関節肢の基本外部形態 関節肢(かんせつし、arthropodized appendage, arthropodium, 複数形: arthropodia[1])とは、昆虫・甲殻類・ムカデ・クモなどの節足動物に特有する、外骨格と関節に構成される付属肢である。 「節足動物」の名の由来となっているため、時に関節肢を節足(せっそく)という場合もあるが、生物学的用語ではない。 節足動物の付属肢は関節肢といい、基本的には関節のある円柱形で先が細くなった構造をもつ。しかし関節肢は節足動物の生活に直結する部分で、環境や生態への適応の上で重要であるため形態が非常に変異が多く、一般的な移動用の歩脚から、把握用の鋏と鎌・感覚用の触角・摂食用の顎(大顎、小顎)、顎基と鋏角・呼吸用の鰓・繁殖用の生殖肢まで多岐している(関節肢#関節肢の種類を参照)。 関節肢の構成単位は、クチクラ性で硬質の外骨格によって包まれる肢節(podomere[2])である。各肢節の関節では、先端側の切り口の内側に次の肢節の基部が入っていて、それが可動域を包んだ柔軟な節間膜(arthrodial membrane[3])と、両肢節の支点である頑丈な関節丘(ピボット、pivot)によって繋がれている[4][5]。各肢節はこのような関節を介して繋がりながら、分解せずに屈折させることができる[5]。通常、肢節は付け根に1対の内骨格があり、これは直前の肢節もしくは体節内に差し込んで、内部の腱(internal tendon, apodeme)として該当肢節の動きを操る筋肉に繋がっている[5]。 各関節の関節丘の構造は、1対でできている双関節丘(dicondylous)と、1つのみでできている単関節丘(monocondylous)という2種類がある。双関節丘の場合、この一対の関節丘を1つの軸にして、蝶番(ヒンジ)のように一つの平面上で安定に関節を折り曲げる運動が可能である。言い換えれば、この関節は、一つの平面上でしか動かない[6][7]。それに対して単関節丘の場合、比較的に幅広い運動方向に対応できる[8]。関節肢は種類によって双関節丘のみ(十脚類の脚[7]、多くの昆虫の大顎[9]など)、単関節丘のみ(イシノミの大顎[9]など)、もしくは単関節丘と双関節丘をあわせもつ(クモガタ類の脚[10][6][8]など)。関節肢は所々に肢節の長さ、関節の運動方向や可動域が異なっていて、全体でさまざまな方向に動けるようになっているのが普通である。特に基部が短縮した複数の肢節をもつことが一般的で、これにより関節肢の大部分を大幅に動かせる[11]。 甲殻類、特に鰓脚類には鰓脚状(phyllopodous, phyllopod)という、数少ない柔軟な肢節でできた関節肢の形態をもつ場合がある。それに対して、通常の関節肢のようなものは「stenopodous」(stenopod)とも呼ばれている[12][5]。 単枝型と二叉型[編集] ロブスターの原節(赤色、1の眼を除く)、外肢(青色)、内肢(黄色)と外葉/副肢(米色) 六脚類、鋏角類や多足類のほとんどの節足動物は、関節肢に分岐した肢節はなく、これは単枝型付属肢(単肢型付属肢 uniramous appendage)と呼んでいる。一方、多くの甲殻類の関節肢は、第1触角以外では基本として途中から2つに枝分かれ、二叉型付属肢(二肢型付属肢
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