ヤコビの虚数変換式 – Wikipedia

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ヤコビの虚数変換式(Jacobi’s imaginary transformation)は、楕円テータ関数に関する以下のような恒等式である[1]

この恒等式の日本語の呼称は定まっておらず、ヤコビの虚数変換式、ヤコビのモジュラー変換式、あるいは単にヤコビ変換式とも呼ばれる。テータ関数は二変数の関数であるが、第二変数を純虚数の定数として第一変数に着目すれば「虚数変換式」という呼称が的を射て、第一変数を定数として第二変数に着目すれば「モジュラー変換式」という呼称が的を射る。

公式に関する注意点[編集]

  • 「岩波数学公式集Ⅲ」p.48.では誤った式が書かれているので注意せよ。

楕円関数の虚数変換[編集]

ヤコビの楕円関数はテータ関数の比により表される。楕円関数の周期を

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K,iK{displaystyle K,iK’}

とすると

テータ関数の虚数変換式により

となり、楕円関数の虚数変数を得る。

ϑ3(v,τ){displaystyle vartheta _{3}(v,tau )}

の虚数変換式の両辺の比を

f(v,τ){displaystyle f(v,tau )}

して恒等的に

f(v,τ)=1{displaystyle f(v,tau )=1}

であることを証明する。テータ関数の二重周期性により

であるから、

f(v,τ){displaystyle f(v,tau )}

v{displaystyle v}

の関数として二重周期を持つ。また、テータ関数は極を持たず、零点は

であるから、

f(v,τ){displaystyle f(v,tau )}

v{displaystyle v}

の関数として複素平面全体で有界である。したがって、リウヴィルの定理により

v{displaystyle v}

には依存しない。

分子の

n{displaystyle n}

が奇数の項は正負で打ち消しあうから偶数の

n{displaystyle n}

2n{displaystyle 2n}

に改める。

先に示したように

f(v,τ){displaystyle f(v,tau )}

v{displaystyle v}

に依存しないので

であり、

f(v,τ){displaystyle f(v,tau )}

τ{displaystyle tau }

にも依存しない定数である。その値は

である。


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