デ・ハビランド・カナダ DHC-3 – Wikipedia

フロートを装備したDHC-3 オッター

デ・ハビランド・カナダ DHC-3 オッター (de Havilland Canada DHC-3 Otter) は、カナダのデ・ハビランド・カナダ社が開発した単発STOLレシプロ機。愛称のオッターとはカワウソの意である。

ターボプロップエンジンに換装されたDHC-3 オッター

カナダのオンタリオ・プロヴィンシャル・エアサービス(OPAS)社は、DHC-2 ビーバーの導入が好成果をもたらしたことから、デ・ハビランド・カナダ社に対し同等の性能でペイロードをさらに増やした機体の開発ができれば20機発注したいと通知した。こうして開発が始まった本機は、当初キングビーバー(King Beaver)という愛称だったが、間もなくオッターへと変更され、1951年12月12日に初飛行した。基本的な外見はビーバーとほぼ同じだが、胴体と主翼を約3m伸ばし、重量を50%増やした機体となり、それに伴いエンジンもより強力なものを搭載している。クルー2名の他に折り畳み式の座席に乗客9名が搭乗でき、救急機として担架6床を収容することも可能。貨物の搭載用にキャビン床も強化されている。ビーバーと同様、降着装置にはスキーやフロートを装備することが可能である。

1952年12月5日に形式証明が下り、前述のOPAS社を含む最初の納入先への引き渡しが始まった。主に僻地での貨客輸送機として使用され、評判は非常に高く、「オッターのパイロットが町へ出てくるのは年に一度。機体のオーバーホールと自分の髭を剃る時だけである」とさえ言われたという。軍用輸送機としてもアメリカなど多くの国で導入された(アメリカ軍での呼称はU-1)。生産は1967年に終了し、生産された466機の内359機は軍用機として使用されたものだった。

ビーバーと異なり本機のターボプロップ型は開発されなかったが、いくつかの会社がターボプロップエンジンへの換装を請け負った他、デ・ハビランド・カナダ社は本機をターボプロップ双発としたDHC-6 ツイン・オッターを開発している。

採用国(軍用)[編集]

アルゼンチン
オーストラリア
バングラデシュ
ビルマ連邦
カナダ
 チリ
コスタリカ
エチオピア
イギリス
ガーナ
インドネシア
インド
カンボジア
ニカラグア
ナイジェリア
 ノルウェー
ニュージーランド
パナマ
フィリピン
パラグアイ
タンザニア
アメリカ合衆国

日本のDHC-3[編集]

1958年5月3日に、日東航空がJA3115機を導入し「つばめ号」(客席数14)として就航した。しかし、つばめ号は1963年5月1日に兵庫県三原郡南淡町(現在の南あわじ市)にある諭鶴羽山へ墜落したため喪失した(日東航空つばめ号墜落事故)。

出典:「週刊エアクラフト」No.160 1991年 p.4

  • 全長:12.75 m
  • 全幅:17.68 m
  • 全高:3.84 m
  • 翼面積:34.84 m2
  • 自重:2,400 kg
  • 最大離陸重量:3,600 kg
  • エンジン:プラット・アンド・ホイットニー R-1340(600馬力)星形エンジン 1基
  • 最高速度:260 km/h
  • 巡航速度:222 km/h
  • 実用上昇限度:5,000 m
  • 航続距離:1,500 km
  • 乗員:9-11名

参考文献[編集]

  • 分冊百科「週刊 ワールド・エアクラフト」No.155 2002年 デアゴスティーニ社

外部リンク[編集]