗でスタイルも良く、生徒たちにとって憧れの的。序盤でハイジャック事件に巻き込まれたことがトラウマとなり、保健室でしばらく寝込んでいた。
牛島豊作〈40〉
演 – 佐藤二朗
赤銅学院古典教師。猿渡の側近。
鳩山康彦〈56〉
演 – 魁三太郎
赤銅学院世界史教師。
鶴岡圭介〈34〉
演 – 石井康太
赤銅学院物理教師。
赤城遼子
演 – 江波杏子
赤銅学院理事長。冷徹な性格で「処罰するのも切り捨てるのも教育」と強調する人物だが、終盤でヤンクミたちを笑顔で見守った。なお猿渡が校長に昇進したためか出番は終盤のみとなった。

任侠集団・大江戸一家[編集]

黒田龍一郎〈77〉
演 – 宇津井健(特別出演)
大江戸一家の3代目組長で、久美子の祖父。孫である久美子に4代目継承を望まず自分の信じた道へ進ませようと暖かい目で見守る。クライマックスでは、最後の戦いに向かう久美子を一度は引き止めるも、彼女の生徒への熱意に納得し、テレビ中継を介して彼女を見守る。
若松弘三〈49〉
演 – 阿南健治
大江戸一家の若頭代理。
朝倉てつ〈33〉
演 – 金子賢
大江戸一家の若頭代理補佐で舎弟の一人。久美子より年上だが彼女の舎弟であるため彼女を一目置いて慕っており、そのため彼女に片思いしている。
達川ミノル〈29〉
演 – 内山信二
大江戸一家の舎弟の一人。
菅原誠〈39〉
演 – 両國宏
大江戸一家の舎弟の一人。

黒銀学院高校卒業生・元3年D組[編集]

ドラマ第2シリーズにおけるヤンクミの教え子たち

土屋光〈22〉
演 – 速水もこみち
現在はテレビ局のカメラマン助手として働いている。
ドラマシリーズで携帯していた扇子は本作でも変わらず。彼が持っていたカメラを利用し、元赤銅3-Dの生徒が黒瀬の本性を世に知らしめた。その後は中継車のモニターを介してヤンクミを見守る。
武田啓太〈22〉
演 – 小池徹平
現在は商社の会社員として働いている。
日向と2人でヤンクミと再会する。黒瀬の決起集会当日、偶然街頭テレビで黒瀬に立ち向かうヤンクミを目にし、始終を見守る。
日向浩介〈22〉
演 – 小出恵介
現在は自動車整備工場で働いている。
武田、ヤンクミと、かつての自分と同じ元不良の黒瀬の演説に耳を傾ける。決起集会当日は、職場のテレビでヤンクミを見守る。
クライマックスで、小田切を除くメンバーが各々テレビ中継で黒瀬に立ち向かうヤンクミを見守っていた。なお、矢吹隼人は本作には登場しなかった。

白金学院高校卒業生・元3年D組[編集]

ドラマ第1シリーズにおけるヤンクミの教え子たち

内山春彦〈24〉
演 – 小栗旬
第1シリーズ卒業SPで就職した菱山工務店で現在もずっと働き続けている。今では現場の責任者を任されるまでに出世している。
南陽一〈24〉
演 – 石垣佑磨
現在は父親が再び興した事業をサポートし、片腕として働いている。
野田猛〈24〉
演 – 成宮寛貴
現在はスタイリストの見習いとして働いている。高校時代も所持してたアヒル携帯ストラップをバッグにつけている。
熊井輝夫〈24〉
演 – 脇知弘
第1シリーズで他界した父の跡を継いでラーメン屋の店主として働いている。大江戸一家や黒銀・赤銅のヤンクミの教え子とも親交がある。ヤンクミの教え子の中で唯一全シリーズに出演。
黒銀の元3-Dメンバー同様、テレビ中継で黒瀬に立ち向かうヤンクミを見守っていた。なお、沢田慎は本作には登場しなかった。

謎めいた男たち[編集]

鮫島剛
演 – 竹内力
序盤に登場したハイジャック犯。強面の外人2人を連れて成田国際空港で、現金と逃走用飛行機を要求し、ヤンクミたちの海外旅行帰りでのジャックを企んだが、ヤンクミとの激突によって自首した。
「ブラックスカル」のヘッド(本名言及されず)
演 – 大口兼悟
暴走族「ブラックスカル」のヘッド。かつあげを邪魔された手下達の仕返しとして高杉に因縁をつける。単独で乗り込んだ高杉をお礼参りとしてグループ仲間達と共に袋叩きにするが、ヤンクミ、小田切の登場で形勢不利となり撤退。その後は登場しなくなる。
寺田雅也
演 – 袴田吉彦
風間が始めたアルバイトで覚せい剤密売を目論んだ一人。
ただの荷物運びだと思ってた風間に犯罪の片棒を担がせ撤退。黒瀬の出馬決起集会の際、潜入していた風間たちに銃を向けるが、ヤンクミと小田切の鉄拳に倒れる。更に、土屋のカメラで拳銃を所持してることを晒される。
黒瀬健太郎
演 – 沢村一樹
衆議院議員選挙に立候補したIT企業「ドリームアソシエイツ」の社長。ヤンクミが第1シリーズで思いを寄せていた刑事の篠原智也にそっくり[注 1]
学生時代は相当な不良であったが、更生させられ『IT業界の風雲児』として現在の地位まで上り詰めた。裏が読めない笑顔で謎に包まれた人物。
その裏の姿は覚せい剤密売の黒幕であり、篠原とは全くの別人格の腹黒い人物である。衆議院に立候補したのはより金を儲けるためであった。出馬決起集会の際、ヤンクミに乗り込まれ、土屋が持っていたカメラを頼りに緒方たち元赤銅3-Dの生徒たちによって覚せい剤を密売していたことや拳銃を隠し持っていたことを公に晒され、決起集会に訪れていた支持者やマスコミから逃げられ衆議院への立候補は失敗に終わる。その後は本性を表し、武術に長けた手下たちに命令してヤンクミを追い詰めさせたが、敗退し逃走。最後は拳銃を突きつけたが、ヤンクミの熱意のこもった説得に感化され観念。小田切たちに「こんな先公とめぐり合えて幸せだな」と捨て台詞を残し警察に連行された。結局、彼自身が築き上げた大企業は覚せい剤で儲けた金によって成り立っていただけの虚業であり、呆気ない幕切れとなった。

その他の人物[編集]

熊井亜美
演 – 石原あつ美
ドラマ第1シリーズで熊井輝夫が助けた女子高生。第3シリーズの時点で結婚、現在は熊井ラーメンを切り盛りしており、一児の母である。
羽鳥慎一
架空の番組『ズームイン!!アフター』(元ネタは本人司会の情報番組である『ズームイン!!SUPER』)の司会。撮影は実際のマイスタジオで行われた。
黒瀬の決起集会を報道、中継した。
阿部祐二(『スッキリ!!』リポーター)
序盤で、成田国際空港において起きたハイジャック事件を中継していた。
相磯舞
ドリームアソシエイツ社のビル前で出馬決起集会の中継をしている。

その他、NNN系列局のアナウンサー数人もドリームアソシエイツ前での中継に出演している。

スタッフ[編集]

  • 小田切竜は、赤銅学院の教育実習生として今作に参加。新旧生徒たちに巻き起こる事件をヤンクミと二人三脚で解決に乗り出し、全編通して重要な役どころを担う。
  • 沢村一樹は、第1シリーズでは篠原智也を演じており、設定も“篠原にそっくり”という設定になっている。
  • 松本潤、赤西仁、戸谷公人、真山明大、小泉孝太郎は出演していない。
  • 2009年7月11日に映画化記念の特別番組として、過去のごくせんシリーズを振り返る『ごくせん映画化記念 7年間の歴史すべて見せますSP!!』を放送。このSPでは松本潤と赤西仁を含む第1、第2シリーズの主要生徒を演じた8人がビデオ出演し、それぞれコメントを寄せている。

注釈[編集]

  1. ^ 演じた沢村は、第1シリーズにて篠原智也役で出演していた。

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]