塩漬け – Wikipedia
塩漬け(しおづけ)とは、食べ物(特に腐敗してしまいやすい物)を、長期保存のためや、味を付けるために食塩に漬けておく古くからの方法、また、その方法で塩に漬けておいた食品をいう。前者は塩蔵(えんぞう)、後者は塩蔵品(えんぞうひん)ともいう。 腐敗しやすい畜肉や魚介類・野菜等を塩分濃度の高い状態におく事で細菌(雑菌)を繁殖させにくくし保存する手段としてこれらは古くから利用されてきた。 特に魚介類では塩辛、野菜類では漬け物の一種とされる[1][リンク切れ]。 畜肉の場合ではハムやベーコン、コンビーフ、スーチカーなどが該当する。 塩漬けによる食糧保存が始まった時期は不明である。塩で保存性を高めた食品は世界的にも多く、また素材が熟成される事もあって冷蔵庫が普及するまでは様々な食品の保存に塩(食塩)が用いられた。塩蔵とは、食料保存方法であると共に、食材の風味を作り変える手段であり、食塩が豊富に得られる地域でよく見られる食品加工方法のひとつである。塩分濃度を制御することで有害な微生物を退け、活動できるものを選んで発酵に用いる場合がある。 安定した供給のために、あるいは長距離・長時間の輸送に耐えうるように食料は加工されてきた。その加工の方法は塩蔵によらず、様々な方法が見られる。塩蔵品に限らず、保存性を高めた食品のことを一般に保存食という。 塩漬けにより雑菌の繁殖が抑えられる理由は浸透圧(すなわち微生物の細胞から水分が失われる)による殺菌・制菌によるものと、細菌が利用しやすい自由水を食塩によって結合水にすることで水分活性を減らすことによる。好塩菌は自身の細胞の浸透圧を調整しており塩による制菌が困難になっている。 一般に腐敗細菌の多くは約5%の塩分濃度で繁殖が抑制され、15-20%で繁殖不能になる。 塩せき・無塩せき[編集] ハムやソーセージなどの肉加工品を製造する際には、風味や肉質、保存性の向上などの目的で原料肉を食塩や発色剤(亜硝酸ナトリウムなど)、砂糖、香辛料などに漬け込む工程があり、これを塩せき(えんせき、英: Curing)という。日本では、塩せきの手法が公正競争規約により定められており、例えば、塩せきの期間はハムで5日間以上、ベーコンで5日間以上、ソーセージで3日間以上となっている[2]。 なお、無塩せきの表示のある加工品は、塩せきの工程が全く行われていないという意味ではなく、塩せきの際に発色剤を用いていないという意味である[3]。 「塩せき」をすべて漢字表記にしたものは「塩漬」である[4][5](「塩析」は別の用語であり誤記)。ただし、本来「漬」の音読みは「し」であり[6]、読み間違いが一般化したものと思われる。 一部の塩分の強い塩蔵品については真水に浸して塩分を緩和させる塩抜き(塩出し)を必要とする場合がある。薄い食塩水に浸す呼び塩と呼ばれる方法が用いられることもある。 食品以外[編集] 一般には食品保存法として利用される塩漬けであるが、その一方で様々な「傷み易いもの」を保存するために利用された。 人の遺体[編集] 遺体の保存方法として利用された例も多い。中国や日本では戦国時代以降、打ち倒した相手の首を切り落として首級として持ち帰る際に、首を塩漬けにして腐敗を防いだ。また権力者が客死した際や埋葬する際、あるいは他の季節なら問題なくとも、真夏に死去して葬儀の間に遺体が腐敗しやすい場合など、塩漬けにして遺体を保存する事もあった模様である(文禄・慶長の役の耳塚を参照)。 ヨーロッパでも第一次世界大戦の頃までは、遺体を戦地から塩漬けにして輸送する事もあった。 学術的に貴重な標本[編集]
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