アケローン川 – Wikipedia

アヘロンタス川
水源 ヨアニナ県
河口・合流先 イオニア海
流域 ギリシャ
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アケローン川(古代ギリシア語: Ἀχέρων / Acheron)は、ギリシア北西部のイピロス地方を流れる川。アケローンは「嘆きの川」「苦悩の川」と訳すことができ、古代ギリシア神話ではカローンが死者の魂を冥界ハーデースへと渡す、地下世界の川ステュクスの支流と信じられた。

現代ギリシャ語(ディモティキ)ではアヘロンタス川Αχέροντας / Acherontas)という語形になる。ヨアニナ県南西部のゾティコに源を発し、プレヴェザ県パルガ (Parga付近でイオニア海に注ぐ。

神話におけるアケローン川

アケルージアと呼ばれる湖と今もアケローンと呼ばれる川が、近接するネクロマンテイオンの遺跡とともに、コルフ島対岸の本土側パルガ(en:Parga)近郊にある。

アケローン川のもう一つの支流が、アケルージアン洞窟(今のトルコのエレーリ)で地表に湧き出ると信じられ、ロドスのアポローニオスの伝えるところでは、アルゴ船の乗組員によって目撃されたとのことである。

イタリア半島に植民したギリシア人たちは、アケローン川が流れ込むアケルージア湖と、アヴェルナス湖(en:Avernus)を同一視した。

プラトンは、『パイドン』の中で、アケローンを世界で2番目に大きな川であるとし、これを超えるのはオーケアノスのみであるとしている。彼は、アケローン川は人の住まない地の大地の下をオーケアノスとは逆の方向に流れていると主張した。

ウェルギリウスは、『アエネーイス』第6巻の地下世界の記述の中で、他の地獄の川とともにアケローンに言及している。

ダンテの『神曲』“地獄篇”において、アケローン川は地獄前域で地獄との境界をなしている。ギリシア神話に従えば、渡し守カロン(カローン)がこの川を越えて死者の魂を地獄へ渡しているという。

神としてのアケローン

アケローンの語は時として、ハーデースそれ自体を指すもの(提喩)として使われる。

この川の神アケローンは、冥界のニュムペーのオルプネー[1]あるいはゴルギューラとの間にアスカラポスをもうけた[2]

脚注

  1. ^ オウィディウス『変身物語』5巻539行-541行。
  2. ^ アポロドーロス、1巻5・3。

参考文献

  • アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
  • オウィディウス『変身物語(上)』中村善也訳、岩波文庫(1981年)