イースタン航空66便着陸失敗事故 – Wikipedia

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イースタン航空66便着陸失敗事故(Eastern Air Lines Flight 66)とは1975年6月24日にアメリカ合衆国で発生した航空事故である。事故原因として気象現象のひとつウインドシアが初めて注目された事例でもある。

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事故の概略[編集]

1975年6月24日、イースタン航空66便はルイジアナ州ニューオーリンズを出発し、目的地のニューヨークまで目前であった。ジョン・F・ケネディ国際空港の22L滑走路に着陸すべく最終アプローチ中であった。66便の直前に着陸した複数の航空機は雷雨を通過した際にダウンバーストに遭遇したが、無事着陸していた。とはいえ、それらの航空機のなかには一時的に墜落寸前の状況となったイースタン航空のトライスター(イースタン航空902便)もあった。しかし地上の管制塔の気象観測器ではそのような強い風は観測されていなかったことから、滑走路を閉鎖する措置は講じなかった。

しかし66便は、着陸アプローチ中に巨大なウインドシアに遭遇した。まず大きく機体が持ち上げられた後で、雷雲の中心からの強い下降気流につかまっていた。そのため速度の低下と急激な降下率という致命的な状況に陥った。その結果、滑走路の手前2400フィート(約730m)の地点にあった誘導灯に激突し、機体の左翼外縁が引き裂かれた。機体は大きく旋回し大破し炎上した。この事故では誘導灯が航空機が接触した場合に倒れる構造となっていなかったため、66便の機体が引き裂かれる状況となった。この事故で乗員乗客124名のうち12人が救助されたが、そのうち3人が事故から1週間後に病院で死亡した。最終的な生存者となった客室乗務員2名と乗客7名は、いずれも66便の機体後部に着席していた。また、NTSB(国家運輸安全委員会)では事故後7日目以降に死亡した搭乗者は死者数としてカウントしないこととしている。

事故原因[編集]

当初は操縦乗員の操縦ミス説もあったが、気象学者の藤田哲也が、事故原因はダウンバーストに事故機が突入したことによると証明した。66便は高度500mを飛行中にダウンバースト(マイクロバースト)に遭遇し急激に高度を失っていた。この時に操縦乗員は計器ではなく外の対象物の視認に努めていたが、激しい雨のため視界はきかなかった。また機体が地表付近の下降気流により、大きく押し下げられていることに気が付いていなかった。ようやく最後の瞬間になって着陸復行して地表への激突を回避しようとしたが手遅れだった。

また、NTSBはウインドシアの規模から推測して着陸をやり直すのは難しかったとしている。そのため、事故の最大の要因はウインドシアが発生している気象条件の下で着陸しようとしたことであるとした。また藤田がドップラー・レーダーにより事前にある程度予測可能であることを立証したことから、世界各地の空港にドップラー・レーダーが配備される契機となった。

参考文献[編集]

  • デビッド・ゲロー「航空事故」(増改訂版)イカロス出版 1997年
  1. ^ 事故後1週間以内の生存者は12人。
  2. ^ 事故1週間後以降に死亡した者を含めない場合は112人。

関連項目[編集]


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