セリバシオガマ – Wikipedia

セリバシオガマ(芹葉塩釜、学名:Pedicularis keiskei Franch. et Sav.[1])は、ハマウツボ科シオガマギク属に分類される半寄生[2]の多年草の1種[3]。種小名(keiskei )は、伊藤圭介への献名[4][5]。和名のセリバ(芹葉)は、葉の形態がセリに似ていることに由来する[6]

茎は根元で枝分かれして[7]、高さは30-50 cm[4]、無毛で葉とともに軟弱[8]。葉は長さ4-8 cm、幅2-4 cmの卵状長楕円形で羽状に全開し、上部まで[9]対生する[10]。葉の裂片はさらに羽状に中裂する[10]。葉柄は長さ0.4-1 cm[10]。小葉はまばらにつく[3]。上茎葉は小形となり、すべて対生し、花期に根出葉はない[4]。上部の葉腋に白い花を1個ずつ付け[10]、枝の頭部にも3-5対まばらに総状に花を付ける[4]。花冠は左右非相称[3]、長さ約2 cmで、筒部は薄緑色[10]。上唇は先がくちばし状に細長く尖る[10]。下唇葉浅く3裂し、中裂片はごく小さい[10]。雄蕊は4本、雌蕊は1本[4]。萼は無毛[2]、卵状の筒形で長さ約4 mm[4]。花期は8-9月[3][7]。蒴果は3角状狭披針形で、先が尖り、長さ12 mm、幅3 mmで、萼の約3倍[8]。種子は紡すい形で突起が付く[4]

分布と生育環境[編集]

日本の固有種[10]。本州の中部地方[7](秩父山地の金峰山、飛騨山脈南部、八ヶ岳、木曽山脈、赤石山脈)のやや狭い範囲に[4]分布する[3][10]。基準標本は御嶽山のもの[3][10]。ヒマラヤから中国西部にかけて分布する同属の種(Pedicularis gracilis)と類縁であると見られていて、古くに日本に渡来して分化した種である[8]

深山の亜高山帯針葉樹林の林下に生育するセリバシオガマ

深山[7]の亜高山帯針葉樹林の林下に生育する[10]

種の保全状況評価[編集]

日本では以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている。

参考文献[編集]

  • 『原色高山植物大図鑑』小野幹雄、林弥栄(監修)、北隆館、1987年3月30日。

    ISBN 4832600079。

  • 久保田修『高山の花―イラストでちがいがわかる名前がわかる』学習研究社、2007年6月。ISBN 978-4054029033。
  • 清水建美、門田裕一、木原浩『高山に咲く花』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑8〉、2014年3月22日、増補改訂新版。ISBN 978-4635070300。
  • 豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年9月。ISBN 4-635-09019-1。
  • 名古屋大学付属図書館『錦窠図譜の世界 -幕末・明治に博物誌-』名古屋大学付属図書館、2003年10月15日。
  • 『日本の野生植物 草本Ⅲ合弁花類』佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫、平凡社、1981年10月。ISBN 4582535038。
  • 前沢秋彦『高山植物』保育社〈標準原色図鑑全集 11〉、1970年1月。ISBN 4586320117。
  • 林弥栄『日本の野草』〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月。ISBN 9784635090421。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]